陶芸工房 朝

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富士山・湖畔の秋です

2016年09月07日 | 日記・エッセイ・コラム

読者登録をしてくださったpetroさんのブログを拝見していたら、

旅に出よう ー  9月がきた  というタイトルに添えて古今集の歌が付けられていました。

秋の野に やどりはすべし をみなえし 名をむつましみ 旅ならなくに(藤原敏行) 

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「そうだ、女郎花の季節だ!  野の宿りにもちょうどよい季節だし 旅もいいなー!」

 そんな気持ちになったとたんに、冨士山麓の「根場(ねんば)いやしの里」の女郎花のことを思い出したのです。5年ほど前、訪れたのは確か9月の初めでした。茅葺屋根の民家の前庭に1メートルほどもある女郎花がたくさん咲いていて、それがひなびた茅葺屋根の民家によく似合ってとても素敵だったのです。

 

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高原はもう秋!!      富士山麓まで秋を見に行くことにしました。

 

朝霧高原の知人の別荘から見た9月の朝の富士山です。

 

夏の観光客もいなくなった湖畔では、ススキの穂が秋風に揺れています。

 

 

 お目当ての「根場(ねんば)の里」では、川沿いの萩が川の側面を覆うように枝垂れて、満開です。

 

 

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「根場」というのは、富士山・西湖の西北に位置する土地の名で、

かってここは「かぶと造り」の茅葺民家が建ち並ぶ誉れ高い集落でした。

それが、昭和41年の台風による土砂崩れで、茅葺民家の集落ほとんどが消滅しました。(最近の大雨被害でも同じような被害が各地で出ていますね)。災害から40数年の歳月を経た後に、昔のままの村落の姿を復元したのが「根場いやしの里」です。集落の姿や歴史や文化、そればかりでなく古来からの自然環境(山野草を含めた植物の類)も再現しました。人工的な物や色を一切使っていないことが、ここをより美しくしています。

 

 

お目当ての女郎花もさいていました。

女郎花おほかる野辺に宿りせば  あやなしあだの 名をやたちなん(小野美材)

朱雀院の女郎花合(みなえしあわせ)に読みてたてまつる ・ 右大臣

をみなえし 秋の野風に うちなびき こころひとつを たれによすらん(藤原時平) 

 ど うやら女郎花は、その姿形の美しさから女性にみたてられ、古人からも愛され親しまれていたようです。わたしも庭に数本の女郎花を植えています。花の咲くのを楽しみにしているのですが、まだ花の気配がありません。根場の女郎花も以前よりずっと少なくなったように見受けました。

どうやら、女郎花は、気位の高い女性のようです。

 

 

藤袴(フジバカマ)の花も、もう咲いていました。

 

 

 

秋の七草の仲間のススキはあたり一面・・・です。

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秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七草の花      万葉集 ・山上憶良 

秋の七草が、現役で頑張っているのを見ていたら、ふと昔習った言葉を思い出しました。 

(やまとは)くにのまほろば  たたなづく  青がき  山こもれる  (やまやまとし)うるはし