陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

長月(九月)の秋草花

2023年09月02日 | 日記・エッセイ・コラム

あっという間に九月です。

35度を超す猛暑に人間さまだけでなく動物も植物も息絶え絶えの八月でした。人間さまには「惜しみなくーラーを使うように」とテレビやラジオがやかましく言っていましたが、植物たちにとってはこの暑さはどうだったのでしょう?  

水やりも放棄していた裏庭を点検してみると・・・、どうでしょう冥加がちゃんと花をつけているではありませんか!

 

日陰の湿った土の中から首を出し白い花を咲かせていました。この異常な暑さの中でも、ちゃんと季節を感じ顔を出したに違いありません。その生命力と順応力に思わず感嘆の声を上げてしまいました。(冥加は、昔から秋の季語だったようです)

 

眠れぬ夜あけて冥加の花を見に   中島鬼谷

つぎつぎと冥加の花の出て白き    高野素十

 

雑草と山野草が入り混じったように咲く、山際の自然体の我が家の庭には、今、オレンジ色のノカンゾウが咲き始めています。

萱草は一日花ですが次々と新しい花を咲かせ、毎年初秋の庭を明るく彩ってくれます。なんともたくましい花々です。

 

萱草やここに芽を吹く忘草   正岡子規

萱草の夕日の色に咲き惜しむ  駒井えつ子

 

暑さをしのぐ秋草花に 乾杯 です。

 


熱帯雨林?

2023年08月22日 | 日記・エッセイ・コラム

熱帯雨林とは、


夕顔が咲いたよ

2023年08月18日 | 日記・エッセイ・コラム

大型台風の影響で突然土砂降りの大雨が降ったり止んだり・・・、照ったり曇ったり・・・、そんな天気が数日続いたせいで、日照り続きにあえいでいた植物たちが急に勢いを増した。特に熱帯性の植物(ゴムの木とバナナの木)は我が意を得たりとばかりの異常なほどの成長ぶりだ。

 

そんな中に一輪の夕顔がさいた。

花冠五裂した白い花びらはまるで天女が舞い降りてきたようだ。

夕暮れのひとときうっとりとその白い羽衣に見とれてしまった。

顔の天女のごとく降りにけり

 

   夕顔に水仕もすみてたたずめり       杉田久女

    夕顔のひらきかかりて襞のごとく  杉田久女

   

     

 

 


熱波の中の作品作り

2023年08月06日 | 陶芸

連日の酷暑、木も草も人も動物も暑さの中であえいでいるような毎日です。なかなか元気がでません。

今年も、クーラーのないアトリエで秋の展覧会のためのオブジェ作りに悪戦苦闘しています。それにしても今年の夏は異常です。窓を開け放って仕事ができるのは早朝の4時から8時頃まで、日中は休んで、日の陰る夕方の5時頃からが夜の仕事。おかしなライフスタイルにはまっています。

 

  

 

毎年、8月のひと月をかけて作品を製作し、9月に乾燥させて10月までに焼成、11月の展覧会に間に合わせる・・そんなスケジュールを繰り返してきました。オブジェの大きさは、高さ70センチ・幅40センチ・重さが20キロほど。粘土の具合もあって一日に積める高さは数センチから10センチどまり。根気のいるかなりしんどい仕事です。それでもその無心の時間が心地よく、作品作りを続けてきました。

 

                 

       聖跡から(2022年)

 

      さあ、今年も頑張らなくっちゃ?

 

 


早朝の公園で

2023年07月21日 | 日記・エッセイ・コラム

早朝の公園は、夜のうちに木々が吐き出した豊かな酸素に満ちていて、しっとりとした爽やかさだ。

この季節の日の出は午前4時45分。明けたばかりの日の光りがまだ優しくて、早起きして犬と散歩に出てきた人の姿を、そのまま自然の景色に取り込んでしまう。目覚めたばかりの公園と出会うのは気持ちがよい。

 

私の住むこの辺りは、住宅地の真ん中にある丘陵地帯で、近くの谷津山でも麓の清水公園でも昔からラジオ体操をやっていた。それはずっと承知していたけれど、夜型の暮らしに慣れ親しんでいる身にとっては無縁なものと思いこんでいた。早朝、体操を終えて山を下りてくる人々の弾んだ話し声も、ベッドの中で聞くのが日常だった。

6月に思いがけなく体調を崩した。それが思いがけずなかなか回復しない! 「このままじゃいけない」その時ふとそう思った。その時思い出したのが朝の体操のことだった。日本の義務教育で育った子供なら誰でも知っているラジオ体操。当時はこれにどんな意味があるのか、国民の体位向上を図っての国策だなんて考えもしなかったが、ふと「やってみよう!」と思いたった。今思えばよほど不調だったのだろう。

 

朝6時15分 公園に行くとラジオ体操の会のおじさんおばさんがすでに数人集まっている。当番がスイッチを入れてラジオをかけ、指導者が前に出て音頭をとってくれる。最初は年寄りばかりかと思ったが気を付けてみると老若男女入り混じって、よく市民性を表している。

先ず・みんなの体操、次に 中国体操 それから ラジオ体操第1 ラジオ体操第2 所要時間は約30分 結構きつくて汗をかく。

 

思い切り手足を伸ばす心地良さ今さらながらラジオ体操

毎朝、近くで鳩が遊んでいる。今朝など、大きなガマ蛙が広場を横切り体操をストップさせるハプニングもあった。まだ一ケ月も続いていないのに、夜型のライフスタイルは完全に朝型にかわりつつある・・・、何だかおかしい・・ね。


初蝉

2023年07月17日 | 日記・エッセイ・コラム

昨日(16日)朝公園にラジオ体操に行くと、木々の間から蝉の声。7月16日6時初鳴きです。

まだ数匹ですが「ジイージイー」とアブラゼミです。

蝉の初鳴きの平均は大体7月の中旬、気温が上昇すると鳴き始めると言われています。今年などはもうずっと前から35度が続いていますから、気温だけが蝉の羽化の要因ではなさそうです。

地面の中にいる蝉が「よし!条件が整った」と思わなければことは始まりません。鳴く蝉はオスですからメスを呼ぶ準備が整う頃・・・、そう梅雨がはっきりと開けて交尾が可能だ!と感じなければいけません。

早速家に帰って。庭のあちこちを調べました。

モチノキの葉っぱの上と雨戸の縁にありました。まだ真新しい抜け殻です。(写真)

ということは、やっと本格的な夏になった!ということなのでしょうか?

蝉たちの命が無事にまっとうされますように‥‥、頑張れ!!

 

 空蝉やいのち見事に抜けゐたり  片山由美子

 


カサブランカ

2023年07月12日 | 日記

カサブランカ・ あまりにも整い過ぎるよ白い百合

存じの真っ白で大きな美しい百合の花です。そのカサブランカが、今、我が家の庭で真っ盛り。4本も揃って重たそうな大きな花を懸命に支えて咲かせています。花も見事ですが香りも強烈で、真夏の太陽に負けない存在感です。

 

花言葉を調べてみたら、 純粋・無垢・祝福・壮大な美しさ・高貴・威厳 まさに最高の誉め言葉です。

確かに真っ白で優美な花姿と強く甘い香りは、純粋で無垢で壮大で高貴で威厳に満ちています。(・・・・でもこれってちょっと誉めすぎ?)と思うのは私が日本人だから?・・・。聖書には「ソロモンの栄華も百合に如かず」という言葉があるそうで、その聖なる花を、さらに大きくさらに美しく改良したのは花の国・オランダで、オリエンタル・ハイブリッドとしてのカサブランカを誕生させました。

 

あまりにも花が立派で重たくて、自分では支えきれないのでしょう、首をたれてしまう庭のカサブランカです。

今は切り花にして大壺の中に。部屋いっぱいに大きな白い花を広げて、線香代わりの甘い香を振りまいています。

 

(ちなみに「カサブランカ」と聞くと、アメリカ映画「カサブランカ」を思い出す人もあるのでは?(北アフリカ・モロッコにある都市カサブランカを舞台にした1940年代の映画、イングリッド・バーグマンとハンフリー・ボガード主演) カサブランカはスペイン語で「白い家」の意味。花の名はそのあたりとも関係していそうな気もしますが・・。)

 

 

 


イワタバコ

2023年07月12日 | 野草

イワタバコ・日の当たらない湿った岩などに生え、タバコに似た葉をつけ、星形をした紅紫の花を下向きに咲かせる。

ずっと昔、井川峠に行く途中の岩場で見つけて持ち帰り、家の庭石につけて咲かせたのが一代目。一代目が絶えて、これは知人に頂いた我が家の二代目のイワタダコ。ほっておいたのに夏の気配をさっちしてか、可愛い花を咲かせた。どこかで岩を流れる清水の音がしてきそう・・・。

滝川の鳴りこもるあり岩たばこ   阿波青畝


益子陶器市

2023年05月06日 | 旅の記録

穏やかな五月晴れの益子、たくさんの人が思い思いにテントを覗きながら楽しそうに歩いている。

益子町では、この大掛かりな陶芸市を一年に二回。春と秋に開催している。

丘の上の益子陶芸美術館のあたりは、テント・テント・テント さながらのテント村だ。すでに売れっ子の作家さんも、駆け出しの若者たちも

ここでは平等。テントの中には作家さんが居て、尋ねると釉薬のこと・焼成のこと・土のこと・・・なんでも答えてくれる。作り手と買い手のコミュニケーションが目玉 、会話が弾む。買っても買わなくても、見るだけで楽しい会場の雰囲気。

ここは、いわゆるお土産屋さんが軒を連ねる城内坂通り。この期間中はお店の前にもずらりと出店が並んでいる。

ぞろぞろ・ぞろぞろ・人の行列が続いている。通り道ばかりでなく、路地裏の小道まで ぞろぞろ・ぞろぞろ。

人の波につられて入っていくと、小路の奥に思いがけない作家さんのアトリエが有ったりして、楽しい・・・!

 

とにかく盛り沢山の作品・作品、100円の箸置きから300円のカップまで、あれもこれもと見とれて歩いていると、何が買いたかったか分からなくなってしまう・・・、それもまた楽しい!

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「益子焼」という焼き物は江戸時代からすでにあったもので、日常雑器や甕などを焼いていた。それが一躍有名になったのは、大正期に起こった民芸運動でのこと。活動の中心人物だった浜田庄司が益子に拠を構え活動を展開した。以来、浜田庄司らを中心に多くの傑出した陶芸家を生み出した。そんな伝統を踏まえて、今もなお次世代の作家たちが現代陶芸の拠点として頑張っている。

付記

浜田庄司の陶磁器コレクションや浜田邸などを楽しむならイベントのない平日がおすすめ! 

器好きには陶器市は楽しいし、値段も格安、一石二鳥の絶好のチャンス! 

陶芸に興味のある若者には、ぜひ若い作家と交流して欲しい! 次世代の陶芸家が生まれるチャンスかもしれない!

ちなみに今回は、東京(都心)から常磐道を通って笠間から益子へ入る常磐周りルートで、鄙びた田園風景を楽しみながらの2時間半のドライブ。帰りは、益子道の駅で買い物、その後、都心に向かう渋滞にはまって時間を取ったが、楽しい日帰りツアーとなった。

 

 


さくらちる

2023年03月27日 | 日記・エッセイ・コラム

満開を愛でる間もなく一夜の雨で花が散り始めました。

 

ひらひらひら ここは越後か奥信濃?

雪ふるごとく 花の降る 

駿河の国駿府 2023・3・27

   

 

山の階段にも・・・。

落下した赤い椿の花の上にも・・・、

タンポポの花にも・・

蕗の薹にも・・・ひらひらと

足早にバトンをタッチさくら花


風光る

2023年03月09日 | 日記・エッセイ・コラム

  風光りすなわちもののみな光る   鷹羽狩行

    

    ヒメリュウキンカ

 

 

   

  イカリソウ

 

 レンギョウ

 

 タチツボスミレ

 

 

 コブシ

 

  

 ヒトリシズカ

 

ミスミソウ(雪割草) 

暖冬異変とか、暖かな日が続いています。うちの庭でも小さな草から大きな木まで、一斉に目覚め始めました。

怪我をした小鳥(ハラジロ)も、もう姿を見せなくなりました。無事に生還して仲間たちと空を飛んでいることでしょう。

2023年3月9日 百花繚乱・風光る日に

 

 

 


happening・ハプニング

2023年03月05日 | 日記・エッセイ・コラム

ポカポカ陽気、まだ木々は芽吹いていないが、山野草たちはそろそろと目を覚まし始めた。

お日様を楽しもうと窓を全開にしてコヒー飲んでいたら突然「ガシャン」とガラス窓に衝撃が・・・。

 

見るとテーブルの上に呆然とした一羽の小鳥が・・。ガラスに衝突して脳震盪を起こしている様子だ。じっと観察していると動き始めた・・が、飛び立つ気配はない。ヒヨと似ているがヒヨではない、スマホで調べると「ハラジロ」とある。

小鳥は、小一時間ほどするとバタバタと動き始めたので庭に放した、一目散に走り出したものの飛べないらしく、庭の隅っこの薄暗い石垣の間に隠れるように入っていった。次の日、小鳥の様子を見に行くと、人の気配を素早く感じ取って走って身を隠すハラジロを見つけた。が、やっぱり飛び立つことはできないらしい。次の日もまたその次の日も、庭の草や木の実をあさって生き延びてはいるが、人の気配を感じると素早く隠れてしまう、ただその動作がだんだん機敏になってきた。

ぽかぽか陽気の昼さがり、庭の木の梢でピーピーと鳴く数羽の小鳥たちを見つけた。ハラジロの仲間に違いない。何らかの方法で、ここにいるよと連絡し合っているのだ(と思えた)迎えに来ているのだ!!

昨日、ついに近くの木の枝にまで飛んだ。左の真ん中あたりにいる小鳥がそれ・・・。

スマホで追いかけたがうまく撮れない。今日あたりは仲間が迎えに来てくれて、一緒に飛び立てたらうれしいのだけれど!。

今、庭はマンサクの花が満開。

 


蕗の薹

2023年02月20日 | 野草

春だよ 真っ黒な土の中から真っ先に顔を出したのは 蕗の薹

 

    

あっちの隅っこから、ほらこっちの隅っこからも 蕗の薹

 

     

 鮮やかなこの色は萌黄色? いえ、どう見たってこれは 春色。

 

       

   春色フキノトウ 

 


寺と仏と梅の花

2023年02月05日 | 日記・エッセイ・コラム

    野仏に手折りて供へん梅一輪

 

                 

       

 立春です。暦の上では春が始まっています。

町中でも梅の花が咲き始めました。明るい日差しの中、野山を散策するのが楽しい季節になりました。

散歩に出かけた近くのお寺で、写真のような石仏を見つけました。

すっかり古びてしまったからでしょうか、寺の奥庭の隅っこに追いやられ捨てられたように並んでいる野仏です。

苔むしていますが、よく見ると細かい装飾に取り巻かれた美しい石仏の姿がうかがえます。

こちらは三面馬頭観音? でしょうか、微笑んでいるお顔の表情が可愛いい石仏です。

頭が欠けてなくなってしまった石仏もあります。それがまた時の重さを思わせて、かえって味わいを深くしているように感じられます。

そのどれも、遠い昔、誰かが、深い願いを込めて掘らせ、祈りをこめて奉納したのでしょう・・・・。

清水寺は、家康が駿府に人質に出された頃からある今川氏のお寺です。「京都からやってきたお姫様が寂しがるので、ふるさとの清水寺を模して造らせたお寺」と私たちは聞かされてきました。近隣には京都と同じ「音羽町」などの地名も残っています。

お寺は、昨今の家康ブームで家康一辺倒・・・、今川氏から続く寺院の面影は失われつつあります。

 

梅一輪一輪ごとのあたたかさ   服部嵐雪     

 


小鳥を呼ぶ日

2023年01月29日 | 日記・エッセイ・コラム

谷津山から静岡市内を見渡した写真です。樹々の間に見える小さな赤い屋根、そこが私のアトリエです。冬至から1か月、お日様の角度が冬至より1か月分高くなり、日照時間が1か月分長くなると、魔法のように自然が目を覚まし草や花や木々が動き始めます。小鳥たちがどこからともなくやってきます。

今日は1月29日。大寒が去って久しぶりの穏やかな午後です。12月22日の冬至から一か月、言いかえれば日照時間が一か月分だけ長くなった日、暖かな日差しがアトリエいっぱいに差し込んで気持ちまで明るくなってきます。

     窓を全開にして音楽をかけて・・・、輪切りにした蜜柑を木々の小枝にさして「さあ小鳥たちおいで、一番のりは誰かな?」と言っても、百メートル以上もある山の上からどうやって下界の片隅の小さなアトリエの小さな小さな輪切りの蜜柑を見つけるのでしょうか? きっと、人より何十倍も優れた性能の目を持っていいるに違いない・・・なんて思うと、無性に小鳥たちが愛おしく思えます。

本日の最初のお客はメジロでした。まだ子供のような小さなメジロが三羽、まわりを用心深く観察しながら近づいてきて、さっと輪切りのみかんに飛び乗りつつき始めました。そして、しばらくすると選手を交代し、今度は見張り?にまわります。

←こちら別のメジロ

次のお客はヒヨ。蜜柑ではなく水瓶で水浴びをして水を飲んで・・。

自分より数倍大きいヒヨが来ると、小鳥たちは一斉に逃げ出します。

次の訪問者はジョウビタキ。ジョウビタキは我が家の常連です。物知り顔にあちこちを観察してから蜜柑をつつきます。

その姿形のかわいいこと体の色合いの美しいこと・・・私の好きな小鳥です。カメラを向けたら飛び立ってしまいました。

 

小鳥たちは、あたりに人の気配がなくなると途端にリラックス、小さな鳥から大きな山鳩まで楽しそうに遊んでいきます。山の自然がまだ冬眠から覚めやらず、食べ物が十分でないからでしょうか、この時期の小鳥の人懐っこさは特別です。

小さな体で思い切り高く舞い上がり空を旋回したり宙返りしたり・・・、そんな鳥たちの姿を見ていると、もし来世というものがあるのなら、鳥になって空を飛ぶのもいいかなー、なんて思ったりもします。冬から春に向かうこの穏やかな一日を「小鳥を呼ぶ日」と呼ぶことにします。

  野にあって小鳥ごこちや百千鳥   池田澄子