迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

余韻謝謝。

2023-10-16 18:18:00 | 浮世見聞記
大田區池上を通ったが、本門寺に寄る余裕(じかん)をつくれなかったので、その分そちらの方角を向いて、先日の御會式で萬灯練供養を樂しませてもらった御禮を念で述べる。あの時は思ひ切って出かけて本當によかった。なにか、大きな“ちから”を分けて貰った氣がする。だから、今日の私がここにゐる。 . . . 本文を読む
コメント

自分の命は自分のもの。

2023-10-15 14:14:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送の寶生流「七騎落」を聴く。石橋山の合戰に破れた源頼朝は、海路で安房へ逃れる途中、一行の“八人”が祖父為義や父義朝が敗走した時の人數と同じで縁起が惡いと、誰か一人を船から下ろすやう家来の土肥實平に命じ、實平が敵と苦澁の決斷との両方に迫られるなか、息子遠平が下船すると申し出る──結果的には、頼朝方についた和田義盛の漕ぎ寄せた船に遠平が匿われてゐて父子は歡喜の再會を果たし、また頼 . . . 本文を読む
コメント

時間の代金。

2023-10-14 18:28:00 | 浮世見聞記
久しぶりに水道橋の能樂堂へ出かけたが、席についてから「私が觀たかったのと違ふ……!」と強く思ふものがあり、とりあへず一番目の曲の間だけ座ってゐて、済んでから構はず外へ出る。たしかに切符代の數千圓は無になったが、惜しくはない。不本意なものにガマンして最後まで付き合って、時間と云ふ還って来ないものまで無にすることのはうが、私には惜しい。おかげで、外に出てから別な一つの懸案を済ませることが . . . 本文を読む
コメント

蒲田の正体?

2023-10-13 21:06:00 | 浮世見聞記
東京都大田區蒲田にて、ちょくちょく鳥居先を通り過ぎるばかりの薭田神社に、今回こそはと参拝する。平安時代に編纂された記録にすでに名が確認されると云ふ古社にて、和銅二年(709年)に行基が三体の神像を當社に安置し、鎌倉後期に日蓮が地元民の要請で神像の開眼を行なふなど、古への神佛習合ぶりが興味深い。ちなみに . . . 本文を読む
コメント

大安結縁。

2023-10-12 22:50:00 | 浮世見聞記
先週からずっと氣になってゐた、池上本門寺御會式の萬灯練供養を見物す。正面から行くと露店とヒトで大混雑だと事前に聞いてゐたので、見たいのはそれではなし、 回り道をして本門寺裏から入る。日蓮聖人入滅のとき、庭の櫻がにはかに咲いた故事に因んで始まったと云ふ萬灯練供養は、江戸町火消しに起源をもつ纏持ちを先導に、團扇太鼓に鉦、笛の浮きやかな音色にのせて、参道と佛庭に秋の櫻を降らせる。全國の日蓮宗講中によって . . . 本文を読む
コメント

百年退歩。

2023-10-11 22:23:00 | 浮世見聞記
千代田區立日比谷図書文化館の特別展「首都東京の復興ものがたり」を觀る。大正十二年(1923)年九月一日の関東大震災は、江戸の續きに成り立ってゐたトウキョウを一掃し、新たな近代都市トウキョウを創る契機ともなった。(※一部を除き展示物の撮影可)それは令和の人災疫病禍元年に感じた、「災害は物事を政治的に改變する好機」にも通じる都市大改造計画であったが、そのなかで隅田川に架け . . . 本文を読む
コメント

令和人工。

2023-10-10 23:27:00 | 浮世見聞記
東京都世田谷區代田の住宅密集地にて、にはかに“和”空間に行き當たり面喰らふ。はて、この界隈に“〇〇家住宅”な古民家の史跡なんてあったかしら……? と疑問に思ひ調べたら、一帯をさういふ雰囲氣に造った和風ホテルなり。なんだ、現代の人工(つくり)モノか、と途端に興味を失ふ。昔から和モノかぶれな私だが、かうした見榮っ張りが喜んで出かけさうなイカニモ空間は好まぬ。さりながら、面白いものを見つけ . . . 本文を読む
コメント

秋雨愁空。

2023-10-09 22:45:00 | 浮世見聞記
夕方に小雨となったほかは、シトシト雨のしつこい一日。これが昨日でなくてよかったと、つくづく思ふ。 長袖を二枚重ねて外に出て、丁度よい氣温。一ヶ月前には、これに湿度が加はってゐたのだから、まったくよく今日まで生き抜いたものだと、我ながら感心するより、ゾッとする。夜は長し。何に使ふ?寝ることに使はう。 . . . 本文を読む
コメント

夜盗殘月。

2023-10-09 18:23:00 | 浮世見聞記
觀世流「熊坂」を、ラジオ放送で聴く。美濃國赤坂宿に泊まった金賣吉次一行の襲撃を企てた熊坂長範の盗賊團が、一行にゐた牛若丸に悉く撃退される話しで、後シテの熊坂の靈はいはゆる一人芝居で牛若丸に翻弄される様を再現する。その件りでは地謠が重要な役割を果たすのだが、今回の放送のやうな緩急の使ひ分けに欠ける“急”ばかりな合唱では、牛若丸と熊坂長範、どちらが優勢なのかすらも判らない。以前に水道橋の能樂堂で、若手 . . . 本文を読む
コメント

彩爛奮舞!

2023-10-08 20:00:00 | 現代手猿樂
埼玉縣坂戸市で開催された「第23回 坂戸よさこい」のなかのステージイベント「さかカルフェス」に参加して、現代手猿樂「那須与一」を舞ふ。初演以来、「那須与一」を舞ふ日はたった一度を除いていつも惡天候ゆゑ、もし雨が降ったら野外で乱舞するよさこい連の皆さんゴメンナサイ、と心で手を合はせてゐたが、幸ひ曇天に留まりホッとする。よさこい會場の道路に沿った坂戸市民會館は、客席よりもロビーのはうが衣裳もメイクもバ . . . 本文を読む
コメント

藝運長久。

2023-10-07 23:50:00 | 浮世見聞記
東京都大田區中央六丁目の高薹に鎮座まします太田神社に参拝す。江戸時代初期の創建と考へられ、主祭神は“誉田別尊(ほんだわけのみこと)”こと十五代應神天皇だが、那須与一宗高の木像が御神体として安置されてゐる社とのことで、現代手猿樂で那須与一を前シテとする「扇之的」を創作し、すでに何度も舞ってゐるだけに、前から一度お参り . . . 本文を読む
コメント

秋の實覺。

2023-10-06 18:20:00 | 浮世見聞記
この秋いちばんの冷え込み云々の今朝、近所の空き地にセイタカアワダチソウが色付き始めたのを、今年初めて見る。そして出先で植ゑ込みに、同じくムラサキシキブの實が色を添へ始めてゐるのを、今年初めて見る。過ぎし夏は百日紅の花さへ目に映らぬくらゐに暑さにやられたが、それがやうやく去ったことで、やっと本来の私の目と感覺を取り戻しつつあることを認識した、太陽照りつけし昼下がり。 . . . 本文を読む
コメント

冷来禮禮。

2023-10-05 19:15:00 | 浮世見聞記
昨日にしつこく續いた雨模様がやうやく仕切り水となったか、今日は朝の空氣がひんやりとして、昼頃から太陽が顔を出してもカラリとしてゐて不快な汗をかかずに済み、久々の救ひを覺ゆ。げに蚊と湿度は天敵なり。そろそろ長袖を出さん。体力以上に氣力を減退させる湿暑がやうやく去り、殘り二ヶ月となった今年をいかに過ごすか、やっと考へる余裕が生まれる。夏の間に片付けやうと計画してゐた事柄を、そのやうに實行できたことは、 . . . 本文を読む
コメント

車内で泣く子ども「静かにさせろ」怒鳴られる母親を手助けできず…後悔つづった投稿に反響、あ…

2023-10-04 23:14:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kahoku/nation/kahoku-20231003khn000030?fm=d『仙台市バスの車内で、泣く子を連れた母親が高齢男性に「うるさい」と怒鳴られ、途中下車した−。目撃した女性は何もできず……』──そもそも、なんで幼児(ジャリ)ってのは、乗り物に乗った途端にギャーギャーはじまるのか、私 . . . 本文を読む
コメント

奮奮珈琲。

2023-10-04 20:19:00 | 浮世見聞記
サントリー“BOSS”の増カフェインシリーズの第二弾を、自販機で見つける。キャラメル、カフェオレに續き、今度はカフェモカ。カフェインのちょっとクセのある苦みが、カカオの風味でまずまず中和されて、ココア感覺でも味はへるかも。ただ、飲後に“何か”を胃に感じるのは、やはり、強カフェインの為せる業かしら……? . . . 本文を読む
コメント