ここで敷地全体の話、販売価格、合わせて屋上のデザインをしておこう。
トップの図は配置図である。Google earthのアングルで建物を真上からみた投影図だ。だから遠近感はない。
都市開発プロジェクトでは、こうした配置図のレベルで都市デザインがおこなわれる。つまり細かいことは置いといて、全体の大きな話をしようというときに使われる。
デベロッパーの立場でフィジビリティ・スタディをしてみよう。
土地は共有持分として・・・
敷地面積:3,52.7㎡(近隣公園を除く)
敷地の価格 1.1万円/㎡(小樽市奥沢地価公示価格)
敷地購入価格 1.1万円×3,952.7㎡=4,348万円(A)
1住戸床面積:191.4㎡
総戸数30戸
共用部分床面積:900.0㎡(住戸総面積の30%弱を想定)
建築延床面積:191.4×30+900=6,642㎡
建設単価:20万円/㎡×6,642=13億2,840万円(B)
土地及び建設工事費(A+B)=13億7,216万円(C)
開発諸経費:(Cの10%)1億721万円(D)
開発総事業費:(C+D)=13億8,938万円(E)
販売価格:(E)÷30戸=4,631万円/戸
小樽市内で、都心の億ション並の2倍の床面積を持ち、各住戸に1台の駐車場が付き、緑地環境が豊かな集合住宅の販売価格が4,631万円となる。
地方都市のマンションの平均相場よりは高いが、2倍の床面積、緑化された環境建築など、こうした高品位な集合住宅は決して高くはないことがわかった。
事業成立ポイントは土地の価格だが、もちろんこれは大都市部では建設できない。むしろ地方都市に建設し、地方へのUターンや地方都市居住を目指して移住してくる都会人にとっては、こうした高品位集合住宅が受け皿になるだろう。こうした住宅インフラが地方都市に一つは欲しい。そうなれば地方へと人口流動は起きてくるのである。
こうしてプランニングやフィジビリティ・スタディをしてみると、1住戸の床面積は150㎡ぐらいまで下げられ事がわかった。それでも十分広い集合住宅になる。従って販売価格も4,000万円ぐらいではなかろうか。それでも都心のマンションよりは安いのである。