東京都新宿區の帝國データバンク史料館にて、テーマ展示「倒産60年史」を觀る。
私が十年間籍をおいてゐた組織と訣別した翌月、米國でおきたリーマン・ブラザーズの倒産──いはゆる“リーマンショック”の荒波は、ニッポンの弱体企業を次々になぎ倒し、弱小國民として再出發したばかりの私も、頭からもろ被りした。
まさに“外の世界”のキビシイ洗禮を受けたわけで、さうは問屋が卸さぬ浮世の現實を、いやと云ふほど痛感させられたものだった。
その後、元營業マンと云ふ人から聞いた、「“帝國データバンク”でその企業の資金情報を詳細に調べてから、營業をかけたものだよ」との話しから、さういふ信用調査會社があることを知り、その信用調査會社が戰後より六十年にわたって自らの足で出向き調査・發信してきた倒産直後の現實を、情報記者たちの生々しい“實見録”より垣間見ていく。
令和現在では、改元早々に蔓延猖獗を極めた人災疫病禍による官からの貸付金を返済出来ない中小企業が次々に潰れる、“ゼロゼロ融資倒産”が續出云々、しかしそもそも資金(おかね)が無くて借りてゐるものを返せと迫る官も官だと、私には思へてしまふ。
また醫療機関でも“人手不足”による倒産が相次ぐ一方で、官の推し進めるデジタル化に高齢の開業医醫が付いて行けずに廢業に追ひ込まれる事例も多く見られる云々。
企業經營とは、最新の時勢(かぜ)を最前線で常に睨みながら、自ら舵を取り續けなければたちまちひっくり返され、そしてその時勢に無情にも身ぐるみ剥がされる、なんとも恐ろしい賭事と似てゐるやうに思へてきた。