「こんにちわッ、テディちゃでス!
うううゥ、なんだかァちがうゥ~…?」
「がるる!ぐるるるがる~…!」(←訳:虎です!違うんだよう~…!)
こんにちは、ネーさです。
期待を胸に拝見した6月30日夜放送の『BLACK JACK』は……
高橋一生さんのBJはさすが!の造形力でしたが、
物語がね、手塚治虫さんの物語ではありませんでした……
しょんぼり落ち込む気持ちを切り替えるために、
さあ、本日の読書タイムは、
こちらの御本で元気よく行きましょう~!
―― お梅は呪いたい ――
著者は藤崎翔(ふじさき・しょう)さん、
2024年2月に発行されました。
五月女ケイ子(そおとめ・けいこ)さんによる
パワフルな表紙イラストがと~っても印象的ですね。
「……うむむむゥ! よかんがァ、しまスよゥ!」
「ぐ~るがるる!」(←訳:悪~い予感が!)
悪い予感や、不安な気持ち。
そういった
“ネガティブな感情”というものを
大好物としているのが、
この物語の主人公――お梅さんです。
なぜなら、お梅さん、いわゆる
《呪いの人形》なので。
「ひいいいィ!」
「がるぅ!」
お梅さんがこの世に誕生したのは、
現在から500年ほど昔の、戦国時代。
とある大名家の、
幼いお姫さまの遊び道具として作られたお梅さんは、
赤い着物に白い足袋、
切り揃えたおかっぱ頭の、
頬に笑みを浮かべたお人形さんです。
……しかし、その笑みは、
本物の笑みでしょうか。
「あわッ、あわわッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:予感が現実に!)
そう、お梅さんは意志を持つ人形。
呪いたい!
呪ってやる!と
呪いこそ、お梅さんのレゾンデートル(存在理由)なんですね。
お梅さんにとって、
呪いを向ける対象は、誰でもいい。
敵も味方もありません。
幼少時からの遊び相手のお姫さまも、
お姫さまが輿入れした先の武将も、
片端から、呪いに呪って滅ぼしてゆく。
ただ、あんまりにも呪いまくったためか、
頑丈な木箱に封じられてしまったんですけど。
「ふうゥ! よかッたでス!」
「がっるぐる~!」(←訳:ホッとした~!)
そうして、時は過ぎ。
お梅さんは自然消滅……するなんて、甘い、甘いですよ、
見通しが甘過ぎます。
関東地方のある田舎町で、
築100年以上の古民家が解体され、
押入れの奥から古めかしい木箱が発見されたのです。
木箱の蓋は、
作業員さんの手であっさり開けられて、
ついに、お梅さんが現世へ再び……!
「にッ、にげましょうゥ!」
「ぐるるっるがるる?」(←訳:逃げるってどこに?)
「かッ、かいがいィとかッ?」
「がるぐるがるるる!」(←訳:でもいま円安だし!)
解き放たれたお梅さんの呪いは、
はたして、誰に向けられるのか。
そして、呪いの成果は。
オープニングから、ぷふふ、うふふ、と笑わせられる
呪いの人形=お梅さんの物語は、
一種の時間旅行者の悲喜劇、とも申せましょうか。
エンタ好きな活字マニアさんはもちろん、
ミステリ好きな方々にもおすすめですので、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪