そう言えば、以前、詩人の吉野弘さんこんな記事、書いたんだったと。
ヌンとヌーン調べてたら、
こんな詩も見つけた。
韓国語で
韓国語で
馬のことをマルという。
言葉のことをマールという。
言葉は、駆ける馬だった
熱い思いを伝えるための――。
韓国語で
目のことをヌンという。
雪のことをヌーンという。
天上の目よ、地上の何を見るために
まぶしげに降ってくるのか。
韓国語で
一つのことをイルという。
仕事のことをイールという。
一つ一つの地味な積み重ねが
仕事だ。
韓国語で
行くよということをカマという。
輿(みこし)のことをカーマという。
行くよという若い肩の上で
輿が激しく揉まれはじめる。
韓国語で
一周年のことをトルという。
石のことをトールという。
石の縞目に圧縮された、時の堆積――
一周年はどれだけの厚みだろう。
久々に、吉野弘さんの詩にめぐり合う。