Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Practice7. 空間のなじませ方

2017年11月19日 | Design&3DCG

 スケールの大きな現代建築と、それが小さい町屋とが一つの空間に同居したらどうなるのかと思ったら意外になじんでいる。なじませ方には二つの方法がある。一つはモジュールを統一させていること。二つ目は植栽である。

 モジュールは日本建築の原単位である910mmとし、この倍数で町屋とTerrace Valley Style(TVSと呼んでおく)とを制作している。例えばTVSの柱間は7,280mmだし階高は3,640mmとしているし、当然町屋はモジュールで制作しているから3,640mm×3,610mm(つまり8畳)の広さを基準に組み立てている。見た目ではわからないモジュールだけど、えもいわれぬ説得力を持っている。もう一つ加えるとモジュールに合わせてデザインをしておいた方が、CG上のグリッドに載せやすく制作が容易だということもある。

 植栽は、建築群をつないでいる。実際には町屋に設けた1.8m×3.6mの坪庭に大きな樹木を植えることができるので、こうした景観は十分可能であり、TVSの植栽とあいまって緑同士の関係性を生み出している。建築だけなら幾何形体だから同じような景観にしかならないが、緑と絡めると様々な景観が出現できる。春には新緑がまぶしく秋には紅葉する、そうした時間差が空間を面白くするだろう。もちろんこれは公園ではない。だが公園に出かけたときに体験する自然の変化を建築群の中で感じることができる。こうした植栽が町屋とTVSをつなぐ役割を果たしている。だから建築様式の違和感が薄らぐだろう。そして町屋には固有の落ち着いた空間が存在していることが確認できる。つまり町屋のグランドレベルに日本の落葉樹を、しだに上へ行くに従って果実種を配置し、少し階層的な植栽配置を意図した。空間の高さ方向の変化の中で植栽も樹種を変えることは有効な方法だ。

 そんなTVSと町屋空間のなじませ方を京都の町の散歩体験をきっかけに、このデザイン方法を3DCGでシミュレーションしてみたわけである。 

 

ハードウェアMac Pro,ソフトウェアVue Infinite2016R3

 

コメント
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