陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

ヒメジョオン(姫女苑)

2022年06月08日 | 野草

空晴れて何やらうれし姫女苑(ヒメジョオン)

今日は朝から轆轤挽き・・・。何となく久しぶりに轆轤を挽きたい気分・・・・。

轆轤を挽きながら窓の外を見ると、雨上がりの緑がキラキラと輝いてひときわ美しい。緑と言っても、ここの緑は自然に生えてきた名もない雑草たちの集まりだからいわば雑草園だ。その雑草園の草たちが、互いに程よいバランスを保ちながら主張しあって作りだしている風景も、どうしてなかなかのもの・・・。そんな中でも今日の主役は姫女苑だ。雨の後に急に伸びた背の先に白い野菊のような花をつけている、それがひときわ目をひき美しい。

 

ヒメジョオンは、小さいジョオンという意味で「姫女苑」と書く。もともとは北アメリカ出身で、明治時代に園芸用として日本にやってきたもの。それが、何故か後に雑草として生きる道を選んだ。鉄道の路線の開線に伴って全国に広まった。

ヒメジョオンとよく似たものにハルジオンがある。こちらは「春紫苑」と書き、ハルジオンはタネが風で運ばれるため、落ちぶれた家の庭によく生えるので「貧乏草」ともいう。こちらの方が繁殖力が弱い。 (稲垣栄洋・雑草図鑑)

(写真は、アトリエから見える雑草たちの姿です。)


花入れ3題

2022年06月03日 | 陶芸

最近焼いた花入れです。

生地は焼き〆ですが鉤のような部分にだけ灰釉を付けました。鉤がモチーフのつもり。

参考にしたのは昭和40年代の日展作家・安原喜明さんの炻器(釉薬をつけないで高温で焼成する・焼き締め)の作品。安原氏の作品は斬新なフォルムに詩的なパターンの象嵌や書き落としを施し素朴に焼しめたものが多いのですが、その雰囲気が出たでしょうか?

 

花を入れなくても、それなりの存在感のあるものが好き。

 

おかしな取っ手がテーマの花入れ。

上記と同じく焼き締めの素地にひと筆掻き落としを入れたもの。

庭に咲いていた白いアジサイを1本入れてみました。

下↓

過装飾なぐらいに粘土を張り付けたり削ったりして凹凸をつけてみました。

青い紫陽花を生けてみたら、少し柔らかい雰囲気になりました。

 

    山には、今、色とりどりの紫陽花がきれいです。

    

 

 

 


土にありがとう

2022年05月30日 | 日記・エッセイ・コラム

これ、今朝の収穫。

笑っちゃいけません・・・・、たったこれっぽっち? なんて・・・。

●暮れに、芽が出てしまったジャガイモ、半分に切って灰を付けて、土に埋めておいただけなのに、芽が出て葉が出て花が咲いて、掘ってみたら

イモゴロゴロ?・・・・、ちょっとした朝のサラダには十分です。新鮮でとっても美味しいジャガイモでした。

●蕗は庭に自然に生えてきたもの。蕗の薹を天ぷらにした後、可愛がって土など掛けておいたら、次々と太った茎が出てきました。何回も収穫、キンピラ風にゴマ油で炒めて酒とみりんと醤油で味付け、とても美味しいイッピンです。

土と 水と 植物と、その命の饗宴に カンパイ !!

 

 


カンパネルラ

2022年05月21日 | 日記・エッセイ・コラム

カンパネルラがたくさんの花を咲かせました。山野草でなくて園芸種のイタリア原産の花を育てたのは、私としては珍しいことです。「カンパネルラ」という名に惹かれて小さな苗を2本買ったのが去年の秋だったでしょうか。ほっておいたのが雨続きの中で急生長し1メートルもになって薄紫の美しい花を咲かせたのでした。

 

   

 

「カンパネルラ」という名でとっさに思い出したのが、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の、あの星空を走る列車でした。

 

 ジョパンニとカンパネルラは,その日の理科の授業で先生から天の川の話を聞きます。                               

もしもこの天の川がほんとうの川だと考えるなら、その一つ一つの小さな星はみんなその川のそこの砂や砂利の粒にもあたるわけです。 またこれを大きな乳の流れと考えるならもっと天の川とにています。 つまりその星はみな、乳のなかにまるで細かに浮かんでいる油脂の粒にもあたるのです。 そんなら何がその川の水に当たるかといいますと、それは真空と言う光をあるはやさで伝えるもので、太陽や地球もやっぱりその中に浮かんでいるのです。 つまりは私どもも天の川の水の中に棲んでいるわけです。 ・・・・」‎

その夜、孤独で哀しかった少年ジョバンニは、銀河鉄道に乗って星の世界の旅に出たのでした。すると偶然そこに友だちのカンパニュラが乗っていて、二人はいろいろな人やことに出会い、とても楽しい旅をすることになるのです。それは不思議な宇宙の旅のようでもあり、また賢治の世界への旅のようでもあり、不思議な優しさへの旅のようでもありました。

ジョパンニが夢から覚めると、夢とも現実ともつかない哀しい出来事がまっていました。川で「星祭り」の支度をしていた友人が流され、それを救おうとしたカンパニュラが命を落とした、というのです・・・・。ほんの先刻まで一緒だったカンパニュラが・・・。

 

   

 

イタリア語では Canpanella は鐘の意味、花言葉は 感謝・誠実・想いを告げる。

ギリシャ神話では、美しい妖精カンパニュラが、オリンパスの果樹園で黄金のリンゴを守っている時にリンゴを盗もうとした兵士に撃たれて命を落とした。それでカンパニュラを「鐘」のカタチに変えて、花言葉を「守れなかった命」とした。

どうして賢治が二人の少年の名をジョバンニとカンパニュラとしたのか、特別な想いがあったのかどうか私にはわかりません。でも「銀河鉄道の夜」が特別な世界であるように「ジョバンニとカンパニュラ」も国籍不明の特別な名前でなくてはならない、そんな気がするのです。

 


富士山便りー3

2022年05月11日 | 日記・エッセイ・コラム

爽やかな田貫湖キャンプ場風景

 


富士山だよりー2

2022年05月07日 | 旅の記録

朝起きて窓を開けると、太陽を背にした黒い富士山のシルエットがくっきりと映し出されていました。ちょうどその時、その黒い富士山の背後から白い一筋の線が現れ始めました。それは見ている間にするすると伸び上がり、軽く富士山を越えると天高く昇って行きます。「羽田から飛び立った飛行機かしら? もう富士山の3倍ぐらいまで行ったネ・・・」と話している間に、一筋の白い線は五月の青い空の中に消えていきました

そして、いつもの美しい朝霧の富士山が現れました。

前半は雨も多く温度も低かった天候が、後半になって快晴が続き、文字通りのゴールデンウイークです。快適な五月晴れの中を爽やかな緑の風が通り過ぎて行きます。申し分のない散歩日和です。

このあたりは、別荘地と言っても家は点在しているぐらいで、木も草もみんなが自然体な感じです。・・・時折小鳥の声が聞こえてきます、さっき「ケーン」という声がしたと思ったら、雉が草叢の中をお散歩です。

空地いっぱいに二輪草(ニリンソウ)が咲いています。街場よりひと月おくれで今が満開です。品の良い白い花が風に揺れています。

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コロナで二年間も遠出ができなかったこともあって、ここに来たのも久しぶり、そう三年ぶり?でしょうか。自然は変わらないいなーと思いながら歩いていくと、突き当りの森が大掛かりに伐採されているのに出会いました。聞けばここの別荘地のすぐ近くにキャンプ場ができるとか・・。

広場の中央には伐採された大きな木々が積み上げられ、周辺のニリンソウの上にも小枝が無造作に積み重ねられています。

開発の、その無造作さに、何か漠然とした不安を感じ、心が痛みます。

昨今は、何やらキャンプばやりとかで休みになると富士五湖周辺のキャンプ場は大都会並みの混雑です。この連休の期間中も西富士道は大渋滞で昼間は外出もままなりませんでした。都会に住む沢山の人たちにも豊かな自然を楽しんで頂きたい、とは思います。でも、今のような感じで都会が移住してきたようなキャンプ場を増やすことがいいことなのかしら? ふとそんな気がしました。


富士山

2022年05月04日 | 日記・エッセイ・コラム

富士山便り1


蒲公英・タンポポ

2022年04月09日 | 野草

たんぽぽのぽぽっと絮毛とばしたり      加藤楸邨

 

桜が終わって、アトリエの前の空き地はタンポポでいっぱいでした。

そのタンポポが咲き終わったと思ったら、透き通った白いま~るいボールになりました。

シャボン玉みたいなボールがまるでクラゲのように宙に浮いています、それもたくさん!

何日かすると、ま~るい生きものみたいなタンポポの絮毛は、風に乗って青い空に消えていきました。

まだ見たことのない大地をめざして、新しい命の誕生のための 冒険の旅の始まりです。

蒲公英(たんぽぽ)の絮毛の(わたげ)中に宇宙あり


西行と桜の歌

2022年03月29日 | 日記・エッセイ・コラム

大切な桜の歌を忘れていました。西行の歌です。

ねがはくは花のしたにて春しなんそのきさらぎのもちつきのころ 

 如月(きさらぎ)は旧暦の二月、現在でいえば三月です。そのもちつきですから すなわち三月の十五日・満月の夜です。それはブッタの涅槃の時をさしています。さくらの花が怪しいまでに白く輝いている時刻、ブッタの涅槃のように死にたいものだ、というのです。そして、西行は願いの通り きさらぎのもちつきのころ 満開の花の下で亡くなったと言われています。

夜の桜はピンクと言うより青白い怪しげな色をしています。花全体が怪しげな一塊の生きもののようです。窓の外の夜桜を見ていると、なぜか西行の歌が生々しく思い出されます。

あっという間に花は散り始めました。つかの間のはかない命です。

 

参照までに。友人から下記文章が届きました。

ブッダはクシナーラーの地で歩みを止めた。そして2本のサーラ樹(沙羅双樹)のあいだに設けられた寝台の上に横になり、頭を北に向け、右脇を下につけて、両足を重ね、心を正しくとどめた。「私はもう疲れた。私は横になりたい」そうブッダは呟いた。するとその時、沙羅双樹の花が一斉に咲き誇り、ブッダを供養するかのごとく降り注いだ。[アーナンダよ。不思議なことに沙羅双樹が咲き乱れ、降り注いでいる]

 

 


さくら四題

2022年03月27日 | 日記・エッセイ・コラム

風光りすなわちもののみな光る          鷹羽狩行

 

戒名は真砂女でよろし紫木蓮          鈴木真砂女

 

我が墓を止まり木とせよ春の鳥       中村苑子

 

さまざまの事思ひ出す桜かな             芭蕉

 

 


花の宴会

2022年03月15日 | 日記・エッセイ・コラム

土・日・月 と東京から益子へ向けて小さな旅をしてきました。

帰宅して驚かされたのはその三日の間の春の進捗具合!

まだ蕾の固かった桃の花がちらほらと咲き始め

花の気配もなかったレンギョウが一斉に花をさかせ・・

鉢植えの菫はこぼれ落ちそうな紫色の笑顔

道端のリュウキンカもニコニコ顔で

雑草みたいなタチツボスミレも一人前のすまし顔

路地植えの小さな水仙までも・・笑ってる。

 

たった三日の留守の間に、花たちが話し合って大宴会を開いたみたい・・。

 

 

 

 

 

 


一人静

2022年03月12日 | 野草

ヒトリシズカが咲きました。

おくる身に包まれた赤ちゃんのようで、思わず微笑んでしまう花たちです。


きさらぎ~やよいへ

2022年02月28日 | 日記・エッセイ・コラム

2月はあっという間に終わってしまうと言うけれど、本当だ。確実に日が長くなって日差しも一段と強くなったと思ったら3月だ。季節がガクンと動いたのが感覚として分かる。

久しぶりに谷津山に出かけた。山道を下りてきた男性に「ダウンなんて着ていてアツくないですか?」と声をかけられる。見れば、男性のTシャツは汗ばんでいる。「ああ、本当に、春ですねー」と私。一緒に麓の町を眺めていると「あしたはヤマメの解禁日でね、ヤマメを釣りにいくんですよ」と男性。「え?どこに?どこでヤマメを釣るんですか?」「梅ヶ島の奥の方の沢で、これくらいのヤマメが釣れるんですよ」。みれば両手は30センチくらいの大きさをさしている。

「イイナー! ヤマメ釣リなんて! 誰だってウラヤマシイよ・・・・」。

見はるかせば、街にも山にも、緩やかに春が寄ってきているのが判る。

「ヤマメには 蕗味噌をつけて食べるとうまいんですよ」と男性。

蕗か? フキノトウなら家にも出て居る、今日は蕗のとうの天ぷら? いえ、一押しは「蕗の薹のバターとアンチョビ炒め」、赤ワインとよく合うのです。

 


うちの春三題

2022年02月12日 | 野草

雨上がりの黒い土くれの中から、ほら 蕗の薹が一つ 顔をだしたよ。

枯葉ばかりの雑草の中に、 黄色いタンポポが ほら一つ 咲いてるよ。

春一番に芽を出して春いちばんに花を咲かせる、

我が家の優等生 バイモユリ たちだよ。 

 


春うらら

2022年01月29日 | 日記・エッセイ・コラム

春の海 ひねもす のたりのたりかな

そんな俳句を思いだすような、あたたかな昼さがりです。

木の枝に蜜柑を刺して、小鳥たちの来るのをまちました。

 

最初に来たのは、ジョウビタキです。

水瓶の縁に止まって、水を飲んだり水浴びしたり、楽しそうに遊んで飛んでいきました。

 

ヒヨより先に蜜柑に気付いたのはメジロでした。番でやってきて、あたりの様子を暫く覗ってから二羽で蜜柑をつつき始めました。

何処からともなくヒヨがさっと飛んでくると、メジロはあわてて蜜柑をひよに譲りわたします。

 

満開の蝋梅が、あたり一面にあまい香りを振りまいています。

時が止まったような、のどかな午後、春 う ら ら 。