陶芸工房 朝

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夏の終わり・野萱草

2019年08月30日 | 日記・エッセイ・コラム

      戦いの夏も終わりぬ野萱草 


 猛暑の八月も、いよいよお終わりに近づきました。

この夏の初め、軽い気持ちで受けた目の手術が、思わぬトラブルにつながって、

今年は、長いはずの夏休みの大部分を病院通いに費やすことになってしまいました。

           *

久しぶりに裏庭に出てみると、ひと月もほっておいた庭のあちこちに蜘蛛が巣を張り巡らせていて、

行く先々で顔や髪に糸が絡みついてきます。

蜘蛛は、人の手の入らない場所に好んで巣を作るそうで、それが安全に獲物を獲得する知恵だとか。

そんな夏草の茂る裏庭のはずれに、鮮やかにノカンゾウの花が咲いていました。

           *

戦いとは はいささか大げさですが、この夏の経験は私にとってかなりのダメージでした。

生い茂る夏草の間にあちこちを向いて咲いているノカンゾウの姿を見ながら

ふと芭蕉の句を思い出したのでした。

 

    夏草や兵(つあども)共が夢の後  芭蕉