テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ふと振り返れば、そこに……?

2012-08-14 23:00:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……むッ? かぜがァ、なまあたたかいィッ!」
「がるる!がるぐるぐるるぐるがるる!」(←訳:虎です!何かが出そうな生温い風だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 じっとりと重苦しいこの風は、お天気のせいでしょうか。
 夏だから、なのでしょうか?
 それとも……?
 ふっふっふっ♪
 さあ、本日の読書タイムは、極上の恐怖体験を、どうぞ~!

  


   
              ―― おばけずき ――


 
 著者は泉鏡花さん、編者は東雅夫さん、2012年6月に発行されました。
 『鏡花怪異作品集』と副題が付されています。
 前回記事に引き続いて、
 今日の御本も《恐怖》が香る特別なホラーストーリーですよ!

「きゃわわわァ!
 きょうのはァ、ほんきィでスゥ!」
「ぐるがるる~!」(←訳:本気で怖い~!)

 泉鏡太郎さんこと泉鏡花さん(1873~1939)。
 作家にして戯曲家であり、
 現在も根強い人気を誇り、
 時代を超えて読み継がれる美文の巨匠――

 そうです!
 鏡花さんです!
 怪談です!!

「ひゃきゃーッ!」
「がるーっ!」

 殆ど全部、といってよいほど多くの作品で
 何かしらの《あやし》を描き込んでいるのが、鏡花さん。
 怪しい気配、
 妖しい出来事、
 この世ならぬ場所、そして登場人物――

 この御本には、

 『Ⅰ 序論』では
  《おばけずきのいわれと処女作》、

 『Ⅱ 小説篇』には短編小説6作品、

 『Ⅲ 随筆篇』には随筆8編、

 『Ⅳ 百物語篇』ではいわゆる怪談が11話、

 『Ⅴ 談話篇』には談話6作品、が収録されています。

 Ⅴの談話に関しては、
 評論と言い替えてもよいかもしれませんね。

 ページ数の都合上でしょう、
 中編もしくは長編が収められていないのはとても残念ですが、
 怪談は短いのに限る!
 という御方もおられますし、
 クオリティの高さはあらためて申し上げるまでもございません。

 怖いです!

「そそそッ、そうでスかッ」
「がるぐるるがるっるる~…」(←訳:ボク気が遠くなってきた~…)

 私ネーさのおすすめは、
 『Ⅳ 百物語篇』!
 読んでいて背筋がひんやり、
 読み終えて、またしばらくして、ふと想い起こすと
 より鮮明に、
 より強烈に恐怖が甦ってくる、
 そんな怖さです。

 また、巻末の、編者・東雅夫さんによる編者解説は
 見事な『鏡花さん略伝』ですよ!
 鏡花さんファンの方々は、
 ぜひこの解説文をお読み下さいね!

「いやでスゥ!
 めをォ、つむるのでスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:耳も塞ごう!)
「みちゃだめッ! きいちゃだめェッ!」

 眼を閉じても耳を塞いでも、忍び寄りくる恐怖……!
 こわ~い話が好きな御方は、一読を!
 
 
コメント
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