路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【主張・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本

2024-11-30 04:05:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本 

 アゼルバイジャンのバクーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が2日間延長の末、24日幕を閉じました。

 COP29は、「ファイナンス(資金)COP」と呼ばれ、途上国の温暖化対策の資金調達が焦点となりました。先進国から途上国への資金支援で2035年までに少なくとも年間3千億ドル(約46兆円)と、現状の1千億ドルの3倍に増やすことで合意しました。

 ■途上国大きな被害

 気候危機の打開は待ったなしです。

 欧州連合(EU)気象情報機関コペルニクス気候変動サービスは、24年の世界の平均気温が観測史上初めて、年平均で産業革命以前より1・5度以上の上昇が確実だと明らかにしました。後戻りできない限界が近づきつつあります。

 「パリ協定」の1・5度目標を達成するために、途上国への支援が不可欠です。途上国は温室効果ガスの排出が少ないにもかかわらず、気候変動による異常気象などの被害が広がりやすく、対策やエネルギーの脱炭素化を進めるための資金が不足しています。今後、資金援助が実際にどれだけ実行されるかが焦点です。

 COPと同時期にブラジルで中国やインドも参加するG20(主要20カ国)が開かれました。18日に出された首脳宣言は「途上国の低炭素および低排出への移行を支援する必要があることを再確認し、われわれは、途上国に対する低コストの資金調達促進に向けて取り組む」とのべ、COPの議論を後押ししました。

 G20は世界の温室効果ガス排出量の8割を占めます。国連のグテレス事務総長は、COP29の成果に関して、各国政府がこの合意を土台とし、その上に積み上げていくことを訴え、「第一に、COP30に先立ち、約束通り1・5度に沿った新たな国別の温室効果ガス削減目標(NDC)を策定しなければならない。最大の排出国であるG20諸国が主導しなければならない」と呼びかけました。

 ■特大化石賞を受賞

 会議では、途上国や市民社会から先進国への厳しい批判の声が出されました。

 世界の環境NGOが参加する気候行動ネットワーク(CAN)は22日、日本を含む先進国に「気候危機を引き起こした歴史的責任を果たさず、気候変動対策のための資金提供から逃げ続けてきた」として「特大化石賞」を贈りました。

 特に日本の振る舞いは気候危機の打開に逆行するものです。会期中に英独仏など25カ国とEUが発足させた石炭火力発電所の新設に反対する有志連合に、G7では日本と米国だけが参加しませんでした。

 日本は石炭火力発電から早急に脱却し、危険な原発への固執をやめ、省エネルギーと再生可能エネルギーを進めなければなりません。先進国としての責任を踏まえ、新たなNDCでは、35年までに75~80%削減(13年度比)など1・5度目標と整合する野心的目標を掲げるべきです。

 総選挙で新しい政治プロセスが始まったもとで、次期エネルギー基本計画がふさわしいものとなるよう、国会における徹底した議論が求められます。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月28日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【きょうの潮流・11.28】:「共産党って怖いのかと思っていた」。

2024-11-30 04:05:25 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【きょうの潮流・11.28】:「共産党って怖いのかと思っていた」。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【きょうの潮流・11.28】:「共産党って怖いのかと思っていた」。

 「共産党って怖いのかと思っていた」。先の総選挙で学生と対話すると、そんな感想が。知ってもらえば誤解や偏見がとけてゆく。そんな体験をした同僚がいました。共産党の本当の姿を知ってもらう取り組みにもっと力を入れなければ

 ▼翻って自分自身を顧みると、「偏見を持ってない」と自信をもって言えるのか。例えばギャル。派手なメークやファッションと独特な言葉づかいに拒否感を持ってはいないか

 ▼NHKの朝ドラ「おむすび」は、主人公がギャルです。「仲間が呼んだらすぐに駆けつける」「自分が好きなことは貫け」「ダサいことはするな」という三つの“ギャルの掟(おきて)”が出てきます

 ▼アメリカ発祥のラップミュージックも、みずからすすんで聞こうとしたことはありませんでした。暴力的だったり、女性蔑視の表現があったりのイメージを抱いていたからです

 ▼『辺境のラッパーたち』(青土社刊)はこの印象を覆す論文集です。攻撃に抗(あらが)おうと叫ぶガザのラッパー。インドのスラム街からはい上がろうとするラッパー。抑圧された人々の抵抗精神や、少数民族としてのアイデンティティーに誇りを持とうと活動する姿が、浮かび上がります

 ▼「困った人がいたら駆けつける」「不屈」「市民道徳と社会的道義を守り、社会に対する責任をはたす」。社会変革をめざし路上で抗議行動する…。ギャルもラッパーも、共産党員の生き方と共通するものを感じます。党への偏見を解く努力とともに、まずは自身の抱く偏見を解かなければ。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【きょうの潮流】  2024年11月28日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張・11.27】:臨時国会 ■あす召集 民意をくみ取り丁寧な論戦を

2024-11-30 04:05:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張・11.27】:臨時国会 ■あす召集 民意をくみ取り丁寧な論戦を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.27】:臨時国会 ■あす召集 民意をくみ取り丁寧な論戦を

 自民、公明の与党が衆院で過半数割れした総選挙後、初めての国会論戦の場となる臨時国会が28日から始まります。自公政権は、これまで数の力で、強行採決など強引な国会運営を繰り返してきました。しかし、これからは、単独では法律や予算を成立させることはできません。幅広い民意をくみ取り、丁寧な国会運営で国民の納得を得る論戦が求められます。

 自公政権のもとで、国民生活は痛めつけられ、日本経済は長く低迷し続けています。臨時国会では、暮らしを守り、経済再生に向けた道を開くことが何より求められています。その際、必要となるのが、税や社会保障などで所得を再分配する仕組みの強化です。

 ■暮らしの立て直し

 自公政権は、生活に必要な生計費にまで容赦なく課税する消費税増税を連発する一方で、法人税の引き下げや研究開発減税など大企業への減税を繰り返してきました。所得が1億円を超えると負担率が下がる「1億円の壁」もいまだ改善されていません。

 石破茂政権は、「103万円の壁」と呼ばれる所得税の課税最低限の引き上げを明記した経済対策を閣議決定し、補正予算案を臨時国会に提出する予定です。

 生計費には課税しないという原則に基づいて、所得税の非課税枠を広げるのは当然です。問題はその財源です。

 暮らしを守り、経済再生に向けた道を開くには、高所得者がより多くの税金や社会保険料を納めるよう調整しなくてはなりません。自公政権の下でゆがめられた税金と社会保険料の徴収の仕組みを是正するため、大企業・富裕層への減税や優遇を見直し、応分の負担を求めることが必要です。

 さらに、消費税の減税は、物価対策だけでなく、低所得者の暮らしの支えにもなります。大企業の内部留保を労働者の賃金に回すための対策とともに、中小企業への直接支援を行い、最低賃金を速やかに1500円以上に引き上げることも求められます。

 ■企業団体献金禁止

 臨時国会では、自民党の裏金事件を受けた政治改革も焦点となります。裏金事件の真相解明とともに、実効性のある対策を講じるための法改正が最優先の課題です。

 これまで政治倫理審査会には派閥の幹部を中心に自民党の裏金議員が出席しましたが、みな責任回避の弁明をするだけで真相は何も明らかになっていません。通常国会後に発覚した新たな疑惑を含め、徹底して真相を明らかにし、責任を明確化する必要があります。

 さらに、企業・団体献金の全面禁止を含めた抜本的な政治改革が求められます。裏金事件の原資は、政治資金パーティーを通じた事実上の企業・団体献金です。企業・団体献金には本質的に賄賂性があります。金権腐敗の温床を断つためには、企業・団体献金の禁止を避けて通るわけにはいきません。

 真相解明にも、企業・団体献金の禁止を含む抜本的な政治改革にも背を向けているのは、いまや自民党だけです。与党過半数割れの国会で、真相解明とは程遠い弁明や抜け穴だらけの対策でお茶を濁すことは、もはや許されません。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月27日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【きょうの潮流・11.27】:「世界中の戦争をなくそう! すべての人が・・・

2024-11-30 04:05:15 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【きょうの潮流・11.27】:「世界中の戦争をなくそう! すべての人が・・・

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【きょうの潮流・11.27】:「世界中の戦争をなくそう! すべての人が・・・

 「世界中の戦争をなくそう! すべての人が手をとり合って飢えと貧困をなくそう」をサブスローガンに開かれた日本高齢者大会。お楽しみは、夜のうたごえ交流会です

 ▼司会者が最初に選んだのは、秋の歌です。童謡「里の秋」を全員で。♪ああ父さんよ ご無事でと 今夜も母さんと祈ります…元の歌は太平洋戦争が勃発した1941年作の「星月夜」です。“ご無事で”は、“ご武運を”でした

 ▼亡くなった詩人・谷川俊太郎作詞の歌にもリクエストが。みんなで歌った「死んだ男の残したものは」。4番は戦争の本質を突く歌詞で改めてすごい。♪死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球…平和ひとつ残せなかった

 ▼うたごえの良さは知らない人でも一緒に歌って仲よくなれること。テーブルで隣同士になったのは「学生生活は京都で過ごした」と話す東海市で学習塾を経営する竹内雅貴さん。「ニセ左翼による学園の暴力支配に命がけで。大変でしたが、いつもたたかいのなかに歌がありました。歌と一緒に思い出がつながっています」

 ▼トヨタで働いてきた平均年齢が77歳のトリオ・G3s(ジイさんズ)は「心さわぐ青春の歌」を歌いました。♪ぼくらにゃ一つの仕事があるだけ 自由の国ひらく仕事が一つ

 ▼リーダーの酒井俊一さんは「若い頃と違う受け止めで歌います。死ぬまで生きるんだと。生きるとは、たたかいです。最後のがんばりで世の中変える意気込みです」。同感。今度は、若い世代と肩組み歌いたい。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【きょうの潮流】  2024年11月27日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張・11.26】:自公国の3党合意  ■生活向上に政策全体の転換を

2024-11-30 04:05:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【主張・11.26】:自公国の3党合意  ■生活向上に政策全体の転換を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:自公国の3党合意  ■生活向上に政策全体の転換を 

 「生活が苦しい」「収入を増やしたい」―国民の切実な願いです。先の総選挙では、物価高や実質賃金低下を招き、打開策もない自民党の経済政策に国民の審判が下りました。自公は過半数割れし、与党だけでは予算が通せなくなりました。

 そうした新しい政治状況のなか、自民・公明・国民民主の3党は5回の協議の末、国民民主が選挙で掲げていた、いわゆる「103万円の壁」の引き上げで合意し、政府の総合経済対策に盛り込みました。

 ■「103万円の壁」

 「103万円の壁」の103万円とは、年収がそれを超すと所得税が課税される課税最低ラインです。「生活に必要な生計費は非課税」の原則に基づきます。

 日本の課税最低限は世界的にみて低いうえ、物価が上がっているのに1995年から据え置かれてきました。引き上げは、すべての人にとって必要です。

 学生の場合、アルバイト収入がこれを超すと親の扶養から外れ、親の税金が大きく増える場合があるため、超えないよう働く時間を制限する例が起きており、「壁」とされます。

 課税最低限の引き上げは当然ですが、そもそも学生が103万円を超えて働かなければならない状況を改善すべきです。学費の値下げ・無償化、給付制奨学金の拡充を直ちに実行すべきです。

 総選挙で「103万円を178万円に引き上げる」と打ち出した国民民主が国会でキャスチングボートを握った結果、自公国の協議がそこに集中しています。

 しかし、暮らしをよくするには、▽消費税廃止に向け緊急に5%に減税▽中小企業を直接支援し最低賃金を1500円に上げる―などの施策や、大企業のもうけ優先の「アベノミクス」の転換など抜本的な対策が欠かせません。「壁」問題もそのなかで議論する必要があります。

 財源をどうするかも避けて通れません。財源次第では逆に国民生活を苦しめます。消費税増税や社会保障削減は許されません。大企業・富裕層優遇税制の見直し、大軍拡中止など、財界・米国優先から暮らし最優先へ経済・財政政策を転換する改革が不可欠です。

 ■通じない従来路線

 課税最低限の引き上げ幅や財源などは、今後3党で協議を続けるといいます。

 これまで予算や税制改正などは事前に自公が協議し、そこで決めたことが数の力で押し通されてきました。自公過半数割れという新たな政治プロセスの下で、国会審議という、国民に見える場での議論が求められています。従来型の閉ざされた協議で押し切ろうとすれば、国民の新たな審判を受けざるをえません。

 3党の合意文書は、補正予算について「年内の早期成立を期す」とし、来年度予算についても3党で協議を続け「誠意を持って行動する」としています。

 国民民主には、「103万円」の見直しと引き換えに、大軍拡推進、社会保障切り捨てで国民生活に大きなマイナスをもたらす予算案に賛成し、自民党政治の延命に手を貸すのかが問われます。

 日本共産党は、経済・財政政策全体の転換を求め、国民要求実現のために力を尽くします。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【きょうの潮流・11.26】:〈日本に稲ある限り稲雀(いなすずめ) 今瀬剛一〉。

2024-11-30 04:05:05 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【きょうの潮流・11.26】:〈日本に稲ある限り稲雀(いなすずめ) 今瀬剛一〉。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【きょうの潮流・11.26】:〈日本に稲ある限り稲雀(いなすずめ) 今瀬剛一〉。

 〈日本に稲ある限り稲雀(いなすずめ) 今瀬剛一〉。稲が実るころ、群れをなしてついばみにやってくるスズメ。同じ秋の季語には「秋雀」も

 ▼俳諧の世界では、スズメは他の語と組み合わせることで四季を詠むことができるといいます。それだけではありません。ことわざや昔話、童話や童謡、最近では大ヒットしたアニメ映画の題名まで―。古くからスズメは身近な鳥として親しまれてきました

 ▼人びとのくらしとともに当たり前のように見かけてきた存在。しかしいま、その数が急速に減っています。環境省などの調査によると、スズメの数は年3・5%以上のペースで減少。このまま減り続ければ絶滅危惧種の基準に達する恐れがあるといいます

 ▼この調査は30年ほど前に締結した生物多様性条約をきっかけに実施してきたもの。自然保護団体や専門家、企業や多くの市民が協力し、陸から海までおよそ全国1000カ所で生態系の変化を長期にわたり観察・記録しています

 ▼報告書では身近なチョウ類の33%、鳥類の15%にあたる種が年3・5%以上のペースで減少。スルメイカやサンマの不漁をはじめ海でも異変が起き、サンゴの白化現象の増加、藻場の衰退や消失が進んでいると

 ▼専門家は温暖化や農地の減少、山林の荒廃といった環境の変化が影響しているとみています。改めてスズメを探してみると、たしかにその姿はどこに…。なじんできた生きものたち、同じ地球に住む“仲間”が消えてゆく。それは私たち人類への警鐘でもあるでしょう。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【きょうの潮流】  2024年11月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.30】:首相の所信表明 これで信頼回復できるか

2024-11-30 04:03:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・11.30】:首相の所信表明 これで信頼回復できるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.30】:首相の所信表明 これで信頼回復できるか

 石破茂首相がきのう、国会で所信表明演説を行った。
 
 最大の焦点である自民党裏金事件を受けた政治改革については、政策活動費の廃止や、政治資金を監査する第三者機関の設置などを進めると表明した。
 だがそれらは既に与野党が大筋で一致した項目だ。肝心の裏金の実態解明や、30年前から先送りしてきた企業・団体献金の禁止には触れもしなかった。
 そもそも政治改革に言及したのは演説の最後の方で、その分量も決して多くなかった。首相の改革に対する熱意や問題意識を疑わざるを得ない。
 首相が重要政策として強調したのは外交・安全保障、経済・地方創生、治安・防災の3分野だ。どれも待ったなしであるのは確かだが、国民の信頼回復がなければ政治は前に進まない。
 これでは改革が中途半端に終わった衆院選前と同じ構図になる。首相は大敗の結果を「国民からの叱責(しっせき)」と語ったが、まだ自覚が足りないのではないか。対応を改めねばならない。
 演説の冒頭、首相は少数与党の政権運営に触れ「他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう真摯(しんし)に、謙虚に取り組んでいく」と訴えた。
 そうであれば、まず政治とカネに関する野党の主張を聞き入れ、裏金の解明や企業・団体献金の禁止に踏み出すのが筋だ。
 参院では裏金議員が政治倫理審査会の出席を希望している。衆院も同様に開くべきだし、党も調査を始めねばならない。
 企業・団体献金は平成の政治改革で政党交付金の導入と引き換えに見直すと決めたはずだ。当時改革推進派だった首相は、なぜいまだに実現できないのか自らの言葉で語るべきである。
 経済対策についても首相の対応は言葉と裏腹だ。
 所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げに言及し「党派を超えて優れた方策を取り入れる」と述べたが、どうして協議相手が野党第3党の国民民主だけなのか。これで「幅広い合意形成」と言えるか。
 熟議よりもなお「数の力」を信奉しているように映る。政治改革への対応も含め、自民、公明、国民民主の3党で押し切ることがあってはならない。
 首相は党総裁選で前向きな姿勢を示した日米地位協定の改定や選択的夫婦別姓の導入に今回も触れなかった。これらはいずれも野党の主張に沿うものだ。
 論戦を通じて与野党が共に政策を作り上げる仕組みを整えねばならない。全てを自民が決めた第2次安倍政権以来の強権路線と決別する国会にすべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・11.29】:ヒグマの駆除 ハンターと信頼構築を

2024-11-30 04:03:40 | 【生物学・特定外来生物法・動物生態系・終生飼養・環境税・花粉症】

【社説①・11.29】:ヒグマの駆除 ハンターと信頼構築を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.29】:ヒグマの駆除 ハンターと信頼構築を

 北海道猟友会がヒグマの駆除を巡り、各支部に対して、自治体や警察との連携が不十分な場合、出動の要請に応じぬよう通知することを決めた。
 
 砂川市の要請による駆除で発砲した同会支部長が、弾丸到達のおそれがある建物に向かって撃ったとして猟銃の所持許可を取り消され、札幌高裁が処分を妥当だとしたことを受けた。
 猟友会は出動の条件として、支部と自治体、警察の3者で十分協議し、発砲の基準などを事前に明確化することを挙げる。
 猟銃は安全第一に厳格に使用されるべきなのは当然だ。しかし行政の出動要請に応じ、有害鳥獣駆除という公共の利益のために発砲した責任を負わされては、安心して活動できまい。
 一部の支部では既に出動要請に協力しない動きが出ている。このままでは増加するヒグマに対処できなくなる恐れがある。
 ヒグマ出没の緊急時には自治体と警察、ハンターの円滑な連携が欠かせない。関係機関は信頼構築に努めてほしい。
 札幌高裁判決は撃った弾丸がはね返り、周辺の人物や建物に到達する危険性を指摘した。安全を重視した判断だと言える。
 一方、クマによる被害が全国で増えている現実を前に、環境省はヒグマを含むクマ類を指定管理鳥獣に追加した。保護から管理への政策転換である。
 市街地での発砲も、警察官の命令がなくても行えるよう法改正を検討している。
 だが、高裁判決が確定すれば、発砲には一層慎重にならざるを得ないだろう。市街地であればなおさらだ。発砲判断の責任を行政側が負う仕組みが求められる。猟友会はハンターの身分を保障するよう求めている。国は法整備を進めるべきだ。
 そもそも猟友会は狩猟免許を所持するハンターによる民間団体だ。会員は減少し高齢化が進む。猟友会ばかりを頼みにするのは限界に近いと言える。駆除の体制を見直す必要がある。
 道などに科学的知識がある鳥獣行政の専門職員を増やし、市町村には自ら駆除を担う野生鳥獣専門員を置くなどして、猟友会と協力してヒグマ管理にあたる体制を構築すべきだ。
 狩猟に興味を持つ若者を「地域おこし協力隊」に任命することも考えられる。将来的には責任ある公的団体を設立し、駆除にあたることを検討したい。
 留意すべきは、ヒグマが貴重な野生生物であることだ。かつての「春グマ駆除」では数が激減した。同じ轍(てつ)を踏まぬよう、捕獲は生息数を正確に把握しながら進めることが肝要である。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く

2024-11-30 04:03:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.29】:女川原発判決 能登の教訓への認識欠く 

 東北電力女川原発2号機の運転差し止めを周辺住民が求めた訴訟で、仙台高裁が住民側の控訴を棄却した。
 
 住民側は重大事故時の広域避難計画に実効性がないと訴えていた。高裁は「避難計画の検討過程に過誤はない」として差し止めを認めなかった。
 しかし、元日の能登半島地震では半島に立地する北陸電力志賀原発の周辺道路が各所で寸断された。家屋倒壊も相次ぎ、屋内退避も困難な状況だった。避難計画が「絵に描いた餅」に等しい実態が浮き彫りになった。
 そうした現実を目の当たりにして、同じく半島に立つ女川原発の避難計画に住民が不安を強くしている。高裁の判断はそこを直視しておらず、能登の教訓への認識を欠いていると言わざるを得ない。
 避難計画の実効性に争点を絞った初の訴訟だった。地元自治体が作成し政府が了承した避難計画では、原発事故が起きた場合、住民は検査所で被ばくの程度を調べ車やバスで避難する。
 住民側はバスや検査所の人員が確保できず、道路が渋滞し円滑に避難できないと主張した。
 一審判決は「住民側は重大事故の危険性を立証していない」として、避難計画の実効性に触れないまま請求を棄却した。事実上の門前払いだった。
 高裁判決は、避難計画に重大な過誤があれば具体的な危険が推定され、差し止めが認められるとの判断枠組みを示してはいる。ただ「住民側は、避難計画では対処できない具体的な危険性を立証していない」とした。
 これでは住民側にとって訴訟のハードルは高いままだ。民事訴訟において立証責任は原告側が負うのが原則だが、公的な計画の不備といった大がかりな立証を、専門家ではない住民に厳密に求めるのは酷だろう。
 高裁判決は、避難計画について「事態に応じて臨機応変に決定し、段階的に避難することを想定している」とも指摘し、その危険性を認めなかった。
 だが、例えば吹雪の夜に巨大な地震や津波に襲われ、原発に深刻な事故が起きた場合でも避難計画は機能するのか。
 そうした過酷な状況下で無事に避難できるのかどうかを住民は問うている。高裁は正面から答えておらず、疑問が残る。
 原発の稼働を前提とする以上、避難計画に実効性は欠かせず、不断の検証が求められる。
 とはいえ、それが本当に可能なのか疑念は常につきまとう。
 脱原発に向かうことこそが最大の安全対策である。それを忘れてはならない。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・11.30】:32軍壕の県史跡指定 記憶継ぎ公開の弾みに

2024-11-30 04:01:30 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【社説・11.30】:32軍壕の県史跡指定 記憶継ぎ公開の弾みに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:32軍壕の県史跡指定 記憶継ぎ公開の弾みに

 「場」の持つ力は大きい。沖縄戦の実相を伝える「歴史の証人」として、公開・活用へ弾みがつくことを期待する。 

 日本軍が沖縄戦を指揮するため首里城地下に構築した「第32軍司令部壕(首里司令部壕跡)」が、県史跡に指定された。

第32軍司令部壕
首里の司令部壕、第1坑道周辺のトーチカ

 瓦礫となった首里城の城壁。(米海軍撮影 1945年5月) 沖縄公文書館所蔵

 県が沖縄戦の戦争遺跡を文化財に指定するのは初めてである。

 玉城デニー知事は記者会見で「平和教育の一つの拠点として活用していきたい」と述べた。

 32軍壕は、首里城の地下約30メートルに掘られた全長約1キロの壕である。総勢千人余の将兵と県出身の軍属・学徒隊らが雑居した。

 沖縄戦では、司令部が置かれたことで首里城一帯が米軍の攻撃目標になった。大勢の沖縄の住民を巻き込んだ組織的持久戦が方向付けられ、南部撤退の決断により、住民の犠牲は急激に増えた。沖縄戦を考える上で最も重要な場所の一つといえる。

 県の指定史跡になると、県文化財保護法に基づき開発行為などが規制される。

 32軍壕の文化財指定を望む声は各方面から高かった。戦争体験者や沖縄戦研究者は「大きな前進」と喜び「永遠の語り部にしてほしい」と期待する。

 南西諸島の軍事要塞(ようさい)化が進み「新しい戦前」との危機が叫ばれる昨今である。「ありったけの地獄を集めた」と表現される沖縄戦の一端を伝える場として、32軍壕の重要性はより高まっており、史跡指定の意義は大きい。

               ■    ■

 戦争遺跡を文化財に指定したのは全国で南風原町が初めてである。1990年に沖縄陸軍病院南風原壕群を町の文化財に指定した。その後、95年に国の文化財指定基準が改正され、戦跡の指定が可能となり、広島の原爆ドームが国史跡に指定された。

 文化財に指定された沖縄戦関連の戦争遺跡はこれで、県、市町村を合わせて29カ所となった。

 32軍壕は首里城北側に3カ所、南側に2カ所の坑口がある。県はボーリング調査などに基づき、内部の状況が確認できる第2・第3坑道(約110メートル)、第5坑口・第5坑道(約130メートル)を先行指定した。

 32軍壕が首里城の地下にあることも重要である。華やかな琉球王国の歴史の舞台となった首里城と「負の遺産」とされる32軍壕。再建が進む首里城と一体的に整備し、公開するべきだ。県民や観光客が沖縄の文化と平和を学べる場にしてほしい。

               ■    ■

 来年は戦後80年の節目の年である。体験者から直接話を聞くことが難しくなる中、歴史の証人として戦争遺跡が果たす役割は増している。

 県は本年度策定する保存・公開に向けた基本計画に32軍壕の具体的な公開範囲や方法を盛り込む予定だ。

 壕の内部は一部が崩壊したり、水没したり劣化が進む。未調査の箇所もあり、いまだ全容は分かっていない。課題は多いが、公開・活用へ向け、調査や作業を加速させてほしい。

 元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.29】:「危険運転」要件見直し 市民感覚 議論に反映を

2024-11-30 04:01:20 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【社説・11.29】:「危険運転」要件見直し 市民感覚 議論に反映を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.29】:「危険運転」要件見直し 市民感覚 議論に反映を

 時速194キロで車を運転し、死亡事故を起こした被告に「危険運転」が適用された。検察は当初、より法定刑の軽い「過失」で起訴したが、遺族に危険運転の適用を求められ、訴因を変更した経緯がある。 

 危険運転罪の成否が争点だった。

 事故は2021年、大分市内で起きた。当時19歳だった被告の男が一般道を走行中、右折車両に衝突。運転していた男性を死亡させたとして危険運転致死罪に問われた。

 裁判では、直線道路を走る被告の車両が「進行の制御は困難」だったかどうかが問題とされた。

 被告の車は法定速度60キロの3倍を超える猛スピードで走行していた。

 大分地裁は判決で、たとえ直線道路であっても、当時の路面の状況などからハンドルやブレーキ操作のわずかなミスで進路を逸脱する可能性があったと指摘。「進行の制御が困難な高速度に当たる」として危険運転と結論付け、懲役8年を言い渡した。

 どこまでが「過失運転」で、どこからが「危険運転」かの線引きは曖昧だ。

 悪質な自動車運転の処罰の在り方を議論してきた法務省の有識者検討会は27日、呼気や血中のアルコール濃度、走行速度について、一定の数値基準を新設することを報告書にまとめた。

 法改正に向けて、今後は法制審議会へ議論を委ねる。より市民感覚に即した適用と厳正な処罰につなげてほしい。

              ■    ■

 自動車運転処罰の在り方を巡っては、1999年、東名高速道路で飲酒運転のトラックが乗用車に追突し女児2人が死亡した事故を契機に議論が活発化した。

 2001年、刑法に「危険運転致死傷罪」が新設され、14年には刑法から切り離された「自動車運転処罰法」が施行された。処罰の上限は過失の懲役7年に対し危険運転は20年と重い。

 だが判断基準は曖昧だ。

 福井市で20年、酒気帯び運転し、パトカーの追跡を逃れようと時速約105キロで走行して2人を死傷させた事故が「制御困難とはいえない」として過失となった。

 また、いったん過失と認定された後に、危険運転に変更される事案も相次ぐ。

 有識者がまとめた報告書では、一定の数値を超過すれば一律に「正常な運転は困難」とすることを想定している。「最高速度の1・5倍や2倍」などとする意見も盛り込まれた。

              ■    ■

 大切な人の命を奪った罪の重さを判断する基準が曖昧では、残された者は納得できない。大分の遺族は危険運転致死罪への変更を訴えて署名活動を行い、約2万8千筆を集めた。

 今後、一定の基準が示されれば、より客観的な判断が期待できる。一方で、基準から漏れるケースも出てくるだろう。安定的な運用を目指し、さらに丁寧な議論が求められる。

 車社会の沖縄で交通事故は決して人ごとではない。安全運転を徹底し、危険運転に対する意識を一層高めていくことが必要だ。

 元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.28】:規正法の再改正 企業献金にメス入れよ

2024-11-30 04:01:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・11.28】:規正法の再改正 企業献金にメス入れよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:規正法の再改正 企業献金にメス入れよ

 政治改革を巡って与野党7党による協議が始まった。きょう召集の臨時国会で政治資金規正法の再改正を目指す。今度こそ改革の本丸である企業・団体献金の禁止に踏み込むべきだ。 

 少数与党で臨む臨時国会を前に、自民党の呼びかけで協議は開催された。これまでとの違いは、立憲民主党の要求に応じる形で公開の場での協議となったことだ。

 最大の争点は企業・団体献金の扱いである。

 野党は立民、日本維新の会、れいわ新選組、共産の4党が禁止を要求。ただ経済対策で政府と連携する国民民主は慎重な姿勢で、完全禁止からは一歩距離を置く。

 与党の自民は反対の立場、公明は有識者の意見聴取を提案している。

 衆院選から1カ月を経てスタートした協議だが、これまで同様、意見の隔たりは大きい。

 企業・団体献金は利益誘導的な性格を持ち、政策がゆがめられる恐れが指摘されてきた。

 協議後、自民の渡海紀三朗政治改革本部長は「企業献金が悪という前提には立っていない。党内で『やめろ』と言う人は一人もいない」と述べたが、国民感覚から懸け離れているのではないか。

 共同通信が今月中旬に実施した世論調査では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」との回答が67・3%に上った。自民党支持層でも半数を超えるなど禁止を求める声は広がっている。

               ■    ■

 企業・団体献金の禁止については、リクルート事件などを受けた1994年の政治改革で結論は既に出ている。

 当時、税金が原資となる政党交付金制度を導入する代わりに「5年後の禁止」が確認された。

 だが自民党の意向をくんで、99年の改正でも政治家が代表を務める政党支部への献金は認められ、「抜け道」が残されたのだった。 完全な約束違反である。

 党の政治資金団体「国民政治協会」が2022年に集めた企業・団体献金は24億5千万円に上る。

 前代未聞の巨額裏金事件の後である。「政治とカネ」の問題が繰り返されているだけに、厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。

 衆院選での与党大敗は「政治とカネ」を巡る政権への不信任でもあった。政治不信の払拭には改革の原点に立ち返り約束を履行する必要がある。

              ■    ■

 今年6月、改正政治資金規正法が成立した際、社説は「『抜け穴』と『先送り』だらけで、改革の名に値しない」と書いた。

 今回、自民党が重い腰を上げた政策活動費の廃止などは当然進めなければならないが、一部非公表を容認するなど、新たな「抜け穴」も懸念される。

 たった半年で異例の再改正に追い込まれたことを与党は真摯(しんし)に反省しなければならない。生煮えや弥縫(びほう)策は許されない。

 与野党による丁寧な合意形成が求められる。

 元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.30】:32軍壕県史跡指定 沖縄戦実相伝える拠点に

2024-11-30 04:00:30 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【社説・11.30】:32軍壕県史跡指定 沖縄戦実相伝える拠点に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:32軍壕県史跡指定 沖縄戦実相伝える拠点に 

 沖縄戦の実相を伝える上で最重要な戦争遺跡の保存・公開への貴重な一歩となる。

 沖縄戦当時、首里城一帯の地下に構築された日本軍の陣地壕・第32軍司令部壕が県指定史跡となった。戦争関連の県史跡は1897年に石垣市で造られた「海底電線陸揚室跡」があるが、沖縄戦関連では初めてである。

 司令部壕は1960年代に那覇市などが調査し、90年代にも大田昌秀県政が公開方針を打ち出している。壕内は経年劣化が進んでおり、保存・公開は時間との勝負だ。

 県は首里金城町側の坑道を2025年度に、守礼門近くの坑道を26年度に公開を予定する。沖縄戦体験に基づく平和創造・発信の拠点となろう。調査の継続による司令部壕の全容解明と公開に向けた安全対策に努めてほしい。

 南西諸島防衛を担う第32軍は1944年12月上旬から司令部壕の構築を始めた。構築には当時の首里市民や沖縄師範学校男子部の生徒らが動員された。45年3月から32軍中枢をはじめ軍人・軍属が司令部壕内に入り、5月末に本島南部に撤退するまでの約3カ月間使用した。

 沖縄戦を語り継ぐ上で司令部壕が不可欠なのは、一般県民の犠牲につながる作戦を指揮した地であるからだ。

 「本土決戦」を準備するための時間を稼ぐ「戦略持久戦」として沖縄戦は戦われた。戦闘を長引かせる作戦方針は県民犠牲を増大させた。特に45年5月末、戦闘継続のために県民が避難していた本島南部への撤退を決めたことは決定的だった。軍民混在の極限状態を招き、多くの県民が命を落としたのである。

 司令部壕は日本軍の県民蔑視・差別の発信源という側面も持つ。司令部壕の規定に関する文書に標準語以外の使用を禁じ、沖縄語によって会話した者を「間諜」(スパイ)と見なして処分するという定めがある。この方針は壕内だけでなく戦場に残された一般県民にも適用され、スパイ視虐殺の悲劇を生んだ。

 「軍隊は住民を守らない」ことが沖縄戦の実相であり、最大の教訓である。第32軍司令部壕は、沖縄戦の実相を現代に伝える「負の遺跡」と位置付けることができよう。県はそのことを最重視しなければならない。

 壕の公開作業と並行して「何をどう伝えるか」という情報発信の在り方を検討する必要がある。司令部壕に関する資料や証言収集に加え、戦争体験者に代わって司令部壕の史実を伝えるガイドなどの人材育成が求められる。

 沖縄の島々で自衛隊増強が加速する中で、戦前の日本軍と自衛隊の連続性を強調するような動きが起きている。沖縄戦の実相を隠蔽(いんぺい)したり、ゆがめたりするような言説が横行する恐れもある。

 司令部壕公開は、この風潮に歯止めをかけるものにすべきだ。沖縄県の平和行政の真価が問われている。

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌・11.30】:発揮すべき力

2024-11-30 04:00:25 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【金口木舌・11.30】:発揮すべき力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.30】:発揮すべき力 

 県庁が設置した米ワシントン事務所を巡り、県議会で自民を中心とした野党・中立会派が手続きの不備や設置の意義を問い、県政を追及している。険しい表情の玉城デニー知事を見ると、石破茂首相の顔が思い浮かぶ

 ▼2人は似たような境遇にあえぐ。選ばれ方や議会との関係が異なるため単純比較できないが、どちらも直近の選挙で少数与党となった。これまでになく緊張感が漂っている

 ▼玉城県政は追及の果てに、2023年度決算を不認定にされた。事業への影響はほとんどないが、知事は責任を突きつけられた。「速やかに必要な措置を講じていきたい」。議会後の知事は神妙な面持ちで言葉を選んだ

 ▼人は緊張状態になると心拍数や体温が上昇し、体は臨戦態勢になる。集中力や判断力、思考力が向上し、本来以上の力を発揮するという。さて、組織としての県庁は緊張感をもって県政を運営してきたか

 ▼県議会の11月定例会、臨時国会が始まった。存在感を増す野党、与党との丁寧な議論が期待される。だが忘れてはいけない。これは民主主義では当たり前のこと。議会は本来の力を発揮するだけでいい。

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年11月30日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.29】:オスプレイ発火 いつまで欠陥を隠すのか

2024-11-30 04:00:20 | 【米国・在日米軍・安保・地位協定、犯罪・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー】

【社説・11.29】:オスプレイ発火 いつまで欠陥を隠すのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.29】:オスプレイ発火 いつまで欠陥を隠すのか 

 このままでは、また人命が失われる。いつまで構造的欠陥を隠し、飛行を続けるのか。

 AP通信などによると、米ニューヨーク州で現地時間25日、米ホワイトハウス職員らを輸送していた米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行前に安全上の懸念が生じ、飛行停止となった。搭乗予定者らがエンジンから炎が出ているのを確認した。

 同機は要人輸送を担う第1海兵ヘリコプター飛行隊(HMX1)に所属していた。バイデン米大統領は搭乗していなかったとみられるが、大統領搭乗機の随伴機であり、ホワイトハウスの職員らが乗る可能性があった。職員は文民統制(シビリアンコントロール)を支える要職にあり、事故に巻き込まれて死傷すれば一時的にせよ政府機能に影響を及ぼす恐れもあった。

 オスプレイの不具合は枚挙にいとまがない。AP通信によると、オスプレイに関しては過去に少なくとも21件の重大事故があり、計64人が死亡している。2023年11月にもホワイトハウス職員と記者を乗せたオスプレイから、離陸直後に大きな「ポン」という音が4回聞こえ、煙が見えたことがあったという。

 日本でも23年11月に鹿児島県・屋久島沖で米空軍横田基地所属の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが墜落し、8人の米軍関係者が死亡した。オスプレイの元主任分析官のレックス・リボロ氏は構造上の問題を指摘し「安全性に深刻な穴がある」と断じる。

 米国内では政治家からも飛行停止を求める声が上がっている。米東部マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党連邦議会議員3人は25日、オースティン国防長官に対して、オスプレイの運用停止を求める書簡を送った。オスプレイの構造的欠陥を隠したまま飛行を続けることは許されない。

 それにもかかわらず、日本政府は機体の安全性を信じ込んでいる。10月に陸上自衛隊与那国駐屯地で発生した陸自輸送機V22オスプレイの事故について、中谷元・防衛相は「安全性について累次の機会に確認しており、問題はないと考えている」と述べた。

 米政府の求めに応じてオスプレイを唯一導入した日本政府は、事故が起きても製造元や米軍に機体の安全性について追及することはない。一方的な説明をうのみにするだけでは、陸上自衛隊員の生命を危険にさらすことになる。

 沖縄に米海兵隊のオスプレイが配備されてから今年10月で12年となった。16年12月、普天間飛行場所属機が名護市安部の沿岸に墜落した。17年8月にはオーストラリア東部海上に普天間所属機が墜落し、3人が死亡した。

 一体あと何件の事故が起きるのか。米軍基地間の移動は日米地位協定で無制限に認められており、危険は全国に及ぶ。県民の命はもとより、全ての人を守るためにもオスプレイを飛ばしてはならない。

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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