テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

耳を澄ませば、一枚の絵が。

2017-02-07 22:28:20 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 うきゅゥ! ふきとばァされるゥ~ッ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!突風です!)

 こんにちは、ネーさです。
 ああ、この風で発電できればいいのにぃ~!と
 思ってしまう強風の一日が暮れ、
 さあ、ここからはこころ落ち着けて読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



         ―― 音楽で楽しむ名画 ――



 著者は加藤浩子(かとう・ひろこ)さん、2016年11月に発行されました。
 『フェルメールからシャガールまで』と副題が付されています。
 前回記事では理系ノンフィクション作品を御紹介しましたけれど、
 こちらは文系ノンフィクション作品といったらいいかしら。

「わほッ♪ からふるゥでス!」
「ぐるーるるがっるる!」(←訳:カラー画がいっぱい!)

 はい、そうなんですよ。
 題名にありますように、
 数々の『名画』の図版資料がちゃあんと収録&掲載されています。
 印刷もきれいなので、
 アート好きさんも安心して
 『名画』の背景に流れる『音楽』をご鑑賞くださいな。

「うむゥ? かいがとォ、おんがくゥ~…?」
「がるるるるぅ?」(←訳:仲いいのかなぁ?)

 絵画と、音楽。
 それってどうなんだ?
 仲はいいのか、悪いのか?
 芸術分野上でのライバルじゃないのか?

 とも勘繰っちゃったりしますが、
 意外というか、納得というか、
 けっこう仲はいいようです。

 例を挙げるなら、
 御本の冒頭で取り上げられている
 ヨハネス・フェルメールさん。

 フェルメールさんは
 作品の中に何種もの楽器、
 そして演奏者をも描いていますね。

「ふむッ! そういえばァ~」
「ぐるがっる!」(←訳:そうだった!)

 他にも、楽器を演奏する場面、
 楽譜を持っている人物像、
 楽聖さんたち作曲家さん、
 はては観客さんまで登場するところを見ると、
 『絵画』と『音楽』の相性、
 相当に良好なようです♪

 そして、
 その相性の良さの裏側にひそむ大小のドラマに 
 著者・加藤さんは視線を向けてゆきます。

 ルノアールさんが描いた
 リヒャルト・ワーグナーさんの肖像。

 ゴッホさんの作品としては珍しい構図の、
 『ピアノを弾くマルグリット・ガシュ嬢』。

 ベラスケスさんが描いた宮廷絵画の、
 道化師さんたちの背後で奏でられる楽の音……

「おんがくがァ、あるとォ~」
「がるるるぐるる!」(←やく:深まるね奥行き!)

 そこには聖なる音楽も響けば、
 ちょっと俗な音楽も流れています。

 ショパンさん、ジョルジュ・サンドさん、リストさん。
 マーラーさんと夫人のアルマさん。

 恋人たちの出逢いと別れと、
 悲嘆と喜びとを一枚のキャンバスに
 ギュギュっと畳み込んでしまうのは、
 すこしばかり酷であるような。

「ほんにんたちはァ、しんきょうゥふくざつゥ?」
「ぐるがるるぅるるる~」(←訳:公にされちゃうとね~)

 ホッ♪とさせられたのは、
 巻末近くの、或るおはなし。

 パウル・クレーさんは、
 売れない時代、《主夫》をしていました。

 ピアニストの奥さんが働いている間、
 家事を担当して、
 お料理作りもしていたのです。
 
 キッチンをアトリエに、
 絵を描き、ヴァイオリンを弾き、
 生まれたばかりの息子フェリックスくんの世話をする日々。

 そのせいでしょうか、
 クレーさんの作品には食べものが頻繁に描かれています。
 パンやリンゴ、いちじく、おさかな……。

「くんくんッ!」
「がるぐる~!」(←訳:いい香り~!)

 眼に、耳に、鼻孔にもこころよい
 『絵画』と『音楽』のマリアージュ。

 ゆったりと愉しみたい一冊です。
 アート好きさんも音楽好きさんも、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね♪
  
 
 
コメント
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