おぢのニセコ山暮らし

山暮らしと世間のあれこれを書き綴ります

里山資本主義

2014年04月19日 | Weblog

 

午前6時の気温はマイナス3度。

今日は風もなく、よいお天気ですけど、いつまで経っても肌寒い。

順調に進んでおった雪解けも、ここへきてそのスピードが落ちてきて、なかなか雪が消えて無くならん。

これも地球温暖化の影響か?

そんな寒い一日となったきのう、ケーズデンキの方が、エアコン設置の見積もりにやってまいりましたです。

いよいよ我が家もエアコン設置に踏み切るのです。

やってきたお方の話によると、エアコンを設置するためには、ブレーカーから新たに電気を持って来なくてはならんこと。

30アンペア契約の我が家では、あれこれ一緒に電気を使うと簡単にブレーカーが飛びかねないこと。

室外機を家の裏の壁に設置すると、その費用もかかること。

などなど、機種によってはエアコン本体よりも「設置するための費用」の方がお高いことも分かったのでした。

とはいえ、夏の2~3週間、暑くて眠れない状態がここ数年続いておっては、まことに健康によろしくない。

エアコン導入は、ニッポンの北の果て北海道でもいたしかたないことになっておる。

考えてみれば、昭和30年代、40年代、おぢが子どもだったころの北海道と、いまとでは夏の気温がずいぶん違ってきております。

小中学生のころ、夏休みに30度を超える日なんってもんは、せいぜい3日。それも夕方にはスーッと涼しくなってきたものじゃ。

寝苦しい夜が延々と続くなんて記憶は、さらさらない。

それがこの10年、20年、札幌なんかでは、夜になっても30度なんて日があったりの異常事態。

本州でも、かつて避暑地だった軽井沢なんか、暑くて、暑くて、さっぱり避暑にはならんという話じゃ。

そんなこんなで、夏のご当地には関東、関西のお金持ちのじーさんばーさんがわんさかやって来るようになっておる。

宿泊するのは冬に比べて大幅ディスカウントになっておる高級コンドミニアムなど。

夏は魚屋さんでも、3000円はする高級な「ウニの折り」が飛ぶように売れるのだそうな。

本州の避暑地で避暑できなくなって、北海道へ人々がやって来てますけど、ご当地もずんずん暑くなってきておる。

そのうち極北シベリアあたりがコメの生産地になるやもしれません。

そうなりゃご当地北海道でもヤシが茂って、ハイビスカスが咲く。

東京なんぞは「熱帯」で文字通りのコンクリートジャングルか?

この先の地球、まことにメンドイことになりそうでござる。

そんな今日この頃、おぢはNHK広島取材班が書いた「里山資本主義」にすっかり魅せられておりまする。

中国山地に囲まれた岡山県の真庭市というところが町を挙げて行っている「木質バイオマス」の活用(発電やペレットの生産)も興味深いのですが、ユーロ危機と無縁だったオーストリアの事例が凄いのです。

オーストリアでは、木質バイオマスなど木材を徹底活用したエネルギーが化石燃料を凌駕しておるというのだ。

ロシアからの天然ガス、中東からの石油、いずれも輸入に頼っておって、投機マネーの動きによっては国を支えるエネルギーとしては、まことに不安定でござる。

そこで、北海道とほぼ同じ広さのこの国では、林業が「最先端のエネルギー企業」に生まれ変わっておるそうな。

だから世界的な経済危機、エネルギー危機とは無縁だというのです。

木質ペレットを使ったボイラーは、石油ボイラーのコストパフォーマンスを上回り、地域が生産するエネルギーによる自給が可能になっておるというのだ。

翻って我がニッポン国、国土の7割が森林でござる。これは先進国ではトップクラス、しかもこれが活用されておらんのです。

ニッポンの森林は放置され、林業は衰退の一途でござる。

一方、オーストリアでは森林を管理する森林マイスターというのがおって、山の木を切りすぎずに、常に「持続可能な状態」を維持しておるそうな。

林業によって、持続可能なエネルギーと豊かさが同時に確保できているのだというから、驚きます。

ニッポン国のエネルギーのすべてがこうした木質バイオマスで確保できるとは思えませんが、地方の町における地域エネルギーの大半をまかなうことも可能ではないかと思うのです。

さらに驚くのは、コンクリートの建物から、木造高層建築の建物への移行が進んでおるそうな。

ヨーロッパ各地にもその動きがずんずん広がっておるのだそうな。

それを支えるのが、クロス・ラミネイテッド・ティンバー(CRT)という木の合板、集成材だ。

その強度はコンクリートとそん色ないことから9階建ての建物まで登場しておるそうな。

古くて新しい林業が、エネルギーにおける自立を支え、その上、コンクリートに変わる素材を提供する。

そのあたり、まことに面白い。

林業が盛んなご当地周辺でも、木質バイオマスを活用した地域発電なんかは、まことに現実的でござる。

岡山県真庭市の製材所では、これまでゴミとして扱われておった木の皮など、年間4万トンの木質バイオマスを活用して発電をしておるそうな。

その発電量は2000世帯分だそうな。

この工場では使用する電気を自前のバイオマス発電で賄い、これまでは「木くず」としてごみ処理していていた処理費用2億4000万円はゼロになり、さらに売電収入が5000万円になるというからたいへんなことになっておる。

この真庭市のトマト農家も、これまで重油ボイラーでハウスの温度管理をしておったけど、これも木質バイオからつくられたペレットボイラーに変更したそうな。

地域の生産する燃料なので投機マネーの入りようがない。市況による価格変動のない安定したエネルギーなのだ。

いま真庭市のエネルギーの11%は自然エネルギーだそうな。

ニッポンの自然エネルギーの利用状況は、わずか1%というから10倍でござる。

オーストリアでは、林業に若者が殺到しておるという。

カッコいい、希望の持てる産業として人気になってきておるというのだ。

荒廃しておるニッポンの林業も、復活することが可能ではないのかね。

しかも最先端エネルギーとして活用することも可能なのだ。

安倍内閣のように「原発は重要なエネルギー」などと、古臭いこと言っておってはいけませんです。

中東の石油からの依存度を減らし、シェールガス、天然ガスの比率を高める一方、有り余る木質バイオマスを効率的に活用し、これにともなう産業を育て、自前のエネルギーを生み出すのがよろしいのではないのか。

木質バイオマスなら、地方からニッポンを変えることが可能だと思う。

EUでは2030年までにバイオエネルギーの割合を34%にするのだという。そしてオーストリアではすでに28.5%が再生可能エネルギーでまかなわれておるというのです。

「里山資本主義」は、地域を再生する起爆剤になりまする。

田舎の町村長さんもお読みになって、トットと実践するのがよろしいと思うけど、どうなんだろなぁ、、、