◎KANO 1931海の向こうの甲子園(2014年 中華民国 180分)
原題 KANO
監督 馬志翔
◎嘉義農林学校、中京商業と戦う
タイトルのKANOは、この嘉義農林学校のことだ。
それにしても馬志翔という監督は『セデック・バレ』では俳優だった人で、それが一気に監督になり、これだけの大作を撮らせてもらえるという土壌は、実にすばらしい。台湾の映画産業はもはや日本のそれを追い抜きつつあるんじゃないかっておもえるくらいだ。
ほんと、このところの邦画についてはいろいろいいたいこともあるけど、それはさておき、台湾の人々の偉いところは、かつて植民地だった頃、統治していた日本側の功罪についてきちんと把握しようとしていることだ。かれらは統治者だった日本人の中でもあまた尊敬している人がいて、そのひとりがコンピョウさんこと嘉義農林を第17回全国中等学校優勝野球大会において初出場ながら決勝まで導いた近藤兵太郎だったり、嘉農の農業教師で野球部部長でもあった濱田次箕であったり、鉄壁のトライアングルつまり野手の福島又男、小里初男、川原信男だったり、さらには嘉南大圳の建設に邁進した水利技術者の八田與市であったりするんだけど、そうした人達に光をあててくれている。
嬉しいことだし、こういう姿勢はちゃんと受け止めないといけない。
ぼくは台湾の人々に感謝しつつ、この作品を観た。