バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

午後2時過ぎの忘れ物

2019年02月11日 22時47分50秒 | バス運転士
終点・JR某駅に到着して前扉&中扉を開けると、前から中から乗客が降りて行き… 最後の一人をミラーで見ていた時、助手席の窓側(座席と壁面の間)に“縞模様のバッグらしき物”があることに気が付いた。しかし、この前も書いたように“中身が貴重品の可能性がある物”だったし、“途中で降りた人の物”かもしれなかったので、車外スピーカーを使って呼び掛けるようなことはやらなかった。

車内全体をチェックした後に“縞模様のバッグ”を手に取った私は「ん? このデザイン、この大きさ… 弁当箱でも入っているのかな? 時刻は午後2時過ぎ… 食べちゃったから忘れちゃったのかな?」と思いながら、バッグのファスナーを開けたところ… いかにも「弁当箱が入ってます!」という感じの“小さくて可愛い巾着袋”が顔を出したのである。

「やっぱり弁当箱だったかぁ~ しかし… 空箱にしては、ちょっと重いような気がするなぁ… あぁ、弁当箱の下に水筒があって、飲み残しのお茶が入っているに違いない!」と思いながら、巾着袋を持ち上げてみたところ… 紙パックの野菜ジュース(未開封)と、“温かくて重い円筒形の容器”が出てきたのだった… そう、まだ“食べる前”だったのだ。

そこで私は「すぐに戻って来るかもしれない」と思いながら、次の発車まで(約10分間)待っていたのだが… 誰もバスの前には現れなかった。「ひょっとして、折り返し運行の途中で待っているかも!?」と思ったのたが、そんなことはなく… 終点・某所に到着してから営業所へ連絡を入れ、バッグの特徴を伝えた。

その後、よく見たら… 巾着袋には“うめこ(仮名)”という名前が縫い付けられていたので、一瞬「子供の弁当なのか!?」と思ったけれど、「JR某駅へ行った時、助手席に座ったのはおばさんとお婆さん… 娘さんかお孫さんに届けるつもりだったのか? それだと時間的に遅いか… いや、塾で食べる晩御飯なのかも!? 待てよ。そもそも今時の子供の名前に“こ”を付けるだろうか? やっぱりお婆さんの…」などと、妄想は尽きないのであった…

追伸 夜9時過ぎに営業所へ戻った時、上司に聞いてみたのだが… 「問い合わせもない」と言っていた。う~む… ひょっとして、お婆さん… 自分が弁当箱を持っていたことすら思い出せないのかなぁ~ 明日、袋や箱は委託元の忘れ物センターへ… 中身は恵方巻と同じ運命に… グスン…