DMOという言葉がある。Destination Management Organizationの略で国土交通省の定義は以下。
『日本版DMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。』
そんな実例が日経流通新聞11月6日号に載っていた。例えば地域連携を目的とするディスティネーション十勝をはじめ、気仙沼DMO、雪国観光農園、南信州観光公社、ノオト、広域連携せとうちDMOなどがある。例えばノオトは、限界集落の古民家を宿泊施設や料理店に再生させるるなど50棟以上の実績を持ち、せとうちDMOは小型豪華客船ガンツウを就航させて瀬戸内海クルーズを行うなど、地域連携しながら観光地域づくりを行おうとするものであり、そのための戦略や調整機能を備えた法人に対して国が支援する事業だ。
こうした事業をおこなうためには、事業立案ができ且つ調整機能のできる人材確保が課題だそうな。わかりやすくいえば観光プロデューサーが必要になる。私は今年1月にプロデュースについての本を東京の出版社から発売したので、「これでも読んでよ、観光については書いていないけど事業の構造や組み立て方は一緒だから・・・」といったとしても、あたまの固い読者からは「これ観光の本ではないから、パスだな」というユーザーは結構いるのです。
観光だから観光の書籍棚へ、という考え方は既に古い。今の観光市場は素直にはできていない。観光の仕事だから観光の本をという考え方よりは異分野の知識の方が有効だ。本は配架方法だけのことだが、難儀なのは人間の頭が猛烈に固いことだ。そこが一番私の頭を悩ましくさせてくれる。若くして既に頭の猛烈に堅いクソ真面目人間が多いのだ。だからDMOでも、プロデューサーの育成が課題となっている。
そういうことは大学教員時代に学生の就職活動をみていると顕著だ。「建築を勉強したから設計事務所へ、あら水準高いんだ、ならば身の丈サイズのハウジングメーカーへ」そういう学生達を数多くみてきた。しかし「建築を勉強したからといって、なんで建築の分野に就職するのかなぁー?」、という疑問をもった学生は少なかった。実は、そういう疑問をもてる柔らかい頭がプロデューサーの資質の一つ。つまりみんなが流れてゆく様相を眺めつつ、「ホントにこっちでいいのかいなぁー、もっと面白い方向があるんじゃないかなぁー」という問いをたてられることがポイントなのです。
どんな場合や状況においても、問いをたてられる、あるいはみんながこうだといっている自明の方向を疑ってみる、それが柔らかい頭の発端。もしそうした気づきがなかったらダサい方法だけど全てを疑ってみる。実をいうと科学技術の研究は、そこから始まるんですね(笑)。
沖縄県石垣市大崎ハナゴイリース
OLUMPUS E-M1 Mark2,M.ZUIKO DG FISHEYE8mm/F1.8
ISO400,露出補正-1,f/4,1/1250