迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

橫濱造形鑑賞。

2022-06-02 19:51:00 | 浮世見聞記
橫濱驛から市營バスで約四十分、橫濱市中區本牧元町の住宅地にある横浜本牧絵画館を訪ねてみる。



それは江戸初期より代々名主をつとめた旧家跡に五年前に建てられ、その旧家の遠縁にあたる岩田榮吉と云ふ佛國で活動した画家の作品を所蔵云々。



1950年代にいちはやくフェルメールに着目し、また欧州の傅統的緻密画を學ぶニッポン人画家の先駆者的存在だったらしいが、寡作であり、また1982年に五十三歳の若さで死去したことなどもあって、現在確認されてゐる作品數はさう多くない云々。


(※全景ならば館内撮影可)

そのためか館内の展示も内容が薄く、案内チラシの印象から冩真と見紛ふやうな冩實画を期待してゐた私には、その普通な西洋画に「なんだ……」と落胆しつつ、それでも一應二巡して出る。

まう少し長生きして、まう少し作品世界が擴がれば、古本屋に図録が出てゐるくらゐの藝術家になってゐたのかもしれない。



まう一カ所、同區辨天通二丁目にこのたび完成した木造ビルを見物す。



大林組が令和二年に着工し、今年の五月に竣工して今月より本格稼働云々。

近頃流行りの、ステッカーをペタペタ貼り付けた“なんちゃってモノ”ではない、傍に寄ると本當に木の香りが漂ふ地上十一階建ての木造建築。



お次は澁谷のマルイが、木造による建て替へを計画云々。


日本はもともと木造建築の國であり──小泉八雲であったか、「木と紙で出来た家」と著した如く──、さうした原點回帰、温故知新は良いことだ……、といふ氣にだうもなれないのは、これまでに鐵骨をガラスで囲っただけの高層物を散々造ってゐたくせに、ここへきて急に思ひ付いたやうに“環境保全”を口にするやうになった不自然さ、ゆゑだらう。


「脱炭素社會實現のため」なる謳ひ文句も、これまでずっと不摂生な生活をしてきたヒトが、俄かに命が惜しくなって健康に目覺める「いまさら……?」な淺ましさを聞くばかりである。












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