迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

出発点。

2010-09-09 20:24:16 | 浮世見聞記
京都から近鉄電車を橿原神宮前経由で乗り継ぎ、下市口から奈良交通のミニ路線バスに乗り換えて杉木立の細い峠道を約1時間かけて越え、奈良県吉野郡天川村の「天河大辨財天社」-天河神社へ参拝しました。

私が芸能の道を進むきっかけとなったのは、中学生の時に映画「天河伝説殺人事件」(監督市川崑、原作内田康夫)を観たこと。

その映画の舞台が天川村であり、天河神社であり、つまりは今日の私の“出発点”。

大阪時代、東京より転居して間もない頃に初めて参拝、古来より芸能の神様として名高いお社でもあり、あれから約10年、これを機に再びと思い立ち、昨日の名古屋より京都泊まりで足を延ばした次第。



石段を上った先の本殿のなかは、御神体と奉納のための能舞台がごく近くで向き合っていて、神と芸能との密接な繋がりを感じさせるばかりでなく、その神粛な空気は自ずと衿を正したくなります。

約10年ぶりに訪れて思わず最初に洩れた言葉が、

「ああ、嬉しい…」


カラッとした陽気の青空を、鳶がピーヒョロロと鳴くのが聞こえ、神社の近くを流れる天ノ川のエメラルドグリーンの輝きに足を止めて溜息をつき、



川沿いの中学校で体育祭の練習をやっている光景すら微笑ましいくらいの長閑な眺めに見えるこの時間と無縁のような山間の地に、真新しい老人ケアセンターの建物を見た時、時代の流れは確実にここにも迫っていることを思わせられました。
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