◎12人の優しい日本人(1991年 日本 116分)
監督/中原俊
音楽/エリザベータ・ステファンスカ(モーツァルト/ピアノ・ソナタ 15番ハ長調 K545)
出演/塩見三省 相島一之 上田耕一 二瓶鮫一 中村まり子 大河内浩 梶原善、
山下容莉枝 村松克己 林美智子 豊川悦司 加藤善博 久保晶 近藤芳正
◎オマージュかパロディか
もちろん『十二人の怒れる男』に対するものなんだけど、これはその両方なわけで、三谷幸喜って人はほんとに往年のハリウッド映画が好きなんだな~ってあらためておもったりもする。
シドニー・ルメットの『十二人の怒れる男』はそりゃもう大した心理劇で、正義と倫理によって論議されて真実に辿り着こうとするきわめて真摯な映画なわけだけれども、そういう名作に対する憧れが濃厚に出てるのはもういうまでもないことで、しかしながら日本で撮ったらこうなっちゃうんだよね~っていう三谷幸喜の微笑みが聴こえてきそうな茶化しもまた色濃く出てきちゃうのも当然の結果だ。
ただまあ、いかにも「死んじゃえ」と「ジンジャエール」の聞き間違いはむりやりな気もするし、トラックのヘッドライトにはどちらも向いていても気づくだろうし、ピザの大きさについては店のメニューのほかにも食べる人の体格と胃袋と大きさとお腹の減り具合とその日の気分とでずいぶんな差が出てくるだろうし、もちろん喜劇だという前提もあるからそこまで突っ込まなくてもいいし、そんなことをいいだしたら切りがない。
けど、総じて役者たちは上手に演じてたし、この時代の中原俊はとても好いね。