迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

悠久の旅繪図。

2024-07-09 16:30:00 | 浮世見聞記
神奈川縣立金澤文庫の企画展「江戸当世図上旅行」を觀る。



關所や通行手形に象徴される如く、道中(旅)について法的にやかましかった江戸時代、庶民にとって旅は“抜け参り”などの手段をとる以外には容易なことではなく、


(※當企画展に限り展示物の撮影可)

細やかに綴られたその記録は、それ以上に生涯數少ない經験をした記念──“思ひ出”として殘しておきたいものでもあったらう。



現代は旅先でもスマホひとつであらゆる事が足りる時代であり、私も大いにその恩恵に與ってゐる一人だが、地図については、私はやはり“紙もの”にこだはる。

スマホで検索する地図(マップ)はあくまで紙の地図の補助にすぎず、紙の地図ならば、その旅先で見たこと、聞いたことをすぐに書き留められ、結果的に地図を超える情報の詰まった臨場感あふれる資料となる。

さうして使ひ込んでヨレた地図に、私は一緒に旅をした記念──“友情”をも覺へて、旅のいちばんの思ひ出となるのである。



懐中用に小さく折りたたまれた大判の道中繪図の折れ線には、そんな旅人たちの様々な思ひ出が、たくさん刻み込まれてゐるのだ。








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