迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

秋雨愁空。

2023-10-09 22:45:00 | 浮世見聞記
夕方に小雨となったほかは、シトシト雨のしつこい一日。これが昨日でなくてよかったと、つくづく思ふ。 長袖を二枚重ねて外に出て、丁度よい氣温。一ヶ月前には、これに湿度が加はってゐたのだから、まったくよく今日まで生き抜いたものだと、我ながら感心するより、ゾッとする。夜は長し。何に使ふ?寝ることに使はう。 . . . 本文を読む
コメント

夜盗殘月。

2023-10-09 18:23:00 | 浮世見聞記
觀世流「熊坂」を、ラジオ放送で聴く。美濃國赤坂宿に泊まった金賣吉次一行の襲撃を企てた熊坂長範の盗賊團が、一行にゐた牛若丸に悉く撃退される話しで、後シテの熊坂の靈はいはゆる一人芝居で牛若丸に翻弄される様を再現する。その件りでは地謠が重要な役割を果たすのだが、今回の放送のやうな緩急の使ひ分けに欠ける“急”ばかりな合唱では、牛若丸と熊坂長範、どちらが優勢なのかすらも判らない。以前に水道橋の能樂堂で、若手 . . . 本文を読む
コメント