ウウッ!、起きようとすると体全体に激痛がはしる・・・。
体を動かすこともできない。それで横にはって足を畳につけて、それからころがってうつぶせになり、はって階段までたどりつく。それからは、そのまままはって階段を下りる。怖いなぁー・・・。
階下の台所に着くとほうほうの体で起き上がり椅子に上体をかぶせて、もう動かん。そのまま脂汗が吹き出して、床にポトポトと落ちる。立てない!。
「み・ど・りー・・・・×・×・×」
キッチンにいた翠が振り向く・
翠「あらっ、なんて格好してんの。すごい汗、熱か・・・、ないねぇー・・・・、なんだ」
「背中の腰が痛い、動けない!!。肩貸してくれ!、医者へゆきたい」
翠「そういや、バンテリンと湿布薬が転がっていたな」
「多分スポーツ教室のウェイトトレーニングだ。ツイストマシーンで体側の筋肉を鍛えていたんだ。ウェイトを重くして負荷をかけていた。きのうは街薬が効いたのでエアロビ教室へいったんだ」
翠「ああっ、昨日は私準夜勤だったからねぇー。まさにアホやねぇー。うーーんじゃ私の病院へゆくか。さて整形外科だな。えっえーー!、歩けない。じゃあ救急車呼ぼうか?」
「タクシー呼んでー、病院へ連れていって」
・・・
そうやって地元のマルタル交通がやってきて、翠の肩に支えながら痛い腰を抱えられて病院へ向かった。歩いても10分とかからない距離だけど・・・。
「バゥーじゃなくて、ゆっくり走ってちょ」
運転手「じゃあ、揺らさないようにゆっくり走りますわ」
そんなわけでトロトロ走って歩くよりも時間がかかり病院に着いた。
翠「担架いる?」
「それ恥ずかしいからいい・・・」
待合の椅子に腰掛けていても、ズキズキと痛さが背中に響き渡る。
翠が腰をさするが、残念ながら効果はない。
ウウッ、ウウッ、ウウッ・・・!!
・・・
診察の結果、幸い骨ではなく筋肉だとの事。そりゃそうだ。原因がハッキリしているからさ。レントゲン室まで無理ですぅーといったら、じゃそれは痛みが回復してからにしようというので、あれいる?、っていうからなんでもいる!!、と答えたら看護師がコルセットを腰に巻き付けてきた。
最後にロキソニンを処方してもらって、1週間のスポーツ禁止だ。
・・・・
医者にゆくと、それだけで気分が突然軽くなる。
医者の医術という名の魔術は、いつも不思議に思わされる。
だから隣の薬局で薬をもらう頃には、少し元気がでてきたので翠に支えられてナンタルの「いろは」までヨチヨチとあるいて、天ざるだ。病気の時は天ざる!、口癖のように記憶している。
翠「食欲だけはあるねぇー。まあ朝食べてなかったからかぁー。私今日も準夜勤だから夕方から、いないよ!」
「ロキソニンが効いてきたから大丈夫だよ!!」
そうやって、いろはの天ざるを平らげる食欲はあって、体が動かないというのが、いかにも外科的疾患の特徴だ。つまりセックスする元気はあるけど、腰が痛くてできないというのと一緒だ。
空腹を満たし家に帰り午睡だ。
ロキソニンよ!、早く効けぇーーーー。