◇ヴィジット(The Visit)
M・ナイト・シャラマンは新作を撮るたびに確実につまらなくなってるんじゃないかっておもえちゃうのは僕だけなんだろうか?
この姉オリビア・デヨングと弟エド・オクセンボールドの撮影してるとされる画面だけで構成されてるってのは、たしかにすごい。すごいんだけど、それは自主制作映画的な感動だけで、あとはひたすらつまんない。
おばあちゃんディアナ・デュナガンの、気が狂ったような(実はほんとにそうだったんだけど)縁の下の鬼ごっこや、真夜中に真っ裸で爪をとぐところや、ネグリジェで這い回ったりするところは、いやいやまじかよってくらいな面白さはある。
けど、このあたりすべて足しても93分あるこの映画の中の1分間くらいでしかない。
あとはひたすらつまんないな~っていう時間が過ぎていく。痴呆が始まって『暗闇さん』とお友達になってる祖父母の家に泊まりにきた孫たちの妙にうまいホームムービーを観させられてるだけだ。トイレのレバーを素手でさわったら菌がついてもう取れないと騒ぐ弟の気持ちだけはよくわかるし、最後にはもうバイキンのかたまりのようなモノで顔をおおわれて狂乱状態になることで解消されるっていうオチはつくけど、まあそのあたりも夏休みの体験談だ。
ただ、隠し撮りのカメラを見つけたときのばあちゃんはさすがに怖かった。そう、実はこのあたりから、ちょっとおもしろくなってくる。ナイト・シャラマンお得意の展開なんだけど、でも、精神病院から脱走した老夫婦みたいな男女が、おじいちゃんとおばあちゃんを殺して地下室の長持にぶちこんで成りすましてたところへ孫たちがやってきちゃったんじゃないかって陳腐な想像をしてたら、まじか……って。まいったな~。