遠藤雷太のうろうろブログ
何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。




観劇三昧:坂口修一『ミッド・ナイト・エクスプレス第1話「誕生」』

2017/7/17

中華料理店の親父が、妻の出産の知らせを聞いて、病院へ急ぐ話。わずか12分の一人芝居。

とにかく病院へ自転車を走らせる様子が話の主軸。

そこに熱狂的な阪急ファン要素が加わって、優勝を決める試合の様子と、病院に向かう様子が平行して語られる工夫。

動きと語りのリズムが高いところで拮抗していて、そのまま話の緊張感にも繋がっている。

料理を作ったり自転車を乗りこなしたりする各種パントマイムやスローモーション演技が巧みで、妻の出産と阪急の応援の間で苦悩する様とか、喜びながら痛がるところなんかも人情話として楽しい。

役者としての基本性能が相当高いと思う。

個人的には、自転車を止めて、スタンドを足で立てる動きが好き。

チャーハンこぼすところ、声出して笑った。

手のひらフェスでは一話完結だったけど、話続きそうな終わり方だったので追っかけてみたい。



コメント ( 0 )




2017/7/16

昨日の札幌オーギリング『フラッシュ・ギグル』に参加してきました。

第二部の第一試合でした。

前座なんて言い方もありますが、第一試合とは興行の一番槍。興行の流れを左右する重要な役割です。

前回のオーギリングマニアⅡがふがいない内容で、実はかなり落ち込んでいたんですが、今回は安藤友樹くんとのタッグが思いのほか調子よく、手ごたえを感じました。

彼は典型的な「気は優しくて力持ち」タイプなので、他の人を押しのけてまで前に出る感じではないのですが、自分はもっと引くタイプなので、相対的に彼に注目が集まってくれたらいいなと思っています。

大喜利の腕もあがってますし、縁の下の力持ちで終わってほしくないですね。

ちなみに演者の立場では休止前ということをあんまり気にしていません。

ゴールを意識してブレーキを踏むようなことはしたくないので、多少収まりが悪くても全力で走り抜けたいと思います。

きれいにまとめるのはGMにおまかせします。

興行全体としては、混沌とした回答が多く、お客さんの反応も良かったことから、勢いと混沌の循環が起きてました。

会場内はきちんと冷房がきいているのですが、自分は当日の「暑さ」と無関係ではないと思っています。

ライブってこういうこともあるからおもしろいです。

次回は9月。もうちょっとお客さん入っててもいいんじゃないかと思っています。

また、よろしくお願いいたします。

※物販の下敷きをいただきました。表情すごいね、みんな。



コメント ( 0 )




2017/7/4

即興組合が終わって間もないですが、休む間もなくオーギリングです。

もうご存じの方も多いと思いますが、オーギリングは今年11月興行を以って休止とのこと。

残念と言えば残念ですが、始まりがあれば終わりもあるものです。むしろ、このペースとクオリティで三年以上続けてきたことは誇って良いと思います。

また、惜しまれるうちに休止するのも悪い判断ではありません。再開がしやすくなるからです。 

プロレスラーの引退と劇団の解散は信用してはいけません。

機を見るに長けたGMのことですから、またすぐに新しい仕掛けを用意してくれることでしょう。

 

そうは言っても、《第一期》のオーギリングはあとわずか。 

円熟期を迎えたオーギリングによる今回の興行は、選手権の次期挑戦者を決める「トーナメント」と「七月興行」の二部構成。

遠藤は「七月興行」のみ参加します。今回はどんな仕掛けで戦うことになるのか楽しみです。

もちろん続けて見ていただくのがオススメですが、どちらか一方でも十分に楽しめるのがオーギリングのいいところです。

どうぞよろしくお願いいたします。

《公演詳細》

2017年7月15日(土)
【トーナメント興行】13:30開場/14:00開演
【七月興行】18:30開場/19:00開演
<会場>
演劇専用小劇場BLOCH
(札幌市中央区北3条東5丁目岩佐ビル1F)

<チケット>
一興行券:各1200円
通し券:1600円

予約はコチラ ※画面下部にお申込みフォームがあります。

●12ページカラーパンフ付チケット +300円
●紙テープ3セット付チケット +300円
●パンフ&紙テ3セット付チケット +500円
(各種枚数限定)

<出場予定選手>
楽太郎/三上 翔/澤田へそ太郎/ぞえちゃん/安楽光
鈴木/ヤギハツマ/遠藤雷太/安藤友樹
菊池旭/小原アルト/及川広大/山本輔/佐々木さん/小林つばさ
すえひろ/ノリス・イシハラ/ミラノ風ヤマダ/ガイアドラグーンⅡ世/
ドン・サトシーノ
喰魔骸/閻主/夜宵/魔鎖檎
戸田耕陽/大田黒ヒロタカ

<進行>
市場ひびき/氏次啓/横澤章悟/コタロー。/盛合でぇすけ/鶴 / 上田龍成

(出場予定選手は変更になる場合がございます)

<問い合わせ先>
(WEB)http://ogiring.com/



コメント ( 0 )




映画『ハドソン川の奇跡』予告編

2017/7/12

・旅客機をハドソン川に不時着させた機長のサリーが、自らの判断の正しさを証明しようとする話。

・難しい不時着水を成功させ、死者を一人も出さなかったため、メディアは彼を英雄扱いする。

・しかし、事故の調査機関は、他の選択肢があったはずなのにわざわざ危険な方法を選択したとして彼を責める。

・サリーは主人公なので、調査機関のほうを悪者っぽく描いているけど、世間の空気に流されることなく、しっかり疑問を呈するところはいかにもアメリカっぽい。

・利権の匂いをしっかりさせているのもそれっぽい。

・事故そのもののストレスや、調査機関の追及、いきなり英雄扱いしてくる大衆、家に帰れない、「英雄」周りの息苦しさが気の毒になってくる。

・唯一、機長と副機長の仲が良くてほっとする。

・見せ場は事故シーン。

・先を見据えて行動するスタッフワークも見事だし、最後まで残って機内に乗客がいないかチェックする機長、祈りにも似た乗務員たちの掛け声。

・機長にとっては着水が一番の大仕事だけど、それだけでは終わらない。

・事後処理の大変さが、地味に二重構造になっている。

・実録モノらしく、ひとつひとつを丁寧に生々しく描写しているので、緊張感が途切れない。

・大事故を描いているのに、怒鳴っている人がほとんど出てこない。

・そういうことで盛り上げるのはきっぱり拒否している感じ。大人。

・時制がコロコロ変わるし、説明もほとんどないわりに、見ていて混乱しない。うまい。

・ただし、今後、飛行機に乗るのは怖くなる。鳥怖すぎ。

・航空機だとここまで徹底して検証する国なのに、トランプが大統領になったり、巷にフェイクニュースがあふれている現状が不思議。

・だからこそ、今作られる意味がある作品なのかもしれない。

・たとえば、311の原発事故を題材にこういう映画を作ったら不謹慎なんだろうかと考えてしまう。

・どちらにしても、再現するだけの資料が残ってなさそうなので無理だろうけど。

ハドソン川の奇跡(字幕版)
クリエーター情報なし
メーカー情報なし
ハドソン川の奇跡 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

 



コメント ( 0 )




 

続 聞き出す力
クリエーター情報なし
日本文芸社

2017/7/11

吉田豪の「インタビュー」に関するコラム集。

読み取り方によっては自己啓発本にもなるけど、それにしては内容が面白く、するする読み終えてしまう。頭に残りにくい。

「続」になっても話題が尽きない。

ここぞという時の比喩が大体プロレスなのも個人的には親しみやすい。

「受身さえ巧ければ、まず確実にどんな世界でも必要とされる」という名言。

自分は受身が苦手なので、そういう人が身近にいたら大切にしたい。

仕事柄当たり前なんだけど、「人を茶化すことはあっても悪口は言わない」「自分自身の主張はしない」という印象の人だったんだけど、同業者に対しては結構手厳しくて、そのあたりにやっと著者の人間味を感じることができた。

あと、相手の服装や身につけている小物で嗜好を読み取ろうとするところは、シャーロック・ホームズのよう。

あとがきの自己分析で「プロ意識は無駄に高い」「対照的なぐらい人間性は低い」と書いていて、納得してしまった。



コメント ( 0 )




 

 

みみをすます (福音館の単行本)
クリエーター情報なし
福音館書店
みみをすます
クリエーター情報なし
響文社

谷川俊太郎 oblaat01 ポエミクロ「顕微鏡のための詩 五編」

2017/7/10

谷川俊太郎知識はあんまりないけど、コンセプトカフェがあると聞いて行ってみる。

飲み物500円、席料500円。

店内の関連書籍は読み放題。

なんとなく選んだ『みみをすます』2冊を読んでいると、『顕微鏡のための詩 5編』も読んでいいとのことで顕微鏡を覗かせてもらう。

結果、「みみをすます」など長めの詩6作品と、顕微鏡の短編5作品を読む。

『みみをすます』収録作品はすべてひらがなで、繰り返しが多く、読んでいると自然と節がついてしまう。多少素養のある人なら、即興でもラップに出来そう。同じ詩の本でも装丁が違ってて面白い。

収録作品の中では「そのおとこ」のうら寂しい感じが好み。

顕微鏡のほうは、内容の可愛らしさと詩を読むのにわざわざ顕微鏡を使うという無駄が現代美術っぽい。このお店に来なければ、一生見る機会が無かった。

読み語りイベントもあるので行ってみたい。



コメント ( 0 )




 

サンキュータツオの芸人の因数分解 GetNavi特別編集
クリエーター情報なし
学研プラス

2017/7/9

学者芸人のサンキュータツオが人気芸人30組の芸を分析する本。

お笑いの分析という無粋なことを臆面も無く徹底してやっているところに「学者」部分の気概を感じる。

ただの芸人でもただの学者でもここまではできないと思う。根底に芸人と研究への愛が見える。

各章ごとにそれぞれの芸人っぽい短い台本をわざわざ作成しているが、それがどれもそれっぽく面白い。

特に「南海キャンディーズ」「ヒロシ」の章。読んでいるとクリアに本人達の声が脳内再生される。

ここまで分析や再現ができる人が、なぜ漫才師としてそんなに売れてないんだろうと考えてしまうけど、評論する立場のほうが、より創造的な仕事ができるということもありそう。

才能の有り方はほんとに人ぞれぞれ。

芸人になりたい人は、まずここに書いてある芸人さんの真似をひととり試してみて、方向性を決めたら良いと思う。



コメント ( 0 )




2017/7/8

1945年にアメリカで作られたプロパガンダ映画。敵国から見た日本の紹介。

プロパガンダが目的なので差別や誤認も多いものの、うまく特徴を捉えて誇張しているので、明らかに悪意を含んだモノマネ芸を見ているような気まずさがある。

宗教や武士道の価値観に根ざした人民統制システムが「ヒトラー垂涎」と言われる。手厳しい。

「八紘一宇」の説明も出てくる。もとがどんなに高尚な思想でも、2017年にもなって持ち出されたら、外国人は相当引くだろうなというのもわかる。

誇張された日本人像は『ハクソー・リッジ』に出てくるおっかない日本兵描写とも繋がる。

今から考えると、物量で圧倒的に劣るアメリカに勝てるわけ無いだろと思うけど、当時はロシアに勝ったりしているから、その辺の感覚がわからなくなるのもイメージしやすくなった。

剣道が陸軍、柔道が外交に繋がっていると指摘されている。

裏の外交上手のことを「寝技師」とか言うけど、こういう偶然の一致はおもしろい。



コメント ( 0 )




 

性犯罪者の頭の中 (幻冬舎新書)
クリエーター情報なし
幻冬舎

2017/7/5

服役中の性犯罪者から届いた手紙を元に、人々がなぜ罪を犯すのかを考えた本。

著者はNHKの報道番組のディレクター。

冒頭で紹介される男は、10件以上の事件を起こし、30年の懲役刑を受けている。

検索してみたら、強姦致傷でそれくらいになるらしい。

筆者も指摘しているように、手紙には手の込んだ時候の挨拶や、動機の説明に村上春樹の小説からの引用が見られる。

とても性犯罪を犯したような人間が書くような文章には思えない。

動機は性欲というより、ゲーム感覚。

少しずつ犯罪の難易度を上げて今までできないことができるようになったことに興奮する。

万引きでも同じようなことが言われるし、自分によせて考えるなら、ジョギングだって、どんどん距離が伸ばしていく楽しさがある。

性犯罪者とは言え、決して異次元から来た謎の生物ではないということがわかる。

ただ、犯罪の前にジョギングでもしてろよとは思う。



コメント ( 0 )




 

境界を生きる 性と生のはざまで
クリエーター情報なし
毎日新聞社

2017/7/5

前に読んだ本でトランスジェンダーについて、あんまりイメージがわかなかったので関連本を読んでみる。

ただ、LGBTの話というより、性分化疾患の話が多く、期待していたものよりもずいぶん踏み込んだ内容で戸惑う。

性分化疾患や性同一性障害の人たちがどのように自らの性と向き合っているのかが書かれている。

性分化疾患は、肉体に限って見ても男性か女性かはっきりしない。

性別がわからないということは、学生生活を想像しただけでも気が遠くなるくらい不便。

社会人になってからも、無知なひとたちの何気ない一言で傷つくことが多そうだ。

ここでも「知らないことは罪」という話がでてくる。無関心は恥、そして罪になると。

正直、何かお話を書くときのネタになるかなという軽い気持ちで読み始めたけど、本当に難しい問題だった。

だからこそ、知らなきゃいけないんだろうけど。



コメント ( 0 )


« 前ページ 記事一覧画像一覧フォロワー一覧フォトチャンネル一覧 次ページ »