本州は梅雨だが、小樽は晴天だ。
今は感染症対策で看護師もとられているから、在来病棟は休みなしの忙しさだ。
だから昼の僅かな休息タイムで荒唐無稽な話に、花をさかせるのがストレス解消。
翆「最近和子さんとやってるからボッキマンが元気だよねぇー」
和子「感染病棟のメカニックだもん、いま一番活躍して欲しい人」
翆「夜もぉー?」
和子「だってジムで体を鍛えているでしょう。精力が有り余って大変よ。抜いても、抜いても、チャージしてくるのよ」
翆「和子さん、山女だから、スタミナバッチリじゃないの」
和子「うん!、スタミナだな、男と女の相性は!!。もう一つ相性があって、家の近さだよね」
翆「あっ、そうか、和子さんのアパートとボッキマンの下宿は、歩いて行けるんだ」
和子「家が近いと、幼なじみと会っているみたな親近感ってあるのよ。だから、いつもフランクにやってくるの」
翆「家の近さが熱々にさせてくれるってあるよね」
和子「絶対フランクさって男と女の必需品。昔の村の感覚じゃないかな」
翆「男と女のラブラブの距離は、距離の二乗に反比例するという法則があるよ」
和子「近ければ近いほど、熱々になるって感じかな。近いから普段着でいいし構えることもないしさ・・、そんなところが気楽だよ」
翆「普段着の距離ってあるよね。今日はデートだといって着飾ってゆく必要がないもんね」
和子「普段着の親密感!。色気はファッションじゃなくて、オキトキシンが分泌する生理現象だからね」
翆「スープの冷めない距離にみんなで暮らす快感があるね。だから遠距離恋愛なんか破局もんだよね。私ならあり得ない世界」
和子「一つの街のなかで、出逢って、一緒に暮らして・・、と人間の一生が完結してゆくって必要な事だよ。いまはネットで世界とつながっているから外の世界のことなんかいつでも見れるでしょう。だから身の回りのこととか人生が、ひとつの街のなかで完結してゆくことに、絶対価値がある!」
翆「うん!、負荷のかからない生活ね!・・・、あらっ!、もう投薬の時間だぁー、ゆ・き・ま・す・かぁー」
・・・
大都市の雑事が嘘のように、小樽では湿度の低い快適な毎日が続いている。