テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

サクラのぞめば。

2011-04-11 23:18:24 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 都心の桜は散り始めちゃってるそうですが……

  

 多摩地域の桜は、もうちょっと保つ、かしら?
 同じ多摩でも、奥多摩方面は、まだまだ2~3分咲きらしいですよ♪

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「ぐるるー!」(←訳:虎ですー!)

 あの日からちょうど一ヶ月……
 今日も大きな地震があって、なのにこんなに桜が美しいのは、
 不思議なような、ごく自然なことであるかのような。
 想いつつ、偲びつつ、
 本日ご紹介いたしますのは、こちらの一冊です。

  


 
             ―― 花にもの思う春 ――



 著者は白洲正子さん、画像の平凡社ライブラリー版は1997年7月に発行されました。
 『白洲正子の新古今集』と副題が付されています。
 桜が真っ盛りの季節に、桜の御本をピックアップするのは
 野暮ってものではないか、と迷いましたが、
 
「さくらのォ、よさはァ、びくともォ、しませんッ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:きれいなものはきれいなんだ!)

 ですね。
 さくら――《花》の良さ、麗しさは、
 ダイヤモンドのごとく!
 昔から、日本人のこころをがっちり摑んで離さなかったのでした。

 御本の題名『花にもの思う春』とは
 式子(しょくし)内親王の
 『はかなくて過ぎにしかたをかぞふれば花にもの思う春ぞ経にける』
 という御歌に依ったものです。
 白洲さんはこういった古歌を、
  いかにも王朝らしいのびのびとした調べである
 と評しています。

「ううむゥ、すこしィ、むずかしィかもッ?」
「ぐるがるるる~ぐる…」(←訳:ボク古典は苦手で~…)

 ええ、そうですね。
 万葉集、古今集、新古今……なんて耳にすると、
 うわわわっと身構えちゃいがちですが、
 しかし、
 そんな気後れなんかフッ飛ばしてしまうのが
 白洲さんの語りです。

 飄々と、軽々と、歌仙さんたちの御作を、
 歌人さんたちの生涯や運命の上を、
 鳥が舞うように見遥かし、
 共感し、或いは同化し、
 嘆きをもともにしながら、
 “うたの世界”を逍遥します。

 読みすすんでゆけば、
 白洲さんの筆の力に驚かされることでしょう。
 よくファンタジーは逃避文学であると言われますけれど、
 『読者をより遠くまで連れて行く力』
 という点では、白洲さん、まさにナンバーワンです!
 鎌倉時代も平安の御世も、
 歌とサクラの風に乗って、ひょいっ、と!

「じゃんぷゥ、でスねッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:パワフルだ!)

 この御本の終章は、
 白洲さんが愛したひとりの歌人さん――
 西行法師さまについて語られたものとなっています。
 たくさんの名歌が引用されておりますが、
 ここは、あの、法師さま辞世の一首として知られる御歌よりも、
 どこか明るい陽光を感じさせる
 この御歌をもって《花》に想いを馳せてみましょうか……


  

            吉野山去年(こぞ)のしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねん

 
コメント
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