大藏流狂言方の、懐かしい二世茂山千之丞師と四世茂山忠三郎師が出演してゐる「薩摩守」を、ラジオ放送で聴く。
今回放送のシテの僧は千之丞師の兄である故人四世茂山千作氏で、その時々の客質(ヒト)を見て小器用に藝を変へたと云ふ氏の、やたら台詞をがなり立てる過剰な演技で笑いを取らうとするあざとい藝とは対照的な、忠三郎師演じる茶屋亭主、千之丞師演じる渡し守のふっくらと上品な狂言はまさに京風、「これぞ本當の“お豆腐”なり」と、耳で舌鼓を打つ。
渡し舟を無賃乗船して秀句(掛けことば)で切り抜けやうとした僧が、茶屋亭主から教はった「薩摩守」の心「忠度」(ただのり)を思ひ出せず失敗する話しで、私も橫濱能樂堂で同じ茂山家の、次世代の面々で觀たことがある。
今回放送のシテの僧は千之丞師の兄である故人四世茂山千作氏で、その時々の客質(ヒト)を見て小器用に藝を変へたと云ふ氏の、やたら台詞をがなり立てる過剰な演技で笑いを取らうとするあざとい藝とは対照的な、忠三郎師演じる茶屋亭主、千之丞師演じる渡し守のふっくらと上品な狂言はまさに京風、「これぞ本當の“お豆腐”なり」と、耳で舌鼓を打つ。