「こんにちわッ、テディちゃでス!
おおゥ! しんはッけんッでスよゥ~!」
「がるる!ぐるがるるるるぐる?」(←訳:虎です!月に地下洞窟がある?)
こんにちは、ネーさです。
月の『静かの海』地下に巨大な洞窟があると
イタリアなどの研究チームが科学誌に発表しました。
うわあ、どんな空間なんだろう?と想い巡らせながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 射手座の香る夏 ――
著者は松樹凛(まつき・りん)さん、
2024年2月に発行されました。
『Bood - bye, Our Perfect Summer』と英語題名が付されています。
第12回創元SF短編賞受賞作を表題とする
著者・松樹さんのデビュー作品集には、
『射手座の香る夏』
『十五までは神のうち』
『さよなら、スチールヘッド』
『影たちのいたところ』
の4作品が収録されていますよ。
「ぱちぱちぱちィ~!」
「ぐるるるがるぅー!」(←訳:めでたきデビュー!)
hale(はれ)さんによる
涼やかな碧色の装画が美しい表紙を捲れば、
目に飛び込んでくるのは、
表題作品『射手座の香る夏』です。
創元SF短編賞受賞作、ということで、
読む側としては、ちょっと身構えてしまいますけれど、
物語の始まりは……
夜の山。
「ううゥ、なにもォ~みえないィ……!」
「がるるる~…!」(←訳:怖いよう~…!)
陽は落ち、辺りは闇一色。
そこを、懸命に歩いているのは
10歳の少女・美菜(みな)さん。
美菜さん、後悔しています。
ひとりで山に入ったこと、
日が沈む前に帰るべきだったこと……
そういった”山の約束ごと”をきちんと守っていれば、
こんな恐怖を味わう羽目にはならなかった、と。
足元も見えない真っ暗な森の中、
頼りになるのは音と匂いだけ。
わずかな川の匂いを捉えて
美菜さんは進んでゆき、するとそこに。
遠くで、小枝の折れる音が。
「ひいィッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ますます怖い!)
鹿か、
それともヒグマか。
動揺した美菜さん、段差で転倒してしまいました。
疲れ果てた彼女に
起き上がる体力は残っていません。
もう、いいか、とすべてを諦め、
目を閉じると。
不思議な匂い……?
「えッ? においィ?」
「がるぐるる!」(←訳:ああ本当だ!)
ラベンダーのような、甘やかな匂いがする?
顔をあげた美菜さんは、はっきりと目撃しました。
狼が、いる。
青い瞳の、
真っ白な体毛の、
この世の何よりも美しい
狼がいる。
「……えッ?」
「ぐるっ??」(←訳:ええっ??)
白い狼とは、いったいまた……?
と考える間もなく、
物語はここから一気に”SF”な展開へ
突入してゆきます。
白狼と邂逅した美菜さんは、
どんな世界へ帰ってゆくのか、
そこに彼女の居場所はあるのか――
はい、これ以上は、ネタバレ禁止!ですので、
皆さま、書籍を手に取って、
美菜さんとともに旅をしてみてくださいね。
巻末の、飛 浩隆さんによる解説も併せて、
ぜひ、一読を♪