ミカドが即位した年以来の十連休が現出した大型連休も今日で〆となり、企業組織から首に縄を掛けられた面々の溜め息が、あちこちで漏れたであらう一日。
この時期にはさまざまな事故が付き物だが、今年はとりわけクルマの事故が目についた氣がする。

衝突、激突、橫転、炎上──
映画のクラッシュシーンじみた大事故の報が、わざわざ採集するまでもなく連日飛び込んできて、「このヒトたちは本當に運転免許を持ってゐるのか……?」と疑ひ、呆れるばかりだ。
私の周辺でも、この連休中に都内でハデな玉突き事故を目撃したと云ふ人の話しを耳にし、また狭い裏道で對向車に道を譲らうと幅寄せしたところ、何を勘違ひしたかその後ろにゐた家族連れのクルマが追ひ越して前へ飛び出し、發進した對向車と危うく正面衝突しさうなった場面を、私も目撃してゐる。
つまり、それだけ普段から運転に慣れてゐない鮒侍が、狼狽へ眼でハンドルをにぎってゐたわけで、普通に運転さへしてゐれば問題ないものを、その“普通”すら出来ないのだから、免許返納とはなにも高齢者ばかりに限った話しではあるまい。
或るヒトは私に云った。
「運転免許も持ってゐない人が、さういふことを云ふのは恥ずかしいよ」
そこで私は返した。
「運転免許も持ってゐない人に云はれるはうが、よっぽど恥ずかしいよ」