CGを作り始めて初期の頃の作品だ。
CGデザイナーならば、もっと建築をつくり込むだろう。だが皮肉なことに作り込めば作り込むほど、建築という世界が持っている空間のリアリティから遠ざかり玩具のようになってしまう。
だからここでは、建築物を一つのテクスチャーとしている。そのほうが建築のスタディモデルを見慣れている人間とっては、これで十分空間のデザインがわかるし伝えることもできる。
こうしたクリエイションができたのは、当時のVUEというランドスケープソフトの力が大変大きい。一つの島の地形をVUEで制作している。そこには、火山がアリ湖がアリといった具合に現実の地形が実現されている。Poserのフィギャーを取り込みスケール感を表現しているが、地形の大きさや植生の配置など、空気や霧といった表現など大変リアルな環境CGである。
私はVUE4と呼ぶ初期の頃から使用している。
特に縦位置のアップ画像では、300mmのレンズで撮影し前後のボケ量を加減できるという撮影機材並みの設定ができるのには驚かされた。だからバーチャルな島を舞台に、Poaerのフィギャモデルをつれて、撮影隊のようにCF撮影が経験できる。こりゃ面白すぎるソフトだ。ただし当時のPoserは、衣服が破れたり、水着のボトムが呼び込まれないなど、笑えるバグが沢山あった。
このVUEというランドスケープソフトは、地形や植生、水や大気や霧といった状態など環境を表現してゆくのに大変優れたソフトだ。今このソフトは映像用に進化しているが、必ずしもクリエイションの期待には、こたえてくれない異質のソフトになってしまった。VUEを開発した企業経営が変わり当時のクリエイティブなコンセプトが、文科系の経営者らによってゆがめられてしまったと推測している。
もちろん映画のなかで、このVUEは結構活用された事だろう。
だから、この制作当時のバージョンを用いて、古いメモリーを沢山積んだ中古MacG5を調達して当時のクリエイティブな制作環境を再構築しようかと考えている。なんか古い撮影機材の調達にMacの世界も似ている。ライカ!、ライカ!と奔走しているみたいな感じでもある。