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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ダンス・ウィズ・ウルブズ

2018年01月16日 13時16分15秒 | 洋画1981~1990年

 ◇ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年 アメリカ 181分/236分)

 原題/Dances with Wolves

 監督・主演/ケビン・コスナー 音楽/ジョン・バリー

 出演/メアリー・マクドネル グラハム・グリーン モーリー・チェイキン ロバート・パストレリ

 

 ◇1863年秋、サウスダコタ州

 シュンカマニトゥタンカ・オブワチつまり「狼と踊る男」の物語だ。

 でも、物語をつくるうえでいちばん作りやすかったのかもしれないんだけど、この男ことケビン・コスナーが北軍の中尉だったという設定はどうにかならなかったのかしらね。というのも、インディアンの描かれてきたハリウッド作品に一石を投じたことはまちがいないものの、やっぱりどうしても優越的な立場にある白人から眺めたインディアンっていう構図になっちゃうからだ。そういうことから『アラビアのロレンス』の西部劇版のような批評を受けたりもしたんだろうけど、むりからぬことだったのかもしれないね。

 とはいえ、ケビン・コスナーのがんばりようはたいしたもので、まるでデビッド・リーンみたいな大平原を撮ってみせたし、バッファローの大群をどうやって集めて撮影したのかっていうくらい映像的な驚きはある。

 もちろん、インディアンの言葉が男性語と女性語に分かれてたせいで言語担当の女性にだけ頼ってしまったため男はみんなオネエ語になっちゃってたとか、そういう細かなまちがいはあったにせよ、うん、よくやったな~っていう印象はある。

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ロビンとマリアン

2018年01月15日 13時03分01秒 | 洋画1971~1980年

 ◎ロビンとマリアン(1976年 アメリカ、イギリス 106分)

 原題/Robin and Marian

 監督/リチャード・レスター 音楽/ロビンとマリアン

 出演/ショーン・コネリー オードリー・ヘップバーン ロバート・ショウ リチャード・ハリス

 

 ◎ロビンフッドの晩年

 獅子心王ことノルマンディー公リチャード一世は、ロビン・フッドの物語では支援者の側に立ってるんだけど、この物語では冒頭から十字軍の遠征をひたすら続ける戦いの象徴として扱われる。当然、ロビンフッドとは相容れなくなり、老人や女だけのシャリュ城を攻撃しろと強引に命じたところで敵方に矢を射られて崩御することになるんだけれど、そこから年表をひもとけば、この物語は1199年の春ということになる。

 それはともあれ、この映画が公開されたとき、ぼくはまだ高校生で、キネマ旬報を毎月取り寄せてて、そこで封切りを知った。

 でも、まだまだがきんちょだった僕は「おじいさんとおばあさんの恋物語なんて観たくもない」っていうのが正直なところで、映画館に足を運ぶ気にもならずにいた。当時、ヨーロッパの中世の物語はときどきあって、世界史になんの興味もなかった僕は見向きもしなかった。

 そんな自分の過去をおもえば、今、あまり観る気のしない青春物を観ている人達に僕の観たい映画の話をしたところで仕方ないんだろうね。

 で、物語なんだけど、シャーウッドの森に帰ったロビン・フッドがかつての恋人だったマリアンを訪ねてみれば、ロビンの帰りを待ち切れずに修道院に入ってしまってて、それをなんとか取りやめさせてふたたび恋を語るようになるのも束の間、宿敵の代官が攻め寄せ、その戦いの果てに勝利を得るもののロビンも深手を負い、これではもう一緒に死ぬしかないとマリアンは毒を仰ぎ、めざめたロビンもまた死を覚悟し、矢を射って「この矢が落ちたところに一緒に埋めてくれ」といいのこすっていういかにも定番の物語が展開されるんだけれど、でも年を取ってから観てみると、これはこれで充分に鑑賞できた。

 つまりは、そういう年回りになってきたってことだね。

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リプリー

2018年01月14日 23時17分17秒 | 洋画1999年

 ◇リプリー(1999年 アメリカ 140分)

 原題/The Talented Mr. Ripley

 監督・脚本/アンソニー・ミンゲラ

 出演/グウィネス・パルトロー ジュード・ロウ ケイト・ブランシェット フィリップ・シーモア・ホフマン

 

 ◇1950年代、ニューヨークと地中海

 パトリシア・ハイスミスの原作にかぎりなく忠実に、というのをモットーにして作られたらしい。

 でも、原作に忠実かどうかなんてことは、実は僕にとってはどうでもいい。

 だって、世間からは嗤われてしまうだろうけれど、ぼくはいつになっても原作をとにかく読んでからっていう気分にはなったことがない。ていうか、なれない。なぜかっていうと、原作を読んでいられるとはおもえないからだ。いや、実際のところ、映画は映画の上映だけですべてを語ればいいわけで、原作どおりかどうかなんてことは僕にはまるで興味がない。

 もちろん、パトリシア・ハイスミスのフアンは大勢いるだろうし、リプリーを演じたマット・デイモンを好きな人も大勢いるだろうから、そうした人の気持ちをおもえばあんまり無責任なことはいってはいけないかもしれないけど。

 でも、あれだね、どちらが僕の好みかといえば、これはまごうことなく『太陽がいっぱい』の方が好きだ。

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カプリコン1

2018年01月13日 23時25分14秒 | 洋画1971~1980年

 ◎カプリコン1(1977年 アメリカ 129分)

 監督・脚本/ピーター・ハイアムズ 音楽/ジェリー・ゴールドスミス

 出演/エリオット・グールド ジェームズ・ブローリン サム・ウォーターストン O・J・シンプソン

 

 ◎幼い頃の記憶

 この有人火星探査宇宙船「カプリコン・1」の物語は、いまさらあらすじを書いたところで仕方ない。

 だって、あまりにも知れ渡ってるからだけど、ただ、ちょっとだけ書いておかないといけない。

 というのも、これは結局のところ「空想科学サスペンス映画」という変わったくくりの内容になってて、火星にむかうロケットの生命維持装置が壊れたことから乗組員が内緒で下ろされ、スタジオ撮影によって全人類に嘘をつくっていう話で、みそになってるのは帰還してきたロケットが大気圏で燃え尽きてしまったため、乗組員たちはこの世に存在してはならなくなってしまったことから暗殺されそうになるっていうところで、で、ラストのほんとうの帰還がスカッとするわけだけれども、この逃亡の物語と並行して語られるのが巨悪を暴こうとする新聞記者の奮闘なんだよね。

 実は、こちらが好いんだ。関係者が隠密裏に行方不明にされ、その存在すらもなくされ、自分もまた何者かに命を狙われる。国家という巨大な存在を相手どって戦わざるをえなくなる筋立ては、どうしようもなく好きなものだから。

 ちなみに、小学生だった頃の記憶がある。

 アポロが月に着陸したときのことだ。ぼくは夜、近所の屋台へお使いに出ていた。どて焼きを買うためだ。その屋台は昔軍人だった人が曳いていて、とても顔だちの好い人だったんだけど、串焼きのお店で、そこのどて焼きがとても好きで、ぼくはときどき晩ご飯のおかずにしてもらって、お使いに出ていた。で、どて焼きができるのを待っていると、そこで串をつまみにお酒を飲んでるおじさんがいて、ちょうどアポロが月面着陸したばかりで、こんなこと口走った。

「あんなもん、おめえ、月なんかじゃなくて、どこかの撮影所で撮ってんだよ。月なんか行けるわけねえわ」

 ぼくはどて焼きを抱えて屋台を出たとき、ふと空を見上げた。満月だった。あの日の満月は忘れられない。

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女殺油地獄

2018年01月12日 11時50分20秒 | 邦画1991~2000年

 △女殺油地獄(1992年 日本 115分)

 監督/五社英雄 音楽/佐藤勝

 出演/樋口可南子 藤谷美和子 堤真一 井川比佐志 岸部一徳 長門裕之 石橋蓮司 辰巳琢郎

 

 △ぬるぬる

 油地獄ね。なるほど。でも、このくだりだけかな。あとはなんだか品性が感じられないのは僕だけなのかな?そうだとしても、いやあ、女の嫉妬と女同士の艶の競い合いみたいな感じになってて、なんかね。

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天空の蜂

2018年01月11日 00時38分46秒 | 邦画2015年

 ◎天空の蜂(2015年 日本 138分)

 監督/堤幸彦 音楽/リチャード・プリン

 出演/江口洋介 本木雅弘 仲間由紀恵 綾野剛 向井理 竹中直人 石橋蓮司 柄本明 國村隼

 

 ◎ビッグB

 なるほど、無人飛行の可能な巨大ヘリを原発の上空でホバリングさせるか。

 いやあ、なるほどね~とおもった。

  誰もが漠然と考えているんだけど、それがなかなか実体化してこない物語を細部にわたって描いてみせた分、この作品は価値があるとおもうんだよね。原作は読んでないけれど、たぶん納得のゆく物理的な説明と関係者たちの心理が描写されてるんだろう。

 まあ、江口洋介の正義感と父性愛はさておき、ほんとうの主人公といっていい本木雅弘の心情はきわめてよくわかる。人間のもっとも陰湿な面の出てくるイジメについても体験している父と子の怨念めいたものが原発に結集しているわけで、これは心情的な憐憫もともない、よくわかる。現実的な怒りというのか江口洋介とはまた異なる怒りの増幅については綾野剛を観ていればいい。これもまたよくわかる。

 けれども、なんともリアルなのは仲間由紀恵で、それがいかに大義名分があろうとも犯罪にちがいないことがわかっていてもなお男に加担してしまう女の心情というのはこういうものなんだろうなっておもうんだよね。

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肉弾

2018年01月10日 00時03分31秒 | 邦画1961~1970年

 ◎肉弾(1968年 日本 116分)

 監督・脚本/岡本喜八 音楽/佐藤勝

 出演/寺田農 大谷直子 天本英世 伊藤雄之助 高橋悦史 中谷一郎 田中邦衛 小沢昭一 笠智衆

 

 ◎バッカヤロー!

 この叫びは「ばっかやろう」ではなく「バッカヤロー!」なんだとおもう。個性というのはそういうもので、それはときには相対している者の気分というか受け止め方の差もあるんだろうけれども、たぶん、岡本喜八の場合、つねに「ばっかやろう」ではなく「バッカヤロー!」というのが正鵠を射ていたんじゃないかと。

 寺田農演じるところの「あいつ」とこの作品がデビューの「うさぎ」こと大谷直子の青春はあまりにも短く、それはいうまでもなくこの国のひきおこした戦争によって翻弄されたわけで、もちろんそれはこの時代の日本人すべてがそうなんだけれども、これに対して岡本喜八は「バッカヤロー!」と叫んでる。

 ただまあこれはたった一回だけのことで、あとは終始、情けなくも痛烈かつ滑稽な嗤いを延々と続けていく。封切られた当時は正に弾丸のように強烈な皮肉と諧謔に満ちていたんだろうけれども、こんにち観ると、ややだれる。

 ふしぎなもので、岡本喜八の作品の多くがそんな印象を受けるんだけれども、もちろんこれは僕の勝手な受け止め方だが、もしかしたら時代はかなり切迫した時間の感じ方になってるのかもしれないね。

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許されざる者

2018年01月09日 01時07分00秒 | 邦画2013年

 △許されざる者(2013年 日本 135分)

 監督・脚本/李相日 音楽/岩代太郎

 出演/柄本明 柳楽優弥 忽那汐里 小池栄子 國村隼 滝藤賢一 小澤征悦 三浦貴大 佐藤浩市

 

 △イーストウッド作品のリメイク

 舞台は明治初期の北海道。

 まあよくある設定で、渡辺謙はおんなじような感じの『北の零年』とかってなかったっけ?

 まあそれはさておき、わざわざリメイクする必要がどこにあったんだろう。

 マカロニウェスタンの時代じゃないし、北海道を舞台にした西部劇もどきを作りたかったんならまったく自由な発想でやればいいんじゃないかな。いくらイーストウッドが『用心棒』からスターになったとはいえ、イーストウッドの名前と題名をそのまま宣伝にできるっていう甘い汁をすすろうとしたんじゃないのかって勘ぐられてしまう分、不利益になっちゃったんじゃないかと。

 売り物はなんなのかってところを、邦画界はもうすこし考えなくちゃいけないんじゃないかな。

 北海道の極寒での撮影は大変だったとかが売りになるような時代はもう終わってる。むかし『八甲田山』を撮ったときはたしかに命懸けだっただろうし、それはそのまま画面に出てた。そういう凄味は感じなかった。女郎の復讐業ってのもいただけない。申し訳ないが、大仰なばかりの役者たちの顔ぶれもさらにいえば殺陣も目新しさが感じられない。辛かったというより、観ていて悲しくなってきた。どうしたもんだろうね。

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るろうに剣心 伝説の最期編

2018年01月08日 00時50分30秒 | 邦画2014年

 ◇るろうに剣心 伝説の最期編(2014年 日本 135分)

 監督/大友啓史 音楽/佐藤直紀

 出演/佐藤健 武井咲 江口洋介 伊勢谷友介 神木隆之介 福山雅治 藤原竜也 土屋太鳳

 

 ◇飛天御剣流は焔霊(ほむらだま)を封じられるのか

 物語の展開はもう第二作であらかた出来上がってて、あとはどうやって佐藤健と藤原竜也が決着をつけるかってところに焦点が絞られるわけだけれども、いやしかし長いっていうかなかなか死なないんだこれが。

 というより、なんだか藤原竜也の舞台でも観に来たような気分になるのはなんでなんだろね。

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るろうに剣心 京都大火編

2018年01月07日 00時33分27秒 | 邦画2014年

 ◇るろうに剣心 京都大火編(2014年 日本 139分)

 監督/大友啓史 音楽/佐藤直紀

 出演/佐藤健 武井咲 江口洋介 伊勢谷友介 神木隆之介 福山雅治 藤原竜也 土屋太鳳

 

 ◇甲鉄艦「煉獄」

 つまりは、池田屋事件を明治版にして規模をとてつもなく大きくしたって感じなのかしらとおもってたら、なんだか昔の東映の海賊船物みたいな展開になってきてた。でも、やっぱり殺陣も流れも前作にひきつづいて斬新っていうか現代的で、役者も揃った観はあったんだけど、いや、藤原竜也の繃帯の怪物はなんだかどこかで観たような気がしたのはぼくだけなのかしら?

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るろうに剣心

2018年01月06日 00時06分07秒 | 邦画2012年

 ◎るろうに剣心(2012年 日本 134分)

 監督/大友啓史 音楽/佐藤直紀

 出演/佐藤健 武井咲 吉川晃司 蒼井優 青木崇高 江口洋介 香川照之 奥田瑛二 綾野剛

 

 ◎明治11年、帝都

 流浪人(るろうに)になった人斬り抜刀斎のその後の不殺(ころさず)の誓いがどうなるのかって話だ。

 実をいえば、かなり高を括って観たんだけど、これがどうして、おもしろかった。なんだか『龍馬伝』の続きを観てるような気がした。スタッフやキャストを見ればそりゃそうだろうって話だけど、でも、演出もカメラも演技もよかったし、なんといっても殺陣の斬新さはなんだかうきうきしたかな。

 ぼくはいつものとおり原作を知らないし、でも漫画に影響されてない分、単なる映画として観られたからかえって好かったとおもうんだけどね。

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スノーホワイト 氷の王国

2018年01月05日 01時25分13秒 | 洋画2016年

 ◇スノーホワイト 氷の王国(2016年 イギリス、アメリカ 113分)

 原題/The Huntsman:Winter's War

 監督/セドリック・ニコラス=トロイアン 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード

 出演/シャーリーズ・セロン エミリー・ブラント ジェシカ・チャステイン ソフィ・クックソン

 

 ◇いちおう『スノーホワイト』の続編

 しかしながら、続編にする意味はどこにもなかったのではないか。

 まあ、ユニバーサルとしては「続編つくるよ」とか発表しちゃったもんだから後に退けなくなったというのが実情なんだろうけど、そこはやっぱり、クリステン・スチュワートと前作の監督ルパート・サンダースとの不倫が発覚してしまった時点で企画を取り下げるべきだったとおもうわ。ま、ハンター役のクリス・ヘムズワースを主役にしてスピンオフを一本撮ろうという案に固執しちゃったのはわからないでもないけど、でもあかんね、それは。

 どだい、このシリーズはクリステン・スチュワートの白雪姫があってこそ成立するわけで、それを降坂させて物語を作ろうっていうのはもう無茶としかいいようがない。だから、そこへどれだけ有名な女優を投入したところで、破綻するしかないような世界にあらたな物語を作り込もうとしたって、そりゃあかんでやっぱり。

 とはいえ、一所懸命なのはわからないでもないし、むりやり作ったにしてはCGと編集でなんとかぎりぎり観られた。もちろん酷評だったし、ヒットもしなかったし、それがあたりまえだとおもうけど、でもまあ大画面で観るかぎり迫力はあったし、これはこれで仕方がないんじゃないかな。

 でも、ほんとはどんな物語を作ろうとしてたんだろうね。すくなくとも女王のシャーリーズ・セロンは出てこなかったんじゃないかって気がするんだけどな。たぶん、女王が殺されたことに怒り狂った妹のエミリー・ブラントがその復讐に出てきたところをクリス・ヘムズワースが迎え撃つっていう物語だったんじゃないかしら。

 もちろん、そこには微妙な三角関係とかが必要だろうし、で、登場してくるのがジェシカ・チャステインなわけで、たぶん、エミリー・ブラントの派遣してくる刺客になるはずだったんじゃないかな。つまり、エミリー・ブラントに育てられたふたりの再会とクリステン・スチュワートの三角関係っていう物語だったんじゃないかと。だってその方がすっきりすんなりするもんね。

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海のふた

2018年01月04日 00時09分45秒 | 邦画2015年

 △海のふた(2015年 日本 84分)

 監督/豊島圭介 音楽/蘭華

 出演/菊池亜希子 三根梓 小林ユウキチ

 

 △西伊豆

 なんだか似たようなほんわか映画が続く。

 都会につかれた、仕事に限界を感じた、人間関係に嫌気がさした、田舎に癒されたい、なんだかんだ…てな感じで、妙に資金の豊富そうで頭も良さそうでそれでいてやけに浮世離れしてて生活力もなさそうなのにでも楽しく暮らしちゃってる女の子の映画がまた出来たのかって感じだった。

 たいがいそういう映画は料理も綺麗に移されてて、おおむね、登場人物たちは旺盛な食欲こそ見せないものの妙に料理が上手でなんかにつけて拘りがあって、でも共通して男っ気がない。なんだか透明感を漂わせるばかりで、おもわず「欲情しないのか、あんたら?」とかって聞きたくなるんだけど、そんな下世話な野郎はこういう一連の映画は観なくてよいのだよね、たぶん。

 でも、かき氷は僕も好きだし、夏になればかならずいただくもののひとつではあるんだけれど、都会のとっても暖かい店に入ってもやっぱり冬はあんまり食べないし、夏だって台風で吹き飛ばされそうな店には入りたくない。雨風の心配のないところで、なんだかおんぼろなんだけどおしゃれな感じのお店があればなおさらいいけど、海辺の掘っ建て小屋みたいなところでは味もあんまり期待できないような気がするし、そういうことからいえば、やっぱりこの作品も現実味に乏しいかな。

 かき氷のようにふわふわした浮遊感だけ味わえれば、現実味なんてどうだっていいじゃんといわれれば、たしかにそれまでなんだけどさ。

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リトル・フォレスト冬・春

2018年01月03日 23時46分23秒 | 邦画2014年

 ◇リトル・フォレスト冬・春(2014年 日本 120分)

 監督・脚本/森淳一 音楽/宮内優里

 出演/橋本愛 松岡美優 三浦貴大 温水洋一 桐島かれん

 

 ◇岩手県奥州市(旧衣川村)の冬と春

 まあ、たしかに前篇もそうだけど、とっても画面は綺麗で、ドキュメンタリーを観てるような気もするし、その一方で橋本愛のイメージビデオを観てるような気にもなる。まあそれはそれでいいし、田舎暮らしというのは変にうねりのある物語が始まったらかえってリアルさが欠如しちゃうかもしれないんだけど、でも、彼女たちの暮らしぶりそのものがどうしてもリアルに感じられないのはなんでなんだろう。いや、ほんと、撮影も音楽も好いっておもうんだけどね。

 語りようがないんだな、映画の内容について。ふしぎだ。

 なんだな、なんかぼんやりと観ている分にはちょうどいいし、たしかにこの後篇は物語がちょっぴり進んでいったしもするんだけど、それよりも前篇をふくめて料理のレシピとかも画面に出してくれればもっといいかもしれないな~とかいった気分で観てた。いや、実際、食べてみたくなるし、行ってみたくなるしね。

 そういうことからいえば、この映画は製作して正解だったかもしれないけどね。

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リトル・フォレスト夏・秋

2018年01月02日 23時25分36秒 | 邦画2014年

 ◇リトル・フォレスト夏・秋(2014年 日本 111分)

 監督・脚本/森淳一 音楽/宮内優里

 出演/橋本愛 松岡美優 三浦貴大 温水洋一 桐島かれん

 

 ◇岩手県奥州市(旧衣川村)の夏と秋

 ここに小森という村があるのかどうか僕は知らないんだけど、なんだったんだろう、この映画は。

 ドキュメントタッチで描いていこうっていう意図だったんだろうけど、登場人物たちはかなり綺麗で、なんだか村暮らしの厳しさよりも愉しさや美しさが前に出てて、現実味があるのかないのかよくわからない感じではあったな。田舎に対する主人公たちの本音のところがよく見えていないのに、妙に心地よさばかりが届いてくる。

 なにより、かれらには小森に住む、あるいは住もうとしている、さらには住まなくちゃならない、棲まなくちゃならないかもしれない、とかいった理由や背景がかなり不足しているような感じがしたんだけどな。いちばんわからないのは、桐島かれんかな。なんで小森にいて、なんで小森を棄てたんだろう。

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