昨年の大晦日までには読了する予定だった「東電OL殺人事件」を、やうやく読み終へる。京王井の頭線「神泉驛」そばの古びたアパートの一室で、東電の管理職を本職とする賣春婦が遺体となって発見された平成九年三月八日當時、私は国立劇場で傅統藝能の基礎を學びながら東急沿線の町で初めての一人暮らしをしてゐた、その一年目にあたる。そして事件から三年後、容疑者のネパール人男性に無罪判決が言ひ渡され、結局真犯人はわから . . . 本文を読む
買ひ物で食料品賣場を覗く。正月三日目の、まだいくらか浮やかな雰囲気が残ってゐるそこで、北國の所在地を記すシールが貼られた海産加工物の数々に、ふと、雪が舞ふ厳冬の漁港風景を思ひ浮かべる。行ってみたいな……。まだ見ぬ土地へ、私は心のなかで瞬時の旅をする。空気が落ち着ひたら、今年も計画を立てやう。遠い近いではなく、樂しい発見を期待出来さうなところへ。 . . . 本文を読む