グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

女王さま

2010年06月11日 | 
 たまたま見上げた軒下をスズメバチが飛んでいました。

 この季節は、巣作りの場所を探して繁みの中や防風林の枝の間をゆっくりと飛ぶ大きなスズメバチの仲間を見かけます。

 辺りを旋回して、ビニール波形トタンにぶら下がるように何か始めました。


【5月25日】


 黒褐色の体に黄色い縞(しま)、3センチ弱くらいのコガタスズメバチのようです。

 庭木や生垣の樹の枝などに巣を作ることが多いですが、雨露をしのぐには軒下などの方が適地なのでしょう。最近、台風や低気圧が大型化し、ゲリラ豪雨などもありますから~野生生物もウカウカしてられません!

【5月29日】


 ただ1匹の孤独な作業です。上の画像は夜、休んでいる所を失礼しました。

 コガタスズメバチは、オオスズメバチやキイロスズメバチと比べると攻撃性は低いと言われています。でも、何があるか分かりませんから、白いシャツを着て、豆絞りの手ぬぐいを頭に被って、撮影をさせてもらいました(笑)

 卵を産み、幼虫を育てる6角形の「育房(いくぼう)」の基礎が3つ、中央に見えます。

【6月2日】


 育房が8つくらい出来てきました。アシナガバチの巣のように、育房が平面的に連なった状態のものを「巣盤(すばん)」と呼びます。

 スズメバチの仲間は、巣盤の周りに外皮を作ることで、より安全に子育てが出来るようにしているそうですが、まだこの日は傘のようです。

 作るところを1から見たのは初めてのことで、感激です!

【6月4日】


 育房が10室くらいになり、傘が深くなってきました。

 昨年9月頃、最盛期のスズメバチの巣をご覧頂きました。巣盤も外皮も材料は、朽ち木の木質部や樹木の樹皮と唾液を混ぜたものです。大あごと前肢を上手く使って薄く伸ばしていきます。パルプ状と言われるとおり、驚きの薄さで出来ています。


【6月5日】


 外皮が下に行くに従って狭まり、芸術的でステキな縞模様が現れました。

 中の様子が分からなくなってしまったのは残念です。もう育房には卵が産み付けられたのでしょうか?

 巣が最大の大きさになる9月頃、新しい女王バチたちが誕生します。10月頃に新女王たちは巣から旅立ち、オスと交尾をして、11月頃には樹木の洞(うろ)などで越冬します。

 4月頃には冬眠から覚めて活動を開始。1匹でコツコツ働いて巣を作っているこのハチが、実は女王さまなのでした。

【6月7日】


 お酒を入れる「とっくり」を逆さまにしたような形になってきました。トックリバチというハチもいますが、土を材料にして巣を作る別種です。

 この巣は、外皮の太い部分の直径が65ミリ程あります。巣作りの初期に、こんな形の巣を作るのがコガタスズメバチの特徴です。

【6月8日】


 一輪差しの花瓶のように口が長く伸びています。今日は、またこれより1センチ程長くなって、全体の高さは約10センチ。

 細い部分の長さが4センチ程になっていました。出入り口の直径は13ミリ。

 巣作りの第1段階は終了のはず。お疲れさまです。

 女王バチと言うより、パワフルお母さんって感じです! コガタスズメバチは、産卵から成虫になるまで約1ヶ月だそうです。女王バチが「働きバチ」になる幼虫に一生懸命エサを運ぶって、何かイメージ違いませんか?

 1つの育房に1個の卵を産んで、卵の期間は5日間、幼虫は12日前後の間に4回脱皮して、充分成長すると口から糸を吐いて育房に白いフタをして蛹になり15日前後で成虫に。

 その最初の子どもたちが育つまで、もうしばらく頑張る女王さまです。

 

(なるせ)







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする