デジタル通貨市場が混乱しているようです。今回は早く手を引いていたChinaが西側の中央銀行の混乱に勝っているようです。
宮崎さんが報告してくれています。この通過問題はどうにも理解出来ないので、宮崎さんの長い報告を参考にしてください。
それにしても、金というのは人間にとって良いのか悪いのか。本当に困りものです。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和四年(2022)12月20日(火曜日) 通巻第7559号
ビットコインをいち早く禁止した中国
まだ対応が決まらない西側の中央銀行との落差
ビットコインが爆発的な流行となったとき先進国中央銀行の対応は遅れた。
いちはやく中国が禁止措置を講じた。これは中国共産党にとって通貨コントロールを脅かす経済上の脅威と捉えたのだ。
そしてFTXの倒産があって、デジタル通貨市場から60兆円ほどの時価総額が消え、米連邦議会では促進派だった「ブロックチェーン八人組」が立場を失った。FTXから政治献金を受けて規制緩和に動いた議会人たちだった。
NY検事局は民主党の政治から事情聴収を開始した。FTXのバンクマンフリード前CEOはバハマ諸島で拘束されているが、民主党のPACに7000万ドルを寄付した。この金額はジョージソロスより多く、明らかな政治的意図がくみ取れる
またベン・マッケンジーという俳優はFTXに投資していたらしく議会証言で「暗号通貨なそど最大のポンジスキーム(ネズミ講)だ」と言い放ち、FTXの広告塔として担がれた大阪なおみ、大谷翔平等が詐欺に加担したと訴えられた。。
倒産劇前の2022年三月に時計の針を巻き戻す。
先進国はデジタル通貨をいかに扱うかで調査を開始し、中央銀行はブロックチェーン方式が検討に値するとした。
2022年3月、バイデン大統領は米財務省に「中央銀行デジタル通貨(CBDC)がもたらすリスクとメリット」について報告するよう大統領令(EO14067)に署名した。
目的として「消費者と投資家の保護」、「金融システムの安定、「不正資金対策」、そして国際システムにおける米国のリーダーシップ、その経済競争力、イノベーションをあげた。
とくに注目すべきは財務省試案の第四条である。
「米国中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currencies)の政策に関して、(a)米国CBDCの管理のあり方 、(b)報告書の提出、(c)FRB議長の調査・報告の継続、(d)司法長官 のCBDCの報告にわかれる。
第五条は「消費者、投資家、企業保護」で、デジタル資産の取引所や取引プラットフォームの利用増加は、詐欺や盗難などの犯罪、その他の法令違反、プライ バ シーやデータの侵害、不公正で乱暴な行為や慣行、消費者や投資家、企業が直面するその他のサイバー事件のリスクを増加させる可能性があり、デジタル資産利 用が増加し、地域(国々)によって違いがあるため、情報に疎い市場参加者に格差のある金融リスクをもたらし、不公平を悪化させる可能性がある(FTX倒産 がそのことを証明したが)。
消費者、投資家、企業に不当なリスクを与えないようにし、安全で安価な金融サービスへのアクセスを拡大する努力の一環として、保護策を講じることが重要とした。
▲暗号通貨は国家安全保障のリスクとなる可能性
第六条は金融安定化の促進、システミックリスクの軽減、市場の健全性の強化のための行動を定義し、SEC、CFTC、およびCFPBと連邦銀行機関を含 む金融規制当局は、金融システムの完全性を保護し、促進するシステム全体の保護を確立し、監督する上で重要な役割を担う。
米国は、デジタル資産が金融の安定と金融市場の整合に与えるリスクを評価し、対策を講じる必要があるとした。
第七条では金融及び国家安全保障上のリスクを制限するため悪用される可能性、特にランサムウエアを指摘した。
第八条は国際協力と米国の競争力強化政策に言及し、金融イノベーションの国際性、リーダーシップ、とりわけG7の重要性が指摘された。
司法省(Department of Justice)報告書は、犯罪者が不正な活動を進め、その収益を隠すために、暗号通貨の利用が増えた事実を指摘し、取引を追跡し不正な利益を押収するための「暗号通貨執行フレームワーク」を発表した。
司法省報告書は「悪意のある行為者による暗号通貨の不正利用のカテゴリーを年代順に説明した。
「デジタル資産に関する犯罪行為の探知・捜査・起訴における法執行の役割の強化法」は「デジタル資産取引プラットフォームやサービスプロバイダーに対す るコンプライアンス執行の欠如と相まって、犯罪者が規制基準や執行がより強固でない管轄区域から米国や国際金融システムをリスクにさらした。このため国境 を越えた協力が重要である。
マネーロンダリング・テロ資金供与対策規制の管轄区域間のギャップは、国際金融システムの安全と安定を脅かすだけでなく、犯罪者が管轄区域間の規制の不 整合、あるいは場合によっては規制や監督の完全欠如を利用した「管轄区域の裁定」に関与する機会を生み出すことにもなる。
▲マネーロンダリング、規制逃れ、テロリスト資金
財務省は、不正金融リスク、消費者・投資家保護、貨幣・決済システムの将来に関する3つの報告書を発表した。
第一に「不正資金報告書」で、米国財務省 「デジタル資産の流動性資金調達リスクに対処するための行動計画」と呼ばれる。既存のマネーロンダリング防止(AML)およびテロ資金調達対策(CFT)体制との不整合を指摘した。
脅威として考えられる行為は、マネーロンダリング、規制逃れ、テロリスト資金があげられ、国家間に緊密な連携が認められない現実、匿名性を防ぐにはサービス業者登録とコンプライアンス義務などがあげられた。
第二に「消費者保護に関する報告書」では「消費者・投資家・企業への含意」について暗号資産市場、関連する潜在的リスクを検討した。
暗号資産が現在、消費者や投資家の活動になっている事実。昨今は暗号資産や暗号活動の種類や数が増加しており、主に他の暗号資産の取引、貸し借りに使用されている。
消費者や投資家は、透明性の欠如や暗号資産が急速に発展しているがゆえに暗号資産エコシステムにおける不適切な行為にさらされている。
運用の失敗、市場の操作、詐欺、なりすまし、Scamなどが頻繁に発生している。関連機関が既存の権限を用いて暗号資産分野に関連するリスクに対処する必要を強調した。
第三に財務省は「貨幣と決済の未来報告書」を作成し、「貨幣・決済システムの将来」とは現行通貨制度を見直す一方で、民間発行の安定コインや中央銀行デ ジ タル通貨(CBDC)について対応策を検討している。将来の通貨と決済の構築、米国のグローバル金融のリーダーシップの支援、金融包摂と公平性の促進、リ スクの最小化に関する公共政策の検討という観点から米国中央銀行デジタル通貨(CBDC)の設計の選択肢についての検討である。
「貨幣は、会計単位、交換媒体、価値貯蔵という三つの中核的な機能を果たすが、貨幣には、主に中央銀行の責任である公的貨幣(public money)と、民間の媒介者の責任である私的貨幣(private money)があること、決済システムはお金を移動させることであり、消費者や企業は、通常、小額の取引にリテール決済システムを使用し、銀行やその他の 金融機関は大きな金額取引の決済システムを使用している。
中央銀行は、通貨システムの中心にある。銀行間決済を支え、より広範な決済システムの基幹として機能する。連邦準備銀行は、通貨と準備金の残高を提供 し、決済システムを運営し、民間貨幣の発行や決済を行う特定の媒介者を監督している。通貨と決済システムが進化しても、経済成長、効率、その他の公共の利 益を促進するために、最終決済における中央銀行の役割は維持されなければならない」としている。
これらの報告者を読んで、将来のデジタル通貨に対して、米国の政権中枢でも依然として曖昧な対応しかなされていない。通貨発行権に関する国家主権利の二 元化という脅威に、システムの安定化以上に深刻な問題に対して、いかになすべきかの決断はいささかも述べられていないのである。
(a) 「ブロックチェーン」とは、ネットワーク参加者間で検証された取引、または情報のデジタル台帳意味し、データが共有され、台帳の整合性を維持し、所有権、 または価値の移転を含む他の機能を実行するため暗号を使用する分散台帳。
(b) 「中央銀行デジタル通貨」または「CBDC」とは、中央銀行が直接責任を負う、国家勘定単位で表示されるデジタルマネーまたは貨幣価値(monetary value)。
(c) 「暗号通貨」はビットコインに代表される仮想通意かブロックチェーンなどの暗号に依存する分散型台帳技術によって生成、所有記録がサポートされている、交換媒体たりうるデジタル資産を指す。
(c) 「デジタル資産」には、暗号通貨、ステーブルコイン、CBDCが含まれる。とりわけ、証券、商品、デリバティブ、または他の金融商品も含む。
(e) 「ステーブルコイン」は、コインの価値を特定の通貨、資産価値を安定させるために需要の変化に応じて供給をアルゴリズムで制御したりし、価値を維持するメカニズムを持つ。
やはり、良く理解できません。と言うかまだまだデジタル通過は時期早朝なのかもしれません。何といっても未だに完全に防備出来ないITの世界は信用できないものがあります。古い考えでしょうか。