◇ライアの祈り(2015年 日本 119分)
監督 黒川浩行
◇ベトナムの部分は要らん
いやまあ、バツイチの鈴木杏樹が人数合わせで参加した街コンで、いきなり、四十過ぎで無精髭の考古学オタク宇梶剛士に出会った瞬間、縄文時代を吹き抜ける風を感じたとかって、それはないだろ、普通。もうこの瞬間からなんだか得体の知れない昭和の良き時代のような甘ったるくい世界が始まるんだが、こんな素朴な人間たちちょっとおらんぞみたいなことを感じながらもまあいちおう最後まで観た。
鈴木杏樹はほんとうに好い子で、普段からこういう純粋な人なんだろうな~って気がするし、いや実際、そういう素敵な女性なんだから、こんな恋愛をして幸せになってもらいたいし、宇梶剛士にしてもまあ若い時の暴力的なイメージはまるで影をひそめ、まじにとっても好い人なオーラを発しているし、いや実際、こういう太古の響きを背に受けていかなければならない立場なんじゃないかっておもうからこういう映画に次々に出て頑張ってほしいっておもってるんだけどね。
だからこのライアっていう存在がいまひとつよくわからないぼくは、夢の中に出てきた太古の少女ライアの祈りとかっていうんじゃなくて、もうすこし別なネーミングっていうか象徴っていうかそういうものが欲しかった気がするんだけど、そんなことはさておき、途中で宇梶がベトナムに往っちゃうのは駄目だな。いたずらに時間を伸ばすだけのことだし、舞台を移してしまうことで町おこし的な雰囲気はもろくも崩れ去るし、時の流れを追っていた緊張が切れる。好いことはいっさいない。
もうちょっと頑張れば、それなりに素敵な小品にはなりそうなんだけどな~。