コンピュータが思いもしなかった時代を齎してくれていますが、最大の弱点は盗聴や
ウイルスなどでしょう。
これさえなければ安心してコンピュータを使えるという素晴しい世界が来るはずです。
そんな時代ももしかしたら近いのかも。
宮崎さんがその可能性を持つ量子コンピュータを取り上げてくれています。さて、それが実現するのでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和六年(2024)1月29日(月曜日)
通巻第8110号
量子コンピュータで注目は、データ盗聴が不可能な「量子暗号通信」
日本の理化学研究所は3台の国産機を稼働させたが
「日常感覚からはかけ離れた量子物理の原理を用いて、現在のスーパーコンピュータにも不可能な計算を行い、社会の課題を解いてくれると期待される次世代 計算基盤、量子コンピュータ。世界で開発競争が激化する中、日本の量子コンピュータ研究を牽引(けんいん)する理化学研究所は昨年、相次いで3台の国産機 を稼働させた」(「産経新聞」、2024年1月28日)。
量子コンピュータ開発の基礎は物理学のもっとも難しいとされる量子力学である。世界最大の研究センターは、じつは米国でも欧州でもなく、まして日本でもない。中国安徽省合肥にある。中国が国を挙げて力をいれている。
スパコンを超える量子コンピュータ技術だが、とりわけ注目されるのは、データ盗聴が不可能な「量子暗号通信」だ。
量子コンピュータとスーパーコンピュータ(以下『スパコン』)の違いは、計算方法にある。量子コンピュータは重ね合わせた状態を利用して並列計算を行い、 高速化が可能。スパコは0と1という従来の計算方法である。すなわちスパコンはCPU(中央演算処理装置)とGPU(画像処理半導体)を使って計算を行う からCPUとGPUを多く繋いで処理速度を上げる。対して量子コンピュータは0と1のその中間的な状態を取ったりして、0の状態と1の状態を同時に取るこ とができる。処理のアプローチが全く異なる。
量子コンピュータの特許ランキングはIBM、マイクロソフト、Dウェイブ、インテル、グーグルが五傑、日本国内での特許はIBM、NTT、日立の順番となっている。
量子コンピュータの市場規模を「グローバル・インフォメーション」(調査会社)の予測に従うと、2026年に17億6500万米ドルの規模に成長する。
一方、スパコンの市場規模予測は、2021年から2025年の間に125億1000万米ドルに成長する。日本のスパコン「富岳」は世界一の称号を持つ。つまり市場規模だけをみると、当面はスパコン優位である。
そしてスパコンの百倍以上とも千倍以上とも言われる高速で量子コンピュータは威力を発揮する。たとえばミサイルの発射速度、着弾地点、その時刻を即座に計算し、防御態勢を組む。反撃ミサイルの目標、速度、チャン地点を即座に決める。
これらの技術はAIとセットだが、中枢部品が2ナノ半導体になる。日本のラピダスが2027年に予定している千歳工場で、この2ナノに挑むのである。
量子物理学とは人間の身体がそうであるように、すべての物質は原子から成り立ってい、その「量子」は、原子、電子、陽子、中性子、さらに小さなニュートリノやクォークなど粒子を意味する。物理学の中で最も難しい分野だ。
量子暗号装置の大手はスイス企業「アイディー・クオンティーク」(IDQ)社で、2001年にジュネーブ大の科学者らが創業し、韓国企業も加わった。韓国では48の政府機関が量子暗号通信網で構築され世界トップクラスとされるが、中国の実態が不明。
中国は既に全長4600キロにも及ぶ量子暗号通信網の構築に成功し、人工衛星と地上間で暗号鍵を送信する実験に成功したという。
中国や欧州が次世代の通信網の整備を急ぐ理由は米国主導だったインターネット通信網からの脱却である。米中欧と韓国を加えた次世代通信基盤整備は、国家安全保障戦略と直截に繋がっている。
▼コロンブスより前にアメリカ大陸を発見したのは中国だ???
なにしろコロンブスより前にアメリカ大陸を発見したのは中国だと主張している国である。発想の基点は中華思想。したがって世界の基軸通貨も米ドルにかわって人民元が通貨は券を握るのだとする中華優位の発想に短絡するのだ。
科学技術振興機構のブリテン(2024年1月10日)に拠れば、「中国安徽省量子計算工程研究センターと量子計算チップ安徽省重点実験室はこのほど、中 国が独自開発した第3世代超伝導量子コンピュータ『本源悟空』が本源量子計算科技(合肥)有限公司で稼働したと明らかにした。同コンピュータは独自開発し た72ビット超伝導量子チップ『悟空芯』を搭載し、先進的なプログラマビリティを持つ。研究者によると、超伝導量子コンピュータは超伝導電気回路量子チッ プに基づく量子コンピュータで、世界的にはIBMとグーグルの量子コンピュータがいずれも超伝導
技術ロードマップを採用している」としている。
量子暗号による通信網の整備? 日本にはそんな発想さえなく、ハッカーにさんざん襲撃されてから、当該政府部内にハッカー対策本部を立ち上げるなどと対策がのろくて鈍い上に泥縄式である。
ビッグサイトで開催されたロボット展覧会を見学したが、なるほど日本のロボティックス技術は「産業」「工業」「工程処理」などの分野にしか視点がなく合 理化 省力化 省エネ、その機能性、便利性を追い求め、生産現場ならびに医療、遠隔手術、看病・介護の補助ロボットなどに向けられている。
見学商談会を覗いても、機械のデモンストレーションをみても、日本のロボティックス開発に安全保障の視点がない。軍事ロボット開発の展示はゼロだった。
イーロン・マスクは「テスラ・ボット」を発表しロボット業界へ殴り込みを宣言した。日本はうかうかしていると、後発組に先を越されるだろう。
日本はここでも出遅れているようです。何とか追いつき追い越して貰いたいと思うのは甘いのでしょうか。
それにしても、一体どんな世界が来るのでしょうか。出きるならばこの目で見たいものです。