陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

メヒシバと雀たち・アトリエ便りです

2017年08月04日 | 旅の記録

 秋の展覧会に向けての作品づくりをしているのですが、なかなか思うに任せません。

悪戦苦闘の毎日が続いています。

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  開け放したアトリエのガラス窓の前は、空き地になっています。以前は家が建っていたのですが、数年前に家を壊し、その後に砂利を入れてあったのであまり草も生えてきませんでした。ところがこの猛暑の中、どこから飛んできたのか、メヒシバとエノコログサとススキのような植物がはえ始めました。と思っていると、あっという間に、ご覧のような緑の雑草空間ができあがってしまいました。特にしなやかな穂を指のように広げたメヒシバ(女日芝)が勢力的に広がっています。

  「作品づくり」といっても、オブジェの制作はとても時間のかかる作業です。粘土を乾かし、乾かししながら、だんだんに粘土を積み上げて、目標のデッサンに近い形にまで持っていくのには、1週間以上の時間がかかります。いきおい仕事場にいる時間が多くなります。そんな仕事のあい間に、ぼんやりと空き地を見ていると、雑草の中を蜂が頻繁に飛び回っているのが目につきます。小さい虫もたくさん飛んでいますが、時々、黒いアゲハ蝶やアオスジアゲハ蝶もやってきます。最近気が付いたのは、雀がよく舞い降りてくることです。よく観察してみると、夕方の4時半頃、決まって数羽の雀が降りてきて、メヒシバの穂と戯れています。何をしているのか分からないのですが、そのしぐさが可愛くて、つい見とれます。開け放したアトリエは、格好の定点観測地なのです。

 

で、思いつたのです。「雀たちにパン屑をやったら、寄ってくるんじゃないかな」。きれいな水とパン屑を入れたお皿をならべて置いてみました。小半日、観察してみたのですが、生憎本日は来客なし。

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それにしても、こんな砂利の中にたくましく勢力を伸ばすイネ科の雑草「メヒシバ」とはどんな植物なのでしょう。メヒシバは「雑草の女王」といわれ、世界の十大害草の仲間なんだそうです。メヒシバ「女日芝」書きます。それに対してオヒシバ「男日芝」というのもあるのだそうですが、オヒシバが根元を刈り取られるとお終いなのに対して、メヒシバは、トラクターでズタズタにちぎれても、それぞれの節から根や芽を出してどんどん増える、それどころか広いスペースの中では、茎を横に這わせてテリトリーを広げ、ライバルが現れると今度は茎を縦に伸ばして立ち上がり、相手を抑えこみにかかる、巧みな状況判断ができるしなやかな知能犯なのだそうです。(稲垣栄洋・雑草図鑑)

なるほど、だから雑草の女王なんですね。「草取りをすればするほど増える」となると、何もしないのが、いいってことなんでしょうか・・・ね。 

 われと来て あそべや親のない雀(一茶)