「こんにちわッ、テディちゃでス!
きおんッよしッ! しつどォもォ~よしッ!」
「がるる!ぐるるがるるぐる~!」(←訳:虎です!一年中これでいい~!)
こんにちは、ネーさです。
夏になってしまう前の、花と緑の季節……
5月の”ちょうど良いお天気”がずっと続いてほしいと切望しつつ、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 魔女たちのアフタヌーンティー ――
著者は内山純(うちやま・じゅん)さん、
2024年2月に発行されました。
このところノンフィクションやアートブックスの御紹介が多かったので、
久しぶりの小説だ!
とワクワクしながら手に取ってみれば……あらっ?
東京都庭園美術館?
自然教育園?
「あはァ! しッてるでスゥ~!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:癒しの森だよね!)
現在は東京都庭園美術館として知られる
旧朝香宮邸――
私たちが、東京で最も美しいミュージアムだと考えている
あの建物の周辺が、物語の舞台になっています。
JR目黒駅、地下鉄の駅からも近くて、
いわゆる“高級住宅街”。
主人公の、前屋敷真希(まえやしき・まき)さんは、
大手不動産会社の営業員さんですから、
のんびりお散歩……しているはずもなく。
熱烈”物件探査中”です。
「がるるるゥ~ッ! ゆるさないィ!」
「がるるるぐるがるるるる!」(←訳:美術館に手を出さないで!)
いえいえ、いくら前屋敷さんが熱烈熱血営業員さんだろうと、
東京都が所有する美術館に手は出せません。
けれど……一軒の住宅なら、どうでしょう?
いま前屋敷さんの眼の前にそびえるのは、
美術館にごく近い地番の、
長~い塀と、
武蔵野の森を想わせるような、豊かな緑。
都心ではもはやあり得ないとさえ言える、
広壮な《お屋敷》です。
《お屋敷》の塀を眺める前屋敷さんの脳裏には、
買い取ったこの土地が更地となり、
高層マンションに変わってゆく未来図がありありと――
「ひいいいィ~ッ!」
「ぐるるがる~っ!」(←訳:それもダメ~っ!)
ええ、そうなんですよねえ。
鮮明な未来図とは反対に、
前屋敷さんのアタックは上手くいきません。
《お屋敷》の住人さんに会えない、
手紙を送っても電話をしてもナシのつぶて、
そもそも、門は完全に封鎖されていて、
ここに住む者がいるのかどうかも
分からなかった、んですけど。
偶然にも、前屋敷さん、
《お屋敷》潜入のチャンスを得ました!
「ぶゥーぶゥー!」
「がーるるる!」(←訳:ブーイング!)
やった! 《お屋敷》に入り込むことが出来て、
住人さんに会って話を……話を……したものの。
なにか、違う。
お家に招き入れてもらって、
お茶会を、とアフタヌーンティーを御馳走になって、
それなのに、
不動産の話をぐいぐい進めるどころか、
巧妙に操られている?
イニシアティブを握られている?
「うきききッ♫」
「ぐるる~♫」
前屋敷さんと、
魔女と仇名される《お屋敷》の住人さんとの、
交流が生み出すのは、嵐か、大渦か。
前屋敷さんが描いた未来図は、
はたして、実現するのか。
ほんのりミステリアスかつエンタな、
或る《お屋敷》をめぐる長編作品は
バラの季節の読書タイムにうってつけですよ。
庭園美術館好きな方々には特におすすめですので、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪