なぜひとはくだらないことでばかりなやむのか？

「先生、どうすれば職場での悩みとか、無くなりますかね？」

「カネのかかる趣味を見つけて、のめり込むことだ。

そうすれば、“オレは資金調達のために、ここにいるんだ”と思えるようになる。

そうすれば、職場での下らない景色なんか、視界に入らなくなるぞ。

気持ちを、窓の外へと解き放つことだ。

働く場所で、おともだちを作って“仲良しこよし”をしよう、などと云う考えが、そもそも間違っておる」

「いや先生、その悩みと言うのが、実は好きな女性(ひと)がいるんです。片想いなんです。でもその人、ほかに好きな男がいて…。どうせ叶わないのだから、もう諦めたいんです。でも、なかなか思い切れなくて」

「なにを軟弱な。まァよろしい。ならばその人のことを、一度どうしようもないくらい最高潮に好きになることだ。そうすれば、あとはリバウンドで、どうしようもないくらい最高潮に、キライになれる。“可愛さ余って”云々の応用と云うわけだな」

「……。それで本当に上手くいくのでしょうか？」

「人生は何事も、実践あるのみだ。デスクワークなど、なんの助けにもならん」