濁流に捨て来し燃ゆる曼殊沙華
寺山修二です。彼岸花の句を探していたら出会いました。
曼殊沙華の赤は、激しい情念の赤か、はたまた暗く激しい怨念の赤か、
体内を流れる血液の色にも似て、赤の持つイメージは強烈です。
なにもしないのに、ひとりでに出てき ひとりでに咲く、
彼岸花に込める感情も、年と共に赤色が薄れ、輪廻転生、めぐりくる命の循環 、
そんな感じのする昨今です。
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谷津山ののぼり口は、春こそ桜が美しいのですが、
この季節はヤブミョウガやタデやヒメジョオンなどおおわれ、薄暗いところです。
そんな雑草の中に一本だけ赤い花が咲いていました。
雑草の中の赤色は何気に寂しげで、誰かに合図を送っているようにも見えます。
この夏逝きし人の笑顔 曼殊沙華