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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

2016年04月22日 02時37分50秒 | 洋画2015年

 ☆Mr.ホームズ 名探偵最後の事件(2015年 イギリス、アメリカ 104分)

 原題 Mr. Holmes

 監督 ビル・コンドン

 

 ☆1947年、ホームズ、93歳

 しかも、すでにワトソンは鬼籍に入り、明晰を誇った頭脳であった自分でさえも痴呆が徐々に進んでるっていうなんとも寂しい孤独な老後だ。くわえるに、どうやらホームズは探偵を引退することになった事件をいまだに引き摺ってたりする。その事件がここではかなり重要で、なぜかっていえば結局、一緒に生きていってはもらえないかと懇願されながらもそれを拒んでしまったことで自殺に追い込んでしまった人妻ハティ・モラハンとの思い出があったりするからだ。

 そうしたホームズのひしひしとせまる晩年と、しかしそうでありながらもやがて心の蘇生と安息を得られるようになる疑似家族つまり家政婦とその幼い息子とのふれあいがこの作品の主題になってたりする。そう、いうなればたしかにホームズの晩年とは謳われていながらもその実は老いた探偵それもさして活躍できなかった探偵の物語といってもいいくらいな話だ。

 ただまあそういう惨めなホームズがなんでこれほどまでに世の人々の知っているホームズと異なっているのかといえば、実はホームズはすべて虚像であり、なにもかもワトソンが創造したものでしかないといいきってしまうあたり、この作品の独立性がしっかりと見て取れる。

 なんといっても気持ちがいいのは、家政婦ローラ・リニーと恋に陥ることはなく、あくまでも人間と人間の心のふれあいを重視していることと、その息子との関係が孫とのそれであるように疑似家族を作っていくさまだ。それは、そう、主演俳優と監督の生き方をおもえば、必然的な展開だったんじゃないかって気にもなる。

 そう。主演のイアン・マッケランがみずからもゲイであることを認め、かつその権利を擁護するべく運動しているし、監督のビル・コンドンもまたゲイであることをカミング・アウトしていることをおもえば、かれらは実に意気の合った間柄であるといえるし、そうであるからこそ、ホームズとワトソンの微妙な信頼関係の後の話を描くことができたのではないかと想像するのはちょっとうがちすぎなんだろうか?

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