迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

松に待つ行く末。

2022-11-06 09:27:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、觀世流「松風」を聴く。在原行平の寵愛をうけた須磨浦の汐汲み姉妹は、靈となったのちも行平への戀慕止みがたく、姉娘は形見の烏帽子狩衣を身に纏ひ、濱辺の松を行平と勘違ひして狂亂的慕情を迸(ほとば)しらせる──世阿彌が古作に手を加え型を整へたと傅はる自信作で、思へば私が學生時代に初めて生で觀た能がこの曲であり、シテは先代の觀世銕之丞であったと記憶してゐる。その後、愛好者の高齢女性がこの大曲を . . . 本文を読む
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