グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

テントウムシ劇場

2010年06月10日 | 
一昨日の朝、犬の散歩中に、葉の上のオレンジ色の粒が目にとまりました。
これです。

周辺の葉には何匹も同じものが乗っていました。たぶん20匹以上!

家に帰って写真を良く見たら、オレンジの粒はナミテントウのサナギでした。

「なんであんなに目だつ葉っぱの上でサナギになっているのだろう?敵に襲われないのかな?」

夕方、潜りに来ていたお客様2人を誘って、もう一度同じ場所を訪ねてみました。
目が6個あれば、何か面白いものが見つかりそうな気がして…。

予感的中!
次々に色々なものが見つかりました…というか目の良い2人が次々と見つけてくれました。

まず、サナギになる前の幼虫が歩いていました。親より強そうな迫力のある姿です。


サナギに寄りそう幼虫。

う~ん、これは可愛いです。仲良し兄弟?

「あれ?別の種類?」

…と思ったら、実は脱皮殻だったことが今日になって判明しました。
(店に泊っていたテントウ達が今朝めでたく羽化し、これと同じ殻を脱ぎ捨てたからです。)

羽化中に何者かに襲われたのでしょうか?

何か事件の匂いがします。

こ、これはどうしたのでしょう?

殻を脱ぐ時に失敗して、翅がおかしくなってしまったのでしょうか?

まるでテントウムシ劇場とでも言いたくなるような光景にすっかり盛り上がっていたら、
お客様がすごいものを見つけました。

1cmもないような、歩くゴミです!

これが動いたら、かなりビックリすると思いませんか?

夢中でシャッターを押し、何とか写った写真がこれです。

強そうなハサミを持った虫が背中にゴミを背負っているのがわかるでしょうか?

この虫の正体はクサカゲロウの幼虫。
アブラムシを鋭いハサミで捕まえ体液を吸い取ってシワシワにし、
その死骸を自分の体につけてカモフラージュしているのだそうです。

う~ん、凄すぎる…。

虫の世界を観察すると、ホラー映画かSFのエイリアンとの戦いでも見ているような気分になります。

「こんなにアブラムシを食べる虫が集まっているのにアブラムシが居ないよね~。」
と言いながら葉っぱを眺めていたら、お客様が「居た~!!」と…。

若い人は目がいいな~(笑)。

草の上には1mm無いのではないかと思われる、草色の小さなアブラムシが何匹もついていました。
美味しそうです!←(すっかりテントウムシの世界に浸っている)

さてさて、テントウムシ劇場を堪能して2日後の今朝の7時、また同じ場所に立ち寄ってみました。
サナギは1週間ぐらいで羽化をするそうなので、もしかしたらその瞬間を見られるかもしれないと思ったからです。

結局羽化の瞬間は見られませんでしたが、殻から抜け出て間もないテントウムシに出会いました。
羽化直後は黄色で、3時間ぐらいで模様が出てくるようです。


周辺にはもうサナギ達の姿はありませんでした。
今頃立派なテントウムシとなって、アブラムシを探している事でしょう。

わずか数日のテントウムシ達の劇的な変化。
運良くそこを通りかかり気づいた者だけが、目にすることのできるドキュメンタリー。

大島には映画館はないけれど、映画以上に面白い自然の物語が身の回りに沢山あります。
いや~、良い場所に暮らしているのだな~と思いますね。

(カナ)


コメント (2)
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