今日は昼から“バスレーンくねくね路線”だった。あるバス停で一人のお爺さんが降車口(前扉)から降りて、私が扉を閉めようとしたその時! 一人の外国人男性がダッシュ!! まさかの乗り逃げ!?
驚いた私は「あっ! ちょっ…」と止めようとしたのだが、その外人さんはお爺さんに向かって「ワスレモノォ~!」と叫んでいた… そして、その手には黒い傘が… 私もすぐに車外スピーカーへ切り替えて呼び掛けたのだが、お爺さんは振り向きもしなかった…
外人さんと私はほぼ同時に諦めて、私が「営業所へ持って帰ります」と言って、外人さんから傘を受け取った。ところが、そんなことをしているうちに目の前の信号が赤に変わってしまったので、私は「ちょうど良かった」と思って、バスを少しだけ前へ移動させて… 今度は前扉を開けてお爺さんに呼び掛けた。
すると、さすがにお爺さんも気付いてくれたのだが… 「はぁ? 私のじゃないねぇ~」と言われてしまった。私が「あ、そうですか。すいません」と言って前扉を閉めると、外人さんが私に向かってなぜか「ゴメンナサイ」と謝った… 私は何と言っていいか分からなかったので「いえいえ、ありがとうございました」と答えた。
それから約15分後、外人さんがあるバス停で「アリガトウゴザイマシタ」と言いながら笑顔で降りて行った… 私もオッサンなりに精一杯の笑顔で「ありがとうございました」と答えた。営業所へ帰って傘をよく見たら、それは“女性物の日傘”のようだったが… 肝心の持ち主はどこへ…???
朝の出勤時には必ずバスの点検をする。照明類やタイヤなどの車外はもちろんのこと、昨夜の忘れ物がないか車内もチェック… すると、ある座席の足元の壁面に一枚のカードを発見した。
誰かが落としたことに気付かなかったのか? それにしても不思議な位置にピタッとくっついて… アホな私は、一瞬「カードマジックの達人の仕業か!?」と思ってしまったのだが…
そんなわけはなく、思いっ切り噛み噛みしたガムによって貼り付けられていたのである。私は、持っていたティッシュペーパーとビニールで何とか“それなりに”除去したのだが…
多分… 昨夜、ガムに味がなくなったのか、そのガムがまずかったのか… その理由は分からないが、犯人は「一刻も早く噛んでいるガムを捨てたい」と思ったのだろう。
しかし、もともと先のことを考えるのが苦手な(嫌いな)犯人が、ガムの包み紙を捨てずに持っているはずもなく… たまたま財布の中にあった“残額ゼロのカード(つまりゴミ)”にガムを吐き出した。
しかし、どこかでゴミ箱を見つけるまで、それを持ち続ける責任感のない犯人は、そのままバスの壁にベトォ~… そして、犯人は口も手も財布もスッキリさせて、バスを降りて行ったのでありました。あぁ、お客様… 否、犯人満足ってか? ハハハ…
昨日の昼頃… バスは3分ほど遅れていた。あるバス停には人影もなかったので「通過だな」と思っていたら、日傘を差したおばさんが物陰から現れてバス停に向かって坂を駆け上がってきた。
おばさんはバスに飛び乗ったはいいけれど… フリーパスがカバンの中に入っているらしく、なかなか取り出せずにいた。私は“お客様の着席確認”をしないと発車できないし、こういうことは時々あるし… 「5分も10分もかからないだろう」と思って静かに待っていた。
すると、おばさんはカバンの中をゴソゴソと探りながら「あ、(フリーパスが)ありますから発車して下さい」と言った。多分“バスを遅らせないように”という気遣いから出た言葉なのだろうが… その判断は運転士に任せてもらいたいと思ったりもする。
その時は、すぐ先の信号が赤になったばかりだったので、私は慌てることなく待ち続けることができたのだが… 果たして、みんなが忙しい通勤通学時間帯で信号が青だったら…??? う~む… おばさんに一声かけて発車したかもしれない。その場面によって“優先順位”が微妙に変わってしまうからなぁ…
あるバス停に向かって行くと、歩道に立っている一人のお爺さんが見えた。私は「乗客だ」と思ったのだが…
接近してよく見ると、そのお爺さんはバス停よりも12~13m先にある“駐車禁止の標識”の前に立っていたのである。
お爺さんは、手に持っているカードケースのようなものを見てから、こちらをチラッと見たので、私は「乗客に間違いない」と思ったのだが…
次の瞬間、お爺さんは目の前の道路標識を見上げても、顔色一つ変えなかったのである。そこで私は「えっ!? 乗客じゃないのか?」と迷ってしまった。
いろんなことが頭の中を駆け巡り… 結局、私はお爺さんが立っている位置ではなく、バス停にバスを止めた。
するとお爺さんは、もう一度道路標識を見上げて気が付き、照れ笑いしながら走ってきて「いやいや、すまんねぇ~」と言った。私も笑いながら「いえいえ…」と答えた。
すでにボケボケな私がお爺さんの年齢になったとしたら、いったい何をやらかすのか…??? その頃には私が“書かれる側”になっていたりしてね。ハハハ…
先日の夜9時頃、某駅を発車しようとしたら、一人の女性がバスに近づいてきた。そして、乗車口(前扉)までやって来て「あのぉ… ○○駅で知り合いが倒れてしまって… 心配なので(携帯電話で相手の声を)聞いているだけならいいですか?」と言った。
私は「倒れた人が、ずっとあなたに話し続けるの!?」と疑問に思ったのだが… 既にバスの発車時刻を過ぎていたので、そこでアレコレ議論している暇もなく「はぁ… どうぞ…」と認めてしまった。
その女は“背後席”に座り、最初は「うん…」「うん…」と小さな声で相槌を打つだけだったのだが… 案の定、すぐに女が話し始めてしまったのである。しかし、私の頭は“人が倒れている”という事実(!?)に支配されていて注意できなかった。
実際に「大丈夫?」「人を呼んだ方がいいよ」「近くに誰かいないの?」「助けてくださぁ~い! って…」などの言葉が聞こえてきたのだが… “倒れた”というよりも“ちょっと具合が悪くなって座っている(または横になっている)”という感じである。
結局、ほとんど喋りっ放しの女… まぁ、それでも状況が状況だし、あまりギャーギャー言わない方がいいかと思っていたのだが… その直後に「私、△△くんを傷付けるようなこと言ったかなぁ?」と言うのが聞こえたのである。「おいおい、ただの痴話喧嘩なのか!?」と思った私は、その女の“二度の裏切り”と“こんな奴を認めてしまった自分”に腹が立ってきた。
その後のバス停で2~3人が降りた時、その女が背後席から下りて「今、ちょっといいですか?」と私に言った。そして「○○駅に連絡して、駅員さんに(倒れている知人を)見に行ってもらうように頼んでくれませんか?」と言ったので、私は「どうせずっと電話していたんだし、もう今さら…」と思って「自分で電話した方が早いと思いますよ」と流氷のように冷たく答えた。すると女が「電話番号は…」と言ったので、私は「104で聞いた方が早いですよ」と砂漠のように乾いた声で答えた。
私の“血も涙もない冷酷さ”が伝わったのか、女は無言で空いていた優先席に座った。そして、リラックスした感じで「△△くん、○○駅の電話番号わかる?」などと話していた… それから間もなく終点に到着、女は足早に去って行った…
言うまでもなく、もしもその女が子供だったら、終点で出来るだけのことはやってあげますよ。ん? そういえば… あの女、運賃を払ったか!? いやぁ~、すっかり相手のペースに嵌ってしまったなぁ… まぁ、悪意があったら自分から何度も話し掛けたりしないだろう。多分、定期券か一日券だよ。うん、そうそう…