グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

キノコが光りはじめました。

2010年06月24日 | キノコ・菌・微生物
今日は午後から晴れ間が広がり、爽やかな1日でした。

でも今は梅雨の真最中。
昨日まで続いた雨のおかげで、夜の森ではキノコ(シイノトモシビダケ)が美しい光を放っています。

今年のキノコ観察の初日は2週間ちょっと前の6月8日でした。
このころは最低気温が18度前後とかなり肌寒く、本当に光っているのか半信半疑で嶋田と夜の森へ出かけました。

真っ暗な森の中で、懐中電灯の明かりを消してみると、数個のキノコが光っているのが見えました。
しかし、昨年に比べ10分の1にも満たないイメージ…。
本当にごくわずかでした。

「まだ、シーズンではないのかな?それともこの寒さで今年は光らなかったりして…?」
少々不安に感じながらこの日の観察は終了しました。

6月15日の夜、土砂降りの雨の中をFITのメンバーと森に出かけました。
前日下見をしておいた場所へ行くと、キノコは暗い闇のそこここで、美しいグリーンの光を放っていました。

でも、昨年見ていた空に向かって伸びる枯死木には、何もついていませんでした。
この木にキノコが付いていれば、頭上の夜空に浮かぶような輝くキノコを見られるはずなのですが…。
「菌糸は同じ木の中で生きているわけではないのだろうか?」疑問は残りました。

そして今週…実は月曜から毎日森に通っています(笑)。
雨の続く梅雨の真っただ中、キノコ達がどんどん現れ始めたからです。

私のコンデジでは、とてもキノコの美しさを写真に残せないので、もっと高級なコンデジを借りて、
海スタッフの石田に写真を撮ってもらいました。


写真を撮るために懐中電灯を消すと、周辺のあちらこちらで緑の光が浮かび上がります。
なんて素敵な森でしょう!!


1週間前には何も見えなかった“空に向かって伸びる枯死木”の上にもキノコが数個、姿を見せ始めました。
この場所は、これからもっと増えてくるかもしれません。

一方、先週一番綺麗だった場所のキノコは溶け(?)はじめました。

一昨日のその場所のキノコ。

キノコにカビのようなものが付いていて「何だろう?」と思っていたのですが、色々調べてみたら、
どうやらこれはキノコの“気中菌糸”のようでした。

「“気中菌糸”って何?」と思われる方も多いと思いますので、簡単に説明しますね。

ご存知の方も多いと思いますが、キノコの正体は菌です。
日頃はそれが糸状の形をしていて、枯れた木や動物の糞などを栄養にしながら成長していきます。

キノコはその菌糸が寄り集まってできた、胞子を作るための仮の姿です。
色とりどりの“花”と同じように、自分の子孫を残す事を目的とした繁殖のための器官なのです。

キノコが栄養を得るために伸ばしている糸を“栄養菌糸”と言いますが、
どうやらキノコが水分を含みすぎると、今度はキノコ本体を栄養にして、空気中に菌糸を伸ばすらしいのです。
そしてこれを“気中菌糸”というようです。

写真をクローズアップしてみました。

キノコを覆うように伸びた糸が見えるでしょうか?

自然の仕組みは無駄なくできていますから、きっとこの“気中菌糸”ができるのは
胞子を飛ばして役割を終えたキノコだけだろうと思います。
1日経って見に行ったら、このキノコは菌糸ごと形が崩れてしまっていました。

シイノトモシビダケはきっと数日間のうちに、誕生と消滅を繰り返し、
梅雨の間中、夜のスダジイの森に光を灯し続けるのでしょう。

キノコを見たい方は梅雨が明ける前がチャンスですよ。

ところで、菌糸に覆われたキノコの横にある白いもの。
実はこれ、ツノホコリという変性菌の胞子の集まりらしいです。

変性菌というのは、変形して動物のように移動しながら餌を捕るのに、
繁殖の時は全く動かず、キノコのような胞子体の形をとるという不思議な生き物です。

自然界は本当に、魔法の世界のようですね。

今日もこれからスタッフ全員で夜の森に出かけてきます。

また何か面白い発見があったら、日記で報告します!

(カナ)




コメント
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