橫濱市歴史博物館の企画展「ヨコハマの輸出工芸展」を觀る。
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幕末に開港したヨコハマから海外へ輸出されたニッポンの工藝品──橫濱眞葛焼、橫濱芝山漆器、橫濱彫刻家具、橫濱輸出スカーフの四點を紹介したもので、輸出品であったために國内には現物が少ない云々、その貴重な實物が見られる貴重な機會。
やはり外國人買ひ物客を意識して製作されただけあって、スカーフ以外は和装飾の「これでもか!」と云はんばかりなてんこ盛りぶり、
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(※フラッシュ無しで撮影可)
ここまで主張過剰だと、却って落ち着きがなく、なにやら和モノのフリをした別モノにすら見えてくる。
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これは少なくとも私好みではなく、かつて七代目坂東三津五郎が養子の八代目に、金蒔繪が絢爛に施された箱を汚いと語った話しにも通じるものがある。
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これら幕末工藝品が國内に殘らなかったのは、輸出品と云ふ以外にも理由があるやうに思へた。
となりの區画では同時開催として、令和五年度に橫濱市から指定・登録された文化財の一部が展示され、關東大震災によって大破し、分解された状態まま長らく保存されてゐたのを修復・復元したと云ふ阿彌陀如来像を觀ながら、
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かういふ佛像は信仰物として見るか、美術品として見るか、または骨董品として見るかで、見方も価値も全く違ってくるよなぁ、とその“深さ”を思ふ。
しかし、この佛像が遭遇した關東大震災にみる如く、大きな災害に見舞はれれば、尊像であらうがやはり破損は免れ難い。
今朝に道端で、誰かが先日の雪で作った雪ダルマが、朝日に溶けて頭が落ちてゐるのを見て、
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ふと足をとめたことを思ひ出した。
橫濱市營地下鐵“ブルーライン”で、橫濱を山側から海側へと移動し、
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お次は神奈川縣立歴史博物館にて、「華ひらく律令の世界」展を觀る。
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七世紀後半に唐國から渡来した法規則は、「律─刑法」・「令─民法等」として我が朝にも導入され、古代日本の官僚國家を形成する柱とされたが、その一環として推し進められた東大寺を総本山とする國分寺・國分尼寺を全國各地に建立する計画は事實上失敗するなど、十世紀に平将門が登場するより早々から、綻びが露呈してゐたらしい。
會場にウンザリするほど並べられた大量の土器と瓦の破片(かけら)は、さうした國家計画の失敗崩壊の殘骸とも云ふべきで、そればかり續いてそろそろ飽き始めてゐたところ、土器に描かれた落書きのやうな人面繪に出會して、ギョッとなる。
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(※フラッシュ無しで撮影可)
入口でもらった、今回の展示をそのまま図録化したやうなオールカラーの立派すぎる冊子によれば、このヒトの顔が書かれた土器は「人面墨書土器」とそのままの名稱で呼ばれ、ケガレを形代に移して祓ふ、現在の“大祓”につながる儀式との關連が推測云々、それよりも私は、古代にもかうした戯繪のやうなものを描いた人がゐた云ふことに、
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時空を超えてやっと人間(ヒト)に逢へた氣がした。