バンビ・わーるど

プラダー・ウィリー症候群の息子「バンビ」を愛し、その成長を見守る母・suzuのつれづれ日記(&ときどき猫だより)

ある研究会に参加して

2018年06月11日 | プラダー・ウィリー症候群
発達障害関連の支援者を中心とした研究会があって、以前から興味を持っていたのだけど
今回モデルケースとして、PWSの親の会を通じて赤ちゃんの頃から知っているAちゃんが取り上げられると聞いて
開催地が地元で近いということもあり、初めて参加させてもらった。


いやー、想像を超えて熱い研究会で(4時間近くやってたよ~)
参加者は 立場的には特別支援教育に関わっている学校の先生とか、OT・PT・STの先生だったりとか
いろんな専門家の方がいらっしゃっているようだったけど
来るもの拒まずらしく、保護者の参加も認められているので、私はオブザーバーとして参加。
週末の夜、皆さんお仕事が終わって駆け付けてるんだと思うんだよね。(遠くからの参加者もいるらしい。)
ほんとに熱心なことで頭が下がる想い。


で、ケース出しをされたOTの先生がAちゃんの担当をされていたのはわずか3ケ月。
つまりOT3回しか接してないのに、これだけ膨大な資料をまとめケース出しするなんて
さぞや 大変だったことだろうなぁ...。

しかもみんなの前でプレゼンして、アドバイザーやファシリテーターの先生にゴリゴリ質問されて
(もちろんただ責められてるんじゃなくて、まぁ愛のムチだとは思うけど)
こりゃ相当ハードだなぁ とちょっと気の毒にも思えた。


ただね。
私は単なる一保護者で、専門的な知識は何も持ち合わせていないけど
PWS児の親として15年やってきて
さらにバンビだけでなく、親の会や協会などを通じて何人ものPWSの子ども達と接してもきているわけで
だから ことプラダーウィリー症候群に関してだけなら
この先生より私の方が詳しい という自負はあるんだよね。

バンビは1歳から療育受け続けてきたし、私も自分なりに勉強してペアレントメンターもやっている。
だから素人ではあるけれど、一般的な素人(親)に比べれば多少は支援のことも知っている。


それで、このプレゼン聞いてると うーん...と思ってしまうことがいっぱいあって...。



実際のOTの様子を撮影した動画も見せてもらったけど
まず、椅子に座った時、足が床に着いてなくてびっくり!
椅子の高さがぜんぜん合ってない。

座面に滑り止めを使っているのかどうかは 動画からはわからず、説明もなかったように思うけど
要はAちゃんは座位保持ができないから、おなかを机にもたれかけるようにして座っていて
さらに 腕も机につけて身体を支えているんだよね。
これじゃ 腕の動きが制限されてしまう。
それは素人の私でも見たらわかるのに...
さすがにアドバイザーの先生からもツッコミ入っていたけど、これはないなぁ という印象。


初回のOTで、先生は両親と話しながら
Aちゃんに 貯金箱におはじきを入れる課題をやらせているシーンがあったんだけど
Aちゃんがどんどん入れていくのに対し、誉める声かけをしていないように見えた。
(音声が聞き取れなかっただけなら、ごめんなさい。)

現在のOTの先生が、お絵かきで Aちゃんが〇を1つ描く度に
”できたねー。”とか”すごい!”、”上手ねぇ。いっぱい描けたねぇ。”と誉めているのとは対象的。

他の課題も、アドバイザーの先生から「これ、楽しんでやってる? ぜんぜん笑顔ないよ。」と指摘されているとおり。
先生がAちゃんを上手にのせて課題に対して意欲的に取り組ませよう という工夫をしているように見受けられないんだよね。


”あなたはこの子をどうしてやりたい? Aちゃんにどういう風になってほしいと思っているのか?”という質問に対して
”私はこうしたい。こうなりたい。”しか答えられない先生。
主語が違うんだよ と指摘されていたけど
あぁ、この視点 大事だよなぁ と、ここは言っちゃ悪いけど反面教師として私にも勉強になった気がする。 


プレゼンを聴いている参加者にも ファシリの先生から矢のような質問がされる。
この資料から読み取れることは何か?
数値から、動画から Aちゃんの課題は何か? 対策として考えられるのは何だと思うか?
これができなきゃ プロじゃない と。
おぉ、厳しい。でも、そりゃそうだよね。


それに対して答えるメンバーの方の中には
”え? 今 質問されている内容に対する答えとして、それどうなの?”というシーンもあり...
うーん...。



保護者の立場から思うに
支援者に求めたいのは 人柄と、腕(知識・スキル・ノウハウ)と、コミュニケーション能力 かなぁ。

例えば発表されていた先生は、たぶん人としてはとても良い人なんだろうね。
何より一生懸命だし。

ただ、腕としてはいまひとつというカンジが否めない。
(素人のくせに上めせで申し訳ないけど、アドバイザーの先生も言ってたことだからご容赦を。)

そして、コミュニケーション能力も
このプレゼンの間、アドバイザーやファシリの先生と噛み合わないことが多々あって
もちろん、緊張感MAXのせいもあるとは思うんだけど...。

結局、支援者って 当事者やその保護者のニーズや、普段の様子などをちゃんとヒアリングする力がないと
ふさわしい支援ができないわけだから コミュニケーション能力ってとても大事だよね。


まぁ、腕やコミュニケーションは良くても、人柄に難あり=例えば、横柄で上から目線で決めつけるとか
親を責めて追い詰める とかも困っちゃうけどね。

人柄と、腕と、コミュニケーション。
三位一体でいい先生だな と思える人って、実はなかなか少ない。
こういう研究会で是非勉強していただいて、支援者の皆さんも腕を磨いていただけるとありがたい話だよね。



そこへいくとさすがにアドバイザーの先生とファシリの先生のお二人は
動画見ただけで、いちいち指摘が鋭くて的確。

Aちゃんの食事の様子とおしゃべりしている動画を見ただけで
発語の問題(発音が不明瞭で語彙が増えない)と舌の動かし方の関係を見抜いていたもんね。
そして、「この子は気が強いねー。プライドも高いな。」と。
認知はいい(たぶんバンビよりぜんぜん高い)のに、低筋緊張で身体が思うように動いてくれないことが問題。


バンビもそうだし、たぶんPWSの子の多くに共通していると思うんだけど(私の素人考えではあるけど)
PWSの発語の遅れは、認知よりは器質的な理由。
そしてメンタルの影響が大きいんじゃないかと。

こちらの言うことは理解できていて、でも発語は増えないというのは
実は ボキャブラリー自体は内にたくさん溜めていて、表出がうまくできないからしない というだけのこと。

そして、自分はいっぱいしゃべっている(発音不明瞭で聞き取れない)のに伝わらないことにストレスを感じているはず。
”家族以外の他社に対して発語での働きかけが少ない”のはプライドが高いから、うまく言えないなら言わないということ。


顎が小さく、高口蓋(これはバンビは言われたけど、みんなに当てはまるかはわからない)
低筋緊張で舌の動かし方が未熟。
というより、身体は低筋緊張なんだけど、末端の緊張が強く、舌も筋肉なので緊張が強い。

これに対して先生のアドバイスは 電動歯ブラシによる口腔内の刺激
あと 粗大運動を多く取り入れる(微細運動のためには粗大運動から)
今 Aちゃんが取り組み始めたトランポリンがすごくフィットしているんじゃないかと。 


ヒアリングや保護者から提出された資料からこれが読み取れて、対策のアドバイスができてこそプロなんだろうな。
そういうことが 今回この研究会に出てみてよくわかった気がする。


それと、やっぱり親もある程度勉強した方がいいと思うな。
そして支援者の人とはよくよくコミュニケーションを取って、我が子のこと伝えて、支援を引き出すといい。
(今回のAちゃんのママは、とても熱心に勉強されていることは知っているので あくまで一般論として)

最初は私も勘違いしてしまっていたけど
療育なんてせいぜい週1、ヘタしたら月1くらいしか機会がなくて
そんなのだけで我が子に効果が出るなんてことはまずないと言っていい。

大事なのは日頃の積み重ねなんだよね。
だから、療育の時間は 子どもに対して日々どういうアプローチをしたらいいかを
親が支援者に教わるためにあるんだと思う。

そして、的確なアドバイスを得るためには ベースとなる情報が支援者にないとたぶん難しい。
PWSというのがどういう障害で、この子の特性はどういうもので というのを
サポートブックなどを作成して支援者に伝えるのは 親の役目とまでは言わないけど
そうした方が高い効果を得られそうに思う。

どうせ同じ時間費やして療育に通うなら、ただその時間を子どもが楽しく過ごせばいいというわけじゃないはずで
少しでもこの子のために親がしてやれることは何か というのをgetすることを考えた方がいいよね、きっと。



今回のモデルケースとしてのAちゃんを見ていて
先生方は この子の気の強さはイヤイヤ期の自己主張。意欲につながるならいいんでは という見解だったのだけど...

先生方より少しPWSを知っている私からしたら
いまのうちから 主導権はあくまで親が握ることを意識しておいた方がいいな と思ったりした。


PWSのしつこさ、こだわり、頑固さ これにやられて親が折れてしまうことをできるだけしない。
癇癪を緩和、あるいは回避する術を親が身に着けておいた方がいいってカンジかな。

例えばペアレントトレーニングだったり、子どもと交渉し子どもに選択させる習慣づけだったり
まぁ手はいろいろあると思うけど。

自分の機嫌を自分で取れるようにして、常に心の安定を保てるようにすること
これはすごーく大切。
小さい頃からこれを身に付けさせておくと、あとあとで効いてくるから。


あと、子供のやることにはその子なりの意味があると思うんだよね。

スキンピッキングも抜毛も、暇な時の自己刺激だったり、その場からの逃避のためだったり。
(血が出たり、毛が抜けたりすると 支援者が注目してくれたり、あと課題を一時ストップできたりする ということもあるので。)
その行為自体を止めさせようとするのではなく、それに対する意識を遮断し他のことに意識を向けさせる
代替行為をさせる(バンビの場合はシールあそび)などの対策を取るとかがいいと思う。


服の前後がわからないのなら、うちはシャツの後ろに小さいボタンを付けてそれを見てかぶることを教えたし
靴を履くのに時間がかかるなら 指が引っかかるようにかかとにリングを付けたりもした。

そうやって、自分でやらせる、できたという体験を増やすことで、自己肯定感を上げて自分に自信を持たせる。
そういうことも発語につながっていくし、不安感(PWSはこれが強い)も軽減されていくと思う。


この辺が ペアレントメンターとして、私が今回感じたことなので、蛇足ながら書いておきます。



というわけで、研究会の報告 かなりざっくりだけど。
保護者が参加するには ある程度前提知識がないと厳しいかもね。
(感覚統合とかは本くらい読んでないと、何言ってるのかわからないだろうし。)
まぁ、支援者は支援者で知識とスキルとノウハウを高めてもらって、親は親でできること いっぱいあるからね。
そういうのをみんなでシェアしたらいいんじゃないかな という気がしたな。


メールはこちらまで → yakkoxhs@gmail.com

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