◎グッバイ、レーニン!(2002年 ドイツ 121分)
原題 Good Bye Lenin!
監督 ヴォルフガング・ベッカー
◎1989年、ベルリンの壁崩壊
その前後の東ベルリンに住んでる家族の話だ。
今からでは想像もつかない人がいるかもしれないけど、当時の西ベルリンと東ベルリンとはまったく異質の国だった。そこで西ベルリンへ亡命していった夫を待つ妻が次第に感化されて東ドイツにおける徹底した愛国主義者となっちゃってるってのは、あながちおかしな設定じゃない。いやそれどころか、こういう家庭はいっぱいあっただろうなっておもったりもする。ベルリンの壁が崩壊する直前に息子の革命的なデモ参加に驚いて心臓麻痺をひきおこし昏睡に陥り、壁が崩壊して八か月後に目覚めるなんてそんなのありか?っていう人もいるだろうけどね。でも、あったんだよ、たぶん。
ぼくはこういう皮肉たっぷりの小品は好きだし、いや登場人物の立場に立ってみるとって考えられることができるだけでも充分なリアリズムだとおもうんだけど、そうじゃないのかしらね。そりゃあ、ドイツが統一された当時、ことにベルリンの貧富の差は凄まじいものがあったようで、そうしたことを背景にして重箱の隅を楊枝でほじくるように突いていけば、もっとちゃんとしたリアリティーを感じられるのかもしれないんだけど、そんなことは必要ない。だってリアリティーばかりを追及してたんでは、レーニン像の撤去の際に像が散歩するように移動していくさまなんてのはちょっと巡り合いにくかったかもしれないしね。