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日本をダメにした10の裁判(チームJ)

2009年01月09日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この本は、チームJというバブル末期に東京大学法学部を卒業し、その後、検事、企業法務弁護士、官僚となったメンバーで構成されるチームが作った本で、世の中から注目されることもないまたは一時的に世の中の関心は集めたもののすっかり忘れ去られてしまった裁判の中で、不正義を助長し、慢性化させる温床となっているものに対して、社会の不正義を少しでも改めていくためにこうした裁判を1つずつ探り出し、可視化し、問題提起したものとなります。

具体的には以下の10例について述べられています。
 1 正社員を守って増える非正社員の皮肉-東洋酸素事件
 2 単身赴任者の哀歌-東亜ペイント事件
 3 向井亜紀さん親子は救えるか?-代理母事件
 4 あなたが痴漢で罰せられる日-痴漢冤罪と刑事裁判
 5 「公務員バリア」の不可解な生き残り
 6 企業と政治の強い接着剤-八幡製鉄政治献金事件
 7 なぜムダな公共事業はなくならないか-定数是正判決
 8 最高裁はどこへ行った?-ロッキード裁判
 9 裁判官を縛るムラの掟
10 あなたは最高裁判官を知っていますか-国民審査

どれも興味のある話でしたが、1の正社員の話、3の代理母の話、5の公務員バリアの話は特に関心を持ちました。

1については正社員を整理解雇から過度に保護することによって非正社員を増やし、結果的に労働者の首を絞めることになっていること、今後、雇用形態にかかわらず同一の条件のもとで同一の労働をした人には同一の処遇とすべき等改善が必要なこと等がよく分かりました。

3については、日本では代理母出産した子どもについては遺伝的な母親が親になるのではなく、あくまで分娩した母親が親になるという問題について書かれています。イギリスや米国の一部の州では一定の条件のもとに代理母出産を容認していることからも、時代の変化を鑑み日本も改めるべきかとも思います。

5については、これは私は知らなかったのですが、被害者から責任追及を受けた場合、公務員個人が被告の場合には「プライベートではなく業務上のことでしたので・・・」という弁解が通り、訴訟を提起しても棄却されてしまうという問題について書かれています。


この本は裁判員制の導入を前にしてとても興味のある本だと思います。とてもオススメな本です!!

以下は、この本のポイント等です。

・東京高裁は整理解雇が許されるためには、以下の4要件(要素)を必要とした。
 ①人員削減の必要性
 ②人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性-配転、出向、希望退職の募集など、他のよりソフトな手段によって解雇回避の努力を果たしたこと
 ③対象者の選定にあたって、客観的で合理的な基準を設定し、公平に適用したこと
 ④手続きの妥当性-整理解雇に先立って、労働者や労働組合と誠実に協議したこと

・まずは根本にある解雇権濫用法理を時代に合わせて問い直すことである。整理解雇についての「4要件」は、企業にとってハードルが高すぎるし、その結果、労働市場全体で労働者の就業機会を減らすことにもなりかねない。労働者を整理解雇から過度に保護することは、日々大きく変動する経済の実情に合わず、かえって、日本経済の、つまりは企業と労働者の首を絞めることになるか、あるいは変則的な就労形態を生み出すことになる。

・次に雇用形態にかかわらず、同一の条件のもとで同一の労働をした人には、同一の処遇をすることである。ここでの条件には、仕事上の責任の重さ、転勤の有無、残業の有無といった労働に付随するすべてのものが含まれる。国会において、現在の労働基準法、パートタイム労働法、派遣法といった縦割りでバラバラの法令を包括的、網羅的に見直すことになれば、結果として、正社員・非正社員という区別自体が無意味なものとなるだろう。そして、そのような国会での既存の法令の柔軟な見直しを進めるためにも、裁判所が積み重ねるべき判断は、紋切り型の4要件や形式的な契約内容の判断ではなく、労働にかかわる条件が同一かどうかを、公平性の観点から、個々の事案を緻密に認定することである。決して簡単なことではないが、現に存在している格差を、「労働者の地位」ではなく、「労働者の仕事内容と働きぶり」から見て、説明がつくか否かという点からの判断が必要なはずだ。このような認定を裁判所が積み重ねれば、現状と比較して最も不利益を被ることになるのは地位に見合った働きをしていない社員となる。

・本決定においては、向井さんは母親でないと判断された。その結論に後ろめたさを感じたのだろうか、4人の裁判官のうち3人までが、補足意見の中で、「特別養子縁組の利用」という提案を行っている。特別養子縁組とは、実子に近い形の養子制度だ。この制度を利用するには、いったん、米国人女性を実母として届け出る行為が必要である。それでは代理母契約に反することとなるため、高田・向井夫妻は受け入れなかった。そして、子どもたちは米国籍を保有したまま、夫妻を養育者とする形で日本の在留資格を取得し、現在に至っている。結局、この決定は、当事者の混乱状態をなんら解決しなかったばかりか、誰も喜ばない結論を確定してしまった。もし仮に、最高裁が子の福祉の観点を重視し、向井さんを母親と認めれば、子の福祉からも、すべての関係当事者においても望ましい結論となったはずである。

・痴漢事件特有の性格が、安易な事実認定を招きやすいという面もある。そもそも痴漢事件は、犯罪類型として、客観的証拠が非常に少ない。触られた衣服に付いた犯人の指紋、被疑者の手に残っていた被害者の衣服の繊維など、物的証拠がとれればよいが、通常の場合、そんなに明確な証拠はとれないと思ったほうがよい。また被害者が目撃者集めをすることも期待できない。痴漢相手を捕まえるだけでも勇気が必要なのに、さらに証人として第三者の連絡先を確保することまで頭は回らないだろう。こうなると、重要な証拠として存在するのは被害者の証言だけである。現実に痴漢被害を受けた人には嘘を言う動機はまず見当たらない。このため、裁判所にまで持ち込まれる被害者の証言は、有罪判決に向けた強力な決め手となっていく。そして、被害者の供述に合わせて、検察側が犯行内容を説明していけば、裁判所では、それに安易に乗ってしまうということは想像に難くない。

・映画の中では、取調べをした警察官が、法廷での尋問で、取り調べの状況について、明らかに事実に反する証言をしている。これは立派な偽証罪である。しかし、この点については裁判官も弁護士も特に問題にしていないようだ。日本の裁判において偽証がなされても、それを警察や検察が犯罪として取り上げることはほとんどありえない。まして、偽証をしたというのが警察官であれば、およそ立件されることは期待できない。これは明らかに是正されるべきだ。

・検察側が持っている証拠資料のうち、立証の妨げとなりうる資料は黙っていたら提出されない。被告人を取り調べた警察官とのやりとりや供述調書を取ったときの状況などについての資料の証拠開示請求など、被告人に有利な事実をかき集める努力は弁護士が積極的に行わなければならない。

・有罪率99%という現実のもと、逮捕された瞬間に、犯罪者とみなす風潮も問題だ。逮捕の段階での実名報道にも慎重さが欠けている。逮捕は、犯罪を行った疑いのある者の逃亡・証拠隠滅などを防ぐためになされる。逮捕されたことで犯人と決めつけるのではなく、起訴され、裁判で有罪となって、初めて犯人として認められるのが大原則であることを、マスコミ報道のあり方も含め、改めて認識し直してほしい。

・驚いたことに、被害者から責任追及を受けた場合、公務員個人の場合には「プライベートではなく、業務上のことでしたので・・・」という弁解が通ってしまう。つまり、被害者が公務員個人に対して訴訟を提起しても棄却されてしまう。それが確立した裁判例である。公務員は、会社員には与えられていない、特殊な「公務員バリア」の保護下にあるのだ。

・もともと、敗戦直後から、企業献金をめぐっては企業による贈賄工作が多発し、昭電疑獄事件(1948年)、造船疑獄事件(1954年)といった政府の要人を巻き込む大掛かりな問題が発生してきた。そうした問題を背景として、政府の選挙制度審議会は、1961年に第一次の答申を行った。「会社、労働組合その他の団体が選挙、または政治活動に関し寄付をすることは禁止すべきものである」八幡製鉄事件の第一審判決(東京地裁)で原告が勝訴した1963年の第二次選挙制度審議会の答申でも、「選挙資金、および政治資金についての寄付は、個人に限る。第一次審議会の答申を再確認する。とされた。つまり、この時点で、すでに政治とカネが大きく問題視され、企業献金・団体献金は禁止すべきとの考え方が広く世の中に認識されていたのだ。しかし、その7年後に下された最高裁の「助けた判決」は、企業の政治献金にお墨付きを与えることになった。すくなくとも政界にとっては、企業から政治献金を受け取ることに伴う問題を払拭してくれる、非常に都合の良い判決となった。

・今必要なのは、個人献金ができる限り広がる環境を整備することである。そのためにも、個人献金の役割を相対的に低下させるような企業献金・団体献金を野放しにすることは望ましくない。外国人の場合と対比すると、会社に政治献金の自由を認めることは、よりアンバランスであることがわかる。会社も外国人も日本の選挙権は持っていない。政治資金規正法は、外国人や外国法人の政治献金を厳しく禁じている。国民主権という憲法上の大原則にのっとって、外国人による日本の政治への不当な影響力の行使を排除することがその理由だ。とするならば、同じく選挙権を持っていない会社が日本の政治に影響力を行使することは、国民主権を蔑ろにすることにつながりかねない。

・ごく単純に考えて、1対4.84もの格差が残る定数改定について、「国会はよくやった」と言うことは難しい。むしろ、「どうしてもっと1対1に近づけることができなかったのか」と疑問を持つほうが通常の感覚だろう。最高裁が、消極的姿勢をとり続ける限り、1票の価値の不平等はいつまでも解消されない。米国でも、今のような厳しい投票価値の平等が図られるようになったのは、最高裁判所が違憲判断を下し続けたことによる。日本で初めて違憲判決が下された1976年からすでに30年以上が経過している。この事実を見ても、国会による自浄作用が期待できないことは明らかである。



<目次>
第1章 正社員を守って増える非正社員の皮肉-東洋酸素事件
 個々には正しくても全体で正しいとは限らない/整理解雇を制限する4要件
 なぜ正社員として働ける会社が少なくなったか
 正社員と非正社員との格差拡大を容認/パラサイトシングルの皮肉
第2章 単身赴任者の哀歌-東亜ペイント事件
 単身赴任の悲劇/転勤の犠牲になる家庭生活/就職の際の認識が重視される
 入社時の事情は歳月とともに変わる/深みの感じられない最高裁判断
 意思に反した単身赴任が横行する/変わるものと変わっていないもの
第3章 向井亜紀さん親子は救えるか?-代理母事件
 産まれた子の母親は誰/代理母出産とはなにか/最高裁の論理
 父親と母親でなぜ扱いが違うのか/権利の救済という本来の責務を放棄
 最高裁の越権行為/その判断結果は誰も喜ばない
第4章 あなたが痴漢で罰せられる日-痴漢冤罪と刑事裁判
 他人事ではないかもしれない恐怖
 痴漢犯罪-迷惑防止条例違反あるいは強制わいせつ罪
 「十人の真犯人を逃すとも一人の無罪を罰するなかれ」
 裁判で証明される事実は必ずしも真実ではない/痴漢事件の特殊性
 冤罪事件に向かう悪循環/刑事手続を知っておこう
 密室での自白の強要/負の連鎖を断ち切ろう
 逮捕=犯罪者ではない
第5章 「公務員バリア」の不可解な生き残り
 会社員が加害者の場合/公務員が加害者の場合
 「公務員バリア」を認めてきた裁判所/故意の行為をもカバーする
 なぜ「公務員バリア」を認めるのか/特権意識と無責任体質の温床か
 「公務員バリア」を見直そう
第6章 企業と政治の強い接着剤-八幡製鉄政治献金事件
 時代が生んだ「助けた判決」/禁止されるはずだった企業献金
 企業献金についてまわる二律背反性/会社には外国人と同様に選挙権はない
 政治改革の顛末/カネの流れの「見える化」へ
第7章 なぜムダな公共事業はなくならないか-定数是正判決
 減らない公共事業/民主主義の根幹を揺るがす投票価値の不平等
 定数不平等を放置する最高裁/これでも「全国民の代表」なのか
 現職職員に不都合な定数是正は進まない/最高裁の用いた二つの基準
 「一人別枠方式」という新たな問題にまで合憲判断/違憲判断を述べた反対意見
 参議院は定数格差が大きくてよいのか
 違憲判決への期待を裏切った平成18年判決/そろそろ違憲無効判断を
第8章 最高裁はどこへ行った?-ロッキード裁判
 賄賂は贈るほうも受け取るほうも悪い/「今太閤」田中元首相の逮捕
 ロッキード事件はどう裁かれたか/ロッキード裁判ではなにが争われたか
 なぜこんなに時間がかかったか/最高裁が失ったもの
第9章 裁判官を縛るムラの掟-寺西裁判官分限事件
 組織の問題はなぜ内部告発できないのか/「ムラの掟」に疑問を唱えた裁判官
 現場からの発言をする自由もない/問題提起をしてもいけない
 誰のための「裁判官の独立」か/制裁を受けた裁判官には救済の道がない
 国際的な人権救済の道も与えられていない/「ムラの掟」の浸透度の格差
第10章 あなたは最高裁判官を知っていますか-国民審査
 影の薄い国民審査制度/現行の国民審査制度がなかったら
 実際はどう運用されているか/「罷免を可としない投票」とはなにか
 連記制では一部の棄権は不可能
 棄権票を投じる自由の封殺が最高裁に好都合な理由
 現行方式が国会・内閣にとって好都合な理由
 罷免・信任・棄権・三択方式でなにが変わるか/最高裁支持率の導入を
終章 法の支配がもたらす個人の幸せ
 「法の支配」と「人の支配」/「法の支配」の脆弱さ
 国会(立法権)に対する「法の支配」/役所(行政権)に対する「法の支配」
 裁判所(司法権)自身に対する「法の支配」/変動する社会の中での「法の支配」
 7つの具体的提言/国民一人ひとりから始まる「法の支配」
あとがき
主な参考文献

面白かった本まとめ(2008年)


<今日の独り言>
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